住民税非課税世帯とは?対象となる条件や優遇措置について分かりやすく解説

リリース日:2022/04/12 更新日:2024/07/08

住民税非課税世帯になる条件や、住民税非課税世帯になることで受けられる軽減措置などをまとめました。年金や給与がいくらまでなら非課税になるのかの目安もご紹介しているので、参考にしてください。

毎年、5月~6月頃になると、住んでいる場所の自治体から住民税の通知書が届きます。ところで、この住民税、日本に住んでいる人全員が支払っているわけではありません。たとえば、働いていない子どもは住民税を支払う必要もありません。中には、世帯全員が住民税を支払わなくて良い「住民税非課税世帯」という世帯もあります。一体どのような世帯が該当するのか、条件や考え方についてまとめました。

 

  1. 住民税非課税世帯とは?
  2. 住民税のしくみ
  3. 住民税非課税世帯になる条件
  4. 住民税非課税世帯が受けられる優遇措置(メリット)
  5. 住民税非課税世帯になるための手続き
  6. iDeCoを使って所得税を節約

住民税非課税世帯とは?

住民税非課税世帯とは?

住民税非課税世帯とは、言葉の通り、「住民税が課税されない世帯」のことです。住民税は収入を得た人に課税される税金ですが、一定の収入以下の人は住民税が非課税になります。

 

一方、世帯というのは家族のことで、生計を一にしている人たちのことです。単純に「一緒に暮らしているからひとつの世帯」というわけではありません。単身赴任中の人や、一人暮らしをしている大学生なども、一緒に暮らしていたときと同じように「一世帯」となります。また、一時的に同棲している人たちが「一世帯」かというと、そういうわけでもありません。

 

例えば、父、母、子の世帯の場合、子が結婚して別の世帯を作ると、父と母でひとつの世帯、子と子の配偶者でひとつの世帯ということになります。

 

この、「世帯」という単位に属する全員が住民税非課税の条件に当てはまる場合、その世帯は「住民税非課税世帯」となります。

住民税のしくみ

住民税は、所得割と均等割の2つから成る地方税です。所得割というのは、所得の額に応じて課せられる税金です。おおよそ課税所得額の10%になります。一方、均等割というのは、その地方に住んでいる人全員が支払う税金で、所得に関係なくおおよそ5,000円です。

ただし、詳細は各地方自治体によって異なります。




住民税非課税世帯になる条件

住民税非課税世帯になる条件

住民税非課税世帯は、世帯の全員が住民税の「所得割」と「均等割」の両方非課税である世帯です。具体的にどういう場合に非課税になるのかをまとめました。

 

【所得割】

・年間の所得が35万円以下
ただし、控除対象配偶者や扶養親族がいる人は、35万円×(扶養している人の数+1)+32万円以下

 

【均等割】

均等割がいくらで非課税になるかは、それぞれの地方自治体によって条件が異なります。東京23区の場合は下記の3つのいずれかに該当する人です。

 

1. 生活保護を受けている

2. 年間の所得額が35万円以下
控除対象配偶者や扶養親族がいる場合、35万円×(扶養している人の数+1)+21万円以下

3. 障害者、未成年、寡婦(夫)のどれかに該当する人で、所得125万円以下
給与所得のみなら年収204万4,000円未満

 

住民税が非課税の人というのは、上記の均等割と所得割が非課税になる条件の両方に当てはまる人のことです。例えば東京23区に住所があって、年間所得額が35万円以下であれば、住民税が非課税になるということです。

 年間の所得額の求め方は、それぞれの人の状況によって異なるため、「年収いくら以下なら住民税が非課税になる」と一概に言うことはできません。特別な控除の対象になっていない給与所得者の場合は、年収100万円以下であれば住民税が非課税になります(162万5,000円以下の所得控除額65万円+35万円=100万円のため)。

一方、65歳以上の年金受給者の場合は、その他の控除がなにもないのであれば、155万円以下で住民税非課税になります(公的年金控除120万円+35万円=155万円)。なお、配偶者を扶養している年金受給者の場合は、年収211万円以下で非課税です。

住民税非課税世帯が受けられる優遇措置(メリット)

住民税非課税世帯が受けられる優遇措置

住民税非課税世帯の人は、国民健康保険料や介護保険料、高額医療費制度を受ける際の自己負担金額など様々な優遇措置が用意されています。自治体ごとに詳細は異なりますが、通常受けることができる措置を紹介します。

 

