企業年金連合会について知っておきたい脱退一時金の扱いや住所変更など
企業年金に加入している人は、企業年金連合会についても知っておきましょう。退職や基金の解散といった理由で、年金原資が宙に浮いてしまうことを防ぐ役割を果たします。年金原資の移管方法や脱退一時金の扱いをまとめました。
もくじ
・企業年金連合会とは
・移換するには?
・脱退一時金の扱いはどうするべき
・住所変更、死亡届など変更事項の対処法
企業年金連合会とは
企業年金には、厚生年金基金や確定給付企業年金、確定拠出年金などさまざまな種類があります。それぞれ「年金原資を誰が管理するのか」や「どのように給付するのか」が異なりますが、すべて「企業による私的年金である」という点では同一です。
企業年金連合会は、こうした企業の私的年金のサポートを行うための団体です。企業年金制度を持っている企業に対して、企業年金に関する情報の提供を行ったり、正しい知識を身に付けるための研修を行ったりして、企業が円滑に年金制度を運営できるサポートを行っているのです。
また、企業年金に加入している社員にとって重要な役割として、「一部の退職者や企業年金が解散した場合の受け皿となる」ことが挙げられます。たとえば、「10年以上加入すると60歳以降に年金が受け取れる」という企業年金(※確定拠出年金を除く)に加入していた人が8年で退職してしまうと、この人は年金を受け取ることができません。しかし、企業年金の規約に基づいて「脱退一時金」が支払われる場合があります。
このとき、脱退一時金をそのまま受け取るのではなく、「企業年金連合会に資金を移換し、60歳まで待って年金として受給する」ことが可能です。これまでに積み立てたお金を一時金で受け取ってしまうのではなく、本来の「老後資金」としての用途として使えるように管理・運用してくれるのが、企業年金連合会なのです。この場合の年金は終身で受け取れるため、長生きのリスクに備えることもできます。
また、「退職はしていないが、企業年金基金が解散してしまった」ということもあるでしょう。この場合も、年金原資を一時金として受け取るのではなく、企業年金連合会に移換して年金を受け取れる年齢まで運用してもらうことができます。
移換するには?
企業年金連合会に年金原資を移換したい場合は、まず移換の条件を満たすかどうかを知る必要があります。脱退一時金が受け取れない短期間で退職した人などは、対象外となるので気を付けましょう。また、移換しなくても将来年金が受け取れる期間すでに加入しているという場合も対象外です。
移換を希望する対象者は、加入していた企業年金にその旨を知らせる必要があります。脱退から1年以内に連絡しなければいけませんから、放置してしまわないようにしてください。
なお、一度企業年金連合会に移換を行った人が、再度企業年金制度のある企業に再就職した場合は、企業年金に再度移換することができます。
脱退一時金の扱いはどうするべき
脱退一時金を受け取るのと、将来年金として受け取るかのどちらが得かは、それぞれの人が何年生きるかによって異なるため、受け取り時点で知ることはできません。しかし、何歳まで生きればプラスに転じるのかを知ることはできます。企業年金連合会に年金として受け取った場合のシミュレーションがあるので確認してみましょう。
なお、年金受取額は、移換から受け取り年齢に達するまでの期間が長ければ長いほど高くなります。また、当然ですが、脱退一時金として受け取れる年金原資が高いほど、将来受け取れる年金額も高額になります。
さらに、80歳までは保障期間となるため、もしもそれよりも早く亡くなってしまった場合は、遺族に死亡一時金が支給されます。これは、受給年齢に達する前に亡くなった場合も同様です。脱退一時金として受け取らないとまるまる無駄になってしまう、というようなことはありませんから安心してください。
住所変更、死亡届など変更事項の対処法
企業年金連合会に年金原資を移換した後で、引っ越しをしたり本人が死亡したりといったことが起こった場合は、すみやかに届出を行う必要があります。個人情報が更新されないまま放置してしまうと、年金を受け取れないといったトラブルにつながる可能性もありますから、きちんと連絡を行うようにしてください。
住所が変わった場合は、氏名、生年月日、連絡先電話番号、新住所、年金証書番号を記入した住所変更届(専用用紙でなくても可)を企業年金連合会宛てに郵送します。
加入者が亡くなった場合は、「企業年金連合会老齢年金受給権者死亡届」を提出する必要があるので、まずは企業年金連合会にその旨の連絡をして、用紙を取り寄せましょう。届の提出後、2~3ヶ月程度で手続きが完了します。なお、このときに年金証書を同封する必要があります。ない場合はその旨を書き添えるようにしてください。
万が一のときにスムーズに届を出すためにも、企