キャンドル作家・和泉詩織さんに聞くスマホ1台起業術

リリース日:2021/09/14 更新日:2022/06/06
和泉詩織
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和泉詩織

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和泉詩織

1987年、北海道森町生まれ。2011年に東京でキャンドル講師として活動開始。2017年、函館市内にキャンドル専門店「710candle(ナナイチマルキャンドル)」オープンし、2019年、函館市谷地頭町の路面店に移転。2020年には和綿の栽培をスタート。その他、腸内環境改善の講師や女性起業支援、行動習慣コーチング、七飯町食育活動「ななえの食を考える会」など幅広く活動。

※本著者は楽天カード株式会社の委託を受け、本コンテンツを作成しております。

自分で作品やサービスを販売できるプラットフォームが増えてきたことで、好きなことで起業しやすい時代になりました。「私も挑戦してみたい」と思いながらも、何から始めていいかわからなかったり、「私には無理かもしれない」と諦めてしまったりしてはいませんか?今回は、好きなキャンドルを仕事にした和泉詩織さんに、スマホ1台で起業した術と、挑戦し続けられる理由についてうかがいました。

更新日:2021/9/14
  1. キャンドル事業から広がり、複数事業を展開中
  2. スマホ1台で起業?名刺とSNSから世界が広がった
  3. 中途半端でもいい。まずは始めてみることが大切
  4. 限界を決めずにチャレンジを。やれるところから始めてみて

キャンドル事業から広がり、複数事業を展開中

マネ活編集部:和泉さんはどんな活動をされていますか?

 

和泉:複数の活動を行っています。まずはキャンドル事業です。函館のお店を拠点に行っている製造と販売をはじめ、全国に約80名いる生徒さんへの技術指導や企業とのコラボ作品づくりも手掛けています。キャンドル以外には、オーガニックコットン事業や腸内環境の講師業、食育活動もしていますね。

 

マネ活編集部:かなり幅が広いですね。

 

和泉:だんだんと広がってきてしまって(笑)。オーガニックコットン事業は、キャンドルの芯を自分たちで作りたいと思ったのがきっかけでした。調べていく中で、江戸時代には自給率100%だった和綿の自給率が今は統計上ゼロになっていると知ったんです。また、非常に通気性が良く、日本の気候に合っている素材であるとも知りました。私は子どもが重度のアトピーなので、和綿の自給率を上げ、子どもの下着や衣類にできないかと思ったんです。腸内環境や食育も、子どものアトピーを機に調べたことを発信する中で仕事につながっていったものですね。

 

マネ活編集部:キャンドルのお仕事は、どういったきっかけで始められたんですか?

 

和泉:キャンドルの魅力を知ったことがきっかけです。私の家は、家族がバラバラな状態で。お金もないし、仕事もうまくいかないし、私の人生は何なんだろうと思っていたあるとき、夜中のコンビニで1冊の本を手に取ったんです。良い習慣について書かれた本でした。その中に、「お風呂でキャンドルを灯す」と書かれていたんですね。

 

「え、キャンドルをお風呂で?」と戸惑いながらも、実際に灯してみたら、心がすっと穏やかになったんです。その数秒間の体験が衝撃的で、「自分の人生、大切な時間は自分で生み出せるんだ」と泣けてきてしまって。キャンドルに出会って、人生を救われました。

 

和泉さんが制作するキャンドル。

スマホ1台で起業?名刺とSNSから世界が広がった

マネ活編集部:はじめから、キャンドルで起業しようと思われていたんですか?「好き」で起業することに対して「いいなあ」と思う一方で、ハードルの高さを感じてしまいます。

 

和泉:わかります、私にとっても起業は高いハードルでした。お金もなかったので、最初は事業にできるとは思っていませんでしたね。

 

マネ活編集部:どのようなステップを踏んでいったんですか?

 

和泉:はじめは、キャンドル教室に通い始めました。そしたら尊敬するある方に、「まずは名刺を作りなさい」とアドバイスをいただいたんです。キャンドルの専門家だと名乗りなさいと。「まだ何もやっていないのに」と抵抗感がありましたが、まずやってみようとスマホからデータ入稿できるサービスを使って名刺を作ったんです。

 

名刺を作るにあたり、「自分が今できること」「問い合わせ先」を入れるようにアドバイスを受けていました。私の場合は「オーダーメイドのキャンドルが作れる」「制作体験ができる」「教室もできる」ですね。

 

マネ活編集部:自分で「できる」ことを見つけるものも、ハードルが高そうだなと思うのですが…。

 

