基礎控除ってどのようなもの?基本のおさらいと2020年改正のポイント

リリース日:2020/05/14 更新日:2022/04/12

所得税と住民税の計算に関係する基礎控除の額が改正され、2020年から適用されています。「基礎控除」とは一体何なのかということと合わせて、改正によって納める税金の額がどのよう変わるのかをまとめました。

基礎控除ってどのようなもの?基本のおさらいと2020年改正のポイント
  1. 基礎控除って何?所得と控除のおさらい
  2. 2020年から基礎控除はどう変わる?
  3. 基礎控除が変わったことで所得税はどうなる?

基礎控除って何?所得と控除のおさらい

基礎控除って何?所得と控除のおさらい

基礎控除を理解するために、まず、「控除」がどのようなものなのかを知っておきましょう。

 

日本の所得税や住民税は、収入に一定の率をかけることで算出されます。所得税は累進課税といって、お金をたくさん稼いでいる人ほど税率も高くなっていく仕組みになっています。

 

ただし、単純に「年収が高い人は税金が高い」とは言えません。同じ年収1,000万円でも、独身の人と子どもが5人いる人では、生活にかかるお金はまったく違います。そこで、「扶養している人がいるかどうか」や、「障害があるかどうか」といった条件に当てはまる人は、当てはまらない人に比べて税金を軽減する制度があるのです。

 

税金は、1年間の収入からこれらの条件に従って決まる「所得控除」の額を引いて「課税所得額(税金がかかる所得の額)」を求め、それに税率をかけ、最後に「税額控除」の額を引くことで決まります。つまり、控除にたくさん該当すればするほど、「課税所得額」を減らせるというわけです。

 

さて、それでは「基礎控除」とはどういう控除なのかというと、それは「全員が利用できる所得控除」となります。基礎控除の改正は、今所得税や住民税を納めている人や、これから納める人など、収入がある人すべてに関係があることなのです。

2020年から基礎控除はどう変わる?

2020年から基礎控除はどう変わる?

2019年まで、所得税の基礎控除は38万円でした。つまり、年収200万円の人でも、年収500万円の人でも、会社員でも、自営業者でも、全員が収入から38万円を差し引いて所得税計算ができるということです。

 

2020年からは、これが48万円になり10万円アップします。つまり、税率を掛ける前の金額が10万円減るということです。

 

なお、所得税も住民税も、所得控除を引いた金額に税率をかけ、最後に税額控除を差し引いて税額を求める点は同様です。住民税の基礎控除は2019年まで33万円でしたが、2020年からは43万円にアップします。つまり、基礎控除の額自体は違うものの、住民税も、所得税の場合と同じように10万円基礎控除の額が上がるということです。

 

それでは、これによって税金は実際にどのくらい変わることになるのでしょうか?次の段落でご説明します。

基礎控除が変わったことで所得税はどうなる?

基礎控除が変わったことで所得税はどうなる?

「基礎控除が10万円上がるということは、それだけ税金が少なくなる」と考えた人も多いでしょう。もちろん、基礎控除が上がって、それ以外の控除制度に変更がないのであれば、税金は少なくなります。しかし、残念ながら2020年の改正では、必ずしも税金が減るとは言えません。

 

控除の種類の中に、会社から「給与」をもらっている人が受けられる「給与所得控除」という控除があります。これは、給与をもらっている会社員であれば誰でも受けられる控除です。正社員だけでなく、パート・アルバイト・派遣社員・契約社員なども対象です。

 

この給与所得控除の額は、収入によって異なります。

 

【2017年~2019年】

180万円以下:収入金額×40%(ただし、65万円未満は65万円)
180万円超360万円以下:収入金額×30%+18万円
360万円超660万円以下:収入金額×20%+54万円
660万円超1,000万円以下:収入金額×10%+120万円
1,000万円超:220万円(上限)

 

【2020年~】

180万円以下:収入金額×40%-100,000円(ただし、55万円未満は55万円)
180万円超360万円以下:収入金額×30%+8万円
360万円超660万円以下:収入金額×20%+44万円
660万円超850万円以下:収入金額×10%+110万円
850万円超:195万円(上限)

 

つまり、年収850万円以下の会社員は、基礎控除が10万円上がって、給与所得控除が10万円下がることで、結局プラスマイナス0になるのです。反面、年収が850万円以上の会社員は、上限が変更されたことで所得税が上がることになります。

 

フリーランスや自営業者であれば、所得税額が減る可能性があります。給与をもらっているわけではないフリーランスや自営業者は、給与所得控除改正の影響を受けません。基礎控除が上がるだけなので、これまでよりも所得税が減らせる場合があるのです。

 

ただし、フリーランスや自営業者の中で、青色申告を利用している人は、「青色申告特別控除」が65万円から55万円に減額されるため、結局プラスマイナス0になります。申告にe-TAXを利用したときのみ、控除額が65万円のままです。フリーランスや自営業の人は、この機会にe-TAXの利用を検討してみてはいかがでしょうか。

 

これらをまとめると、2020年の基礎控除の改正によって、年収850万円以上の人は所得税がアップする可能性があります。また、それ以外の人も、残念ながら、基礎控除が上がるからといって、一概に所得税が減るとは言えません。

 

手取り収入を増やすためには、NISAやiDeCoなどを活用して自分で自分の資産を形成していくことを考えていく必要があるでしょう。

平林恵子
この記事を書いた人
ファイナンシャル・プランナー
平林恵子

※本著者は楽天カード株式会社の委託を受け、本コンテンツを作成しております。

人事労務関係の仕事からライターへ転身。経験を活かしてコラム執筆を行っています。2017年、見識を深めるためにFPの資格を取得しました。税金や給与計算などに詳しくない方にもわかりやすい解説を心がけています。

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