①国民健康保険の保険料減免、医療費負担の軽減
住民税非課税世帯は国民健康保険の保険料が所得に応じて減免されます。さらに、高額療養費制度においては通常設定されている負担額が低く見積もられます。

 

②教育費の免除
0歳から2歳までの子供で、保育の必要性を認められた場合のみ保育所の利用が無償化されます。さらに、2020年4月からは「高等教育の就学支援新制度」が適応されるようになり、高等教育の費用も無償化。大学に関しては、各大学で設定されている上限額まで授業料等の免除がされるとともに、日本学生支援機構からの支給も行われます。

③プレミアム付商品券(終了済)
消費税が10%にアップした2019年10月から開始したのがプレミアム付商品券のシステムです。しかしこれは配布されるわけではなく、「2.5万円分の商品券を2万円で購入可能」というものです。

*2020年9月現在は利用期間が終了しています

 

④臨時福祉給付金(終了済)
2014年の増税の際に低所得者に対して給付されたもの。一人あたり1万5,000円が支給されましたが、2017年に申請期間が終了しました。

 

このように、増税など経済に影響が出る状況に応じて、住民税非課税世帯に給付金などが支給されます。すでに2019年に増税は行われていますが、あまり期間をおかずに増税されるのではという報道もされています。相談に行くのがためらわれる、恥ずかしい、と感じる人もいるかもしれませんが、住民税非課税世帯であるということは、世帯の人数に対して収入がかなり低いということです。生活が苦しいのは当然ですから、利用できる制度はどんどん利用し、生活の維持を図ることが大切です。

住民税非課税世帯になるための手続き

住民税非課税世帯になるための手続き

住民税非課税世帯になるための手続きは、特に必要ありません。自分で確定申告をしたり、会社で年末調整を受けたりして収入を申告した結果、家族全員の住民税が非課税になれば、住民税非課税世帯ということです。

 

なお、住民税非課税世帯のメリットを受けるために、わざと住民税が課税されている人と世帯を分けるというケースがありますが、安易な利用はおすすめできません。かえって控除の額が減って税金が増えてしまうこともあります。事実に即した申告・納税をしましょう。

 

なお、住民税非課税世帯の条件には当てはまらないが、できるだけ住民税を節約したいと考えている方は、iDeCoの活用を検討してみてください。iDeCoは、個人型確定拠出年金と呼ばれる年金制度で、拠出金が全額所得控除の対象となるため、所得税と住民税を大幅に節税することができます。

 

ただし、利用には一定の手数料がかかり、原則解約ができないというデメリットもあります。メリットとデメリットの両方を理解した上で活用しましょう。また、初めての方でも分かりやすい楽天証券のiDeCoならではの特典もございますので、詳細をチェックしてみてはいかがでしょうか。

 

iDeCoを使って所得税を節約

iDeCoを使って所得税を節約

また、住民税非課税世帯の条件には当てはまらないのですが、できるだけ住民税を節約したいと考えている方は、iDeCoの活用を検討してみてください。iDeCoは、個人型確定拠出年金と呼ばれる年金制度で、拠出金が全額所得控除の対象となるため、所得税と住民税を大幅に節税することができます。

 

iDeCoに使う掛け金は、小規模企業共済等掛金控除に当てはまるために所得から全額を差し引くことが可能です。さらに、利息・配当・売却益などの運用益も全て非課税なので後から課税されることがないところもポイントです。
ただし、利用には一定の手数料がかかり、原則解約ができないというデメリットもあります。メリットとデメリットの両方を理解した上で活用しましょう。また、初めての方でも分かりやすいならではの特典もございますので、詳細をチェックしてみてはいかがでしょうか。

このテーマに関する気になるポイント!

  1. 住民税非課税世帯とは
    住民税が課税されない世帯のことです。世帯の全員が住民税の「所得割」と「均等割」の両方非課税である世帯のことです。

  2. 住民税とは
    所得割と均等割の2つから成る地方税です。

  3. 住民税非課税世帯が受けられる優遇措置は
    ・民健康保険の保険料減免、医療費負担の軽減
    ・教育費の免除など
平林恵子
この記事を書いた人
ファイナンシャル・プランナー
平林恵子

※本著者は楽天カード株式会社の委託を受け、本コンテンツを作成しております。

人事労務関係の仕事からライターへ転身。経験を活かしてコラム執筆を行っています。2017年、見識を深めるためにFPの資格を取得しました。税金や給与計算などに詳しくない方にもわかりやすい解説を心がけています。




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