和泉:私は、自分がやりたいことと人からよく頼まれることをそれぞれ別の紙に書いて、共通点に丸を付けていきました。一致することができることだと考えています。ただ、失敗もしましたね。名刺の裏に「キャンドル教室ができる」と書いておきながら、実際にご依頼を受けて開いてみたら、誰一人上手く作れなくてお客さんが帰ってしまったという事件がありまして…。

 

マネ活編集部:それは血の気が引きますね…。

 

和泉:1ヵ月くらい、キャンドルを見るだけで動悸がしていました。それでも、入浴中に初めてキャンドルを灯したときの感情や、「私はこうありたい」という思いが強くあったから、「じゃあ、次はどうしよう」と未来志向になれたのだと思っています。失敗はつらいですし、申し訳ない気持ちでいっぱいにもなりましたが、やってみないと合う・合わないすらわからない。やっぱり、まずはやってみることが大切だと思いますね。

 

マネ活編集部:名刺作り以外には、どんなことに取り組みましたか?

 

和泉:SNSで発信するため、Facebookのアカウントを作りました。ただ、発信することにも抵抗感があったので、しばらくは非公開にしてアップする訓練期間を設けました。時間もお金も本当になかったので、できることから一歩ずつ進めていった感じです。

 

マネ活編集部:キャンドルのような材料を必要とするものは、どうしても元手がかかりますよね。

 

和泉:そうなんです。なので、毎月数千円でも余ったお金があれば、それをキャンドルの材料代に充てていました。作品は、自分の想いやストーリー性を持たせた文章を添えてSNSにアップ。最初は指を滑らせるフリック入力もできなかったんですよ。でも、続けるうちに入力スピードが速くなり、途中からは音声入力も使ってみたりして。すきま時間の5分で投稿内容を完成させるなど、地道に訓練し続けました。写真の加工もそうで、無料のまとめサイトを見ながら実践してみる繰り返しでしたね。

 

マネ活編集部:スタートは名刺作りでしたが、作るだけでは誰にも知ってもらえないですよね。どう営業活動をされていったのでしょうか。

 

和泉:営業活動をしようと意気込むわけではなく、とにかく出会う人に挨拶がてら名刺を配っていました。仕事相手になる以前に、友達になりたいなと思っているんです。その方が仕事がスムーズだなと感じていて。異業種交流会などビジネスのための場も大切だとは思うんですが、私はよく食べに行く定食屋のおじいさんなど、一見お客さんにはならなさそうな人にも気軽に名刺を渡して歩いていました。

 

マネ活編集部:そこから仕事につながったんですか?

 

和泉:はい、ありがたいことに野外フェスの演出や小学校のPTA研修などの依頼をいただきました。仕事後には記事やSNSで発信することも大切にしていました。発信内容は自分の財産にもなるので、続けてきて良かったなと思います。

 

ちなみに、名刺を気軽に渡すのは自分のハードルを下げるためでもあったんです。私は子ども時代から人前で話すのが苦手で、過呼吸になったり学校を休んでしまったりしたこともあったんですよ。倒れてしまった私を、友達がローラーのついている椅子に乗せて保健室に運んでくれたことも(笑)。

 

マネ活編集部:信じられないです。今は講師業もされているのにですか?

 

和泉:はい。それも発信と同じで、とにかく訓練で。スマホカメラを目の前に置いて、タイマーを使って1分間で自己紹介ができるように練習したり、話が上手な人を真似してみたりしていました。お金を掛けなくても、練習すればスキルは少しずつ上がっていきます。いきなり0から10に飛ぶことはできませんが、0から1、1から2と段階を踏むことで、1年後には全然違う自分になれるんですよ。

 

マネ活編集部:起業前後でどんな変化を感じていますか?

 

和泉:メンタルがすごく強くなりましたね。今は2,000人くらいを前にして話す機会もあって。起業体験を話してくださいと言われたときは、自分のことだからかびっくりするくらいスラスラ話せました。経験値が上がることで自信もつき、挑戦することに対する恐怖心が薄らぎました。

 

中途半端でもいい。まずは始めてみることが大切

マネ活編集部:最初は食べていこうとまでは思っていなかったというお話でしたが、そこから事業を軌道に乗せるまでは、どんなことが大変でしたか?

