所得税 は給与所得控除の額で決まる!?2020年の改正実施による影響とは

リリース日:2022/04/01 更新日:2022/03/31

給与所得控除は、会社に勤めて給与をもらっている人が利用できる控除制度です。この給与所得控除の金額が、2020年に改正されています。一体どのような影響があるのか、具体例を交えてご説明します。

所得税 は給与所得控除の額で決まる!?2020年の改正実施による影響とは
  1. 給与所得控除は会社員が受けられる控除制度
  2. 給与所得控除の額と所得税の計算方法
  3. 2020年から施行される税制改正
  4. 実生活への影響は?

給与所得控除は会社員が受けられる控除制度

給与所得控除は会社員が受けられる控除制度

給与所得控除とは、給与所得者に適用される控除制度のことです。なお、この場合の給与所得者とは、会社と雇用契約を結んで働いている人すべてを意味します。正社員、アルバイト、パート、派遣社員といった雇用形態は問いません。もちろん、試用期間中であっても、雇用関係があれば、給与所得控除があります。

 

ちなみに、給与所得控除は、年の途中で退職したり、途中で就職した場合でも適用されます。1年間のうちに給与収入があった人は、誰であっても、給与所得に応じた給与所得控除を差し引いて所得税を計算するのです。具体的な計算方法については、次の段落でご説明します。

給与所得控除の額と所得税の計算方法

給与所得控除の額と所得税の計算方法

所得税の計算は、下記の手順で行います。

 

1. 年間の収入金額を合計する
2. 収入から所得控除の額を引いて「課税所得金額」を求める
3.「課税所得金額」に応じた所得税率で所得税計算を行う
4.「3」の額から税額控除の額を引いて所得税額を求める

 

給与所得控除は、「2」で引くことができる「所得控除」のひとつです。所得控除には、このほか、基礎控除や扶養控除、生命保険料控除などがあります。

 

上記のように、所得税の正確な金額は、年間の収入から計算されます。会社員の人は、毎月の給料から源泉所得税が差し引かれているはずですが、これはあくまでも仮の金額です。実際の所得税を計算し、毎月引かれていた源泉所得税の金額との差額調整を行うのが、「年末調整」です。

2020年から施行される税制改正

2020年から施行される税制改正

2020年から、2018年の税制改正で決定した内容が施行されます。従来の内容から変更された点はいくつかありますが、ここでは、「基礎控除のアップ」と「給与所得控除のダウン」についてご説明します。

 

まず、基礎控除については、一律10万円アップが決まりました。一方、給与所得者の税金を計算するときに使われる給与所得控除については、下記のように改正されています。

 

●2017年から2019年まで

 

●2020年から

 

例1)年収400万円の会社員の場合

 

2019年の給与所得控除は、
400万円×20%+54万円=134万円
です。

 

一方、2020年の給与所得控除は、
400万円×20%+44万円=124万円
となります。

 

例2)年収900万円の人の場合(「所得金額調整控除」に該当しない人。所得金額調整控除については、次の段落でご説明します)

 

2019年の給与所得控除は、
900万円×10%+120万円=210万円
です。

 

一方、2020年の給与所得控除は、
850万円を超えているので、上限の195万円です。

 

例1の年収400万円の人の場合は、給与所得控除が10万円減少していて、10万円アップする基礎控除と相殺できています。ところが、例2の年収900万円の人は、給与所得控除が210万円-195万円=15万円と、基礎控除のアップ分以上に減少しています。

 

つまり、年収が850万円を超える会社員の人は、2020年度の改正によって所得税が増税になり、手取りが減ってしまう可能性が高いということです。

実生活への影響は?

実生活への影響は?

年収が850万円以下の会社員にとっては、2020年度の税制改革は特に手取り額への影響はありません。給与所得控除は下がってしまいますが、反対に基礎控除が上がることから、実際の所得税額は変わりません。

 

一方、年収が850万円を超える人の場合、所得税が上がる可能性があります。

 

ただし、「年齢23歳未満の扶養親族がいる」など、一定の要件を満たす人の場合は、850万円を超えた部分から1,000万円までの部分について、10%を控除に加えられるという制度が新しくできました。これが、「所得金額調整控除」です。

 

前の段落の「例2」の人が、15歳の子供を扶養していた場合、所得控除額は下記のように変化します。

 

本来の給与所得控除:195万円
所得金額調整控除:(900万円-850万円)×10%=5万円
控除額:195万円+5万円=200万円

 

2019年までの給与所得控除は210万円ですから、10万円の差額でちょうど相殺できることがわかります。

 

このように、子育てをしていない高所得者以外の世帯では、今回の改正による手取り額への影響はないと考えてよいでしょう。

 

とはいえ、税制は都度見直されています。自分で自分の資産を守り、増やしていくには、NISAiDeCoなど、長期的な税制優遇が保証されている投資制度を活用することをおすすめします。楽天証券なら初めての方でも簡単に口座開設できます。詳細をチェックしてみてはいかがでしょうか。

平林恵子
この記事を書いた人
ファイナンシャル・プランナー
平林恵子

※本著者は楽天カード株式会社の委託を受け、本コンテンツを作成しております。

人事労務関係の仕事からライターへ転身。経験を活かしてコラム執筆を行っています。2017年、見識を深めるためにFPの資格を取得しました。税金や給与計算などに詳しくない方にもわかりやすい解説を心がけています。

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