 

和泉:活動を始めてから、「やっぱりこの道で食べていきたい」と思うようになったんです。そのためには価格帯にバリエーションを設けなければと、松竹梅と数種類のプランを作りました。このビジネスプラン作りに苦労しましたね。自分が提供できるものを書き出して深堀して、教材を作って…と。何となくマルシェに出店する期間が7年ほどあったので、私は遠回りをしたタイプだと思います。

 

マネ活編集部:資金繰りについてはいかがでしょうか。

 

和泉:最初は材料代にお金を回して、お金が貯まってきたらキャンドルに使うテーブルを買おうとか、一歩一歩進めていきました。キャンドルの制作体験を広めていきたい気持ちがあったので、そのために必要なものを揃えていったんです。

 

転機になったのはお店を持ったことですね。当時の状況だと家賃分でギリギリだったんですよ。でも、尊敬する方に「10回口にすると願いが叶うんだよ」と言われたので、10人に「ここでお店をやりたいんだけど、棚を作るお金がなくて。どうしたらいいと思う?」と聞いて回ったんです。

 

すると、「隣町で木を伐採するから、余ったらあげるよ」と言ってくれる方が現れました。材木屋でカットしてもらうだけのお金は用意できると思ったので、譲ってもらうことにしたんです。こんな具合に、「こういうことをやりたい」と言うと誰かが情報や物や紹介などで手を貸してくれました。今のお店にあるものも、そうやっていただいた物が多いんです。

 

マネ活編集部:今振り返って、「こうしておけば良かったな」という反省点はありますか?

 

和泉:当時の私にとっての大金を、SNSでのプロモーションや広告年間契約につぎ込んでしまったことですね。結局、誰かに宣伝をしてもらっても自分の力にはならなくて。プロの力を借りること自体は悪くないのですが、私は方向性も定まらないままやみくもに手を出してしまっていたんです。それは投資ではなくて浪費だったなと。どうせお金をかけるなら、上位機種のスマホに買い替えたり、カメラを買ったりと実力アップに活かせる使い方の方が良かったなと思います。

 

函館にある710candleの店舗。温かいあかりが灯る。

 

マネ活編集部:和泉さんは経営者である一方、お母さんでもあります。子育てと事業との両立はどうされてきましたか?

 

和泉:赤ちゃん時代は抱っこしながらキャンドルを作っていましたね。大変だと思う方もいるかもしれませんが、私にとっては社会とのつながりを持て、気晴らしになる時間でした。その後は、思い切って誰かに頼ることを覚えたことでぐんと楽になりました。

 

家事が全然回らずに1週間分の食器を溜め込むこともあったのですが、友達のお母さんが仕事を探していると聞いたことを機に、お金を払って家事を手伝ってもらうことにしたんです。出張が重なった時期は、その間子どもと出かけてもらったこともあります。知っている方だから安心ですし、掃除や料理などが得意なお母さんに特技を生かして働いていただけることもよかったです。

 

あとは、自分から「子どもがいます」と宣言してしまうこと。「子どもが一緒にいてもいいですか?」と許可を得て、キャンドルの教室中に授乳やおむつ替えをさせてもらったこともありました。申し訳ないと思っていたのですが、生徒さんの多くが子育てを終えた高齢の方だったため、「懐かしい」「抱っこしていてあげるよ」と快く受け入れてくださって。宣言しておいて、「それでもいいよ」と言ってくれる方に来ていただくスタイルもありだと思います。

 

マネ活編集部:子育てや家事をやりながら事業をすることに対し、「中途半端になってしまうから」と躊躇される方もいると思います。和泉さんが続けてこられた理由はどこにありますか?

 

和泉:中途半端でもやらないよりいいと思っています。やってみた結果、会社員のような安定した収入を得られる方がいいと感じたならそれでいいですし、面白い、やりたいと思うなら挑戦し続けてみたらいいんじゃないかなと。私は人を喜ばせてお金をいただける世界で生きていきたいと思っているので、仕事を続けてこられたんだと思います。「なぜ自分がこれをやりたいのか」の「なぜ」を問うことが大切ですね。根っこが深ければ深いほど、強い風が吹いても倒れないと思うんです。

限界を決めずにチャレンジを。やれるところから始めてみて

マネ活編集部:キャンドル事業から始まり、多様な事業を手掛けていらっしゃいますが、今後はどんな未来をイメージされていますか?

 

和泉:夢がたくさんあるんですよ。キャンドルの芯作りが実現したら、蝋も自分で作りたいなと思っていまして、養蜂場の経営をすべく挑戦し始めているところです。限界を決めない方が無限に広がると思うので、いっぱい夢を持ちつつ、着地点は決めないようにしています。ただ、まだ見ぬ世界をいつもワクワク想像していますね。

 

マネ活編集部:起業を考えている方に、アドバイスをお願いします!

 

和泉:まずは頭の中にあるものを書き出してみてください。人間は3つ以上のことが頭の中にあると、パニックになってしまうらしいんです。やってみたいことを書き出した上で行動してみてほしいですね。平日働いているなら、週末起業したり、お金を使わずに発信してみたり。「自分なんかが」と思わずにやってみてください。失敗してしまったら、受け止めて改善点を見つければいいんです。繰り返しているうちに道が開けてくると、自分の体験を振り返ってみて感じています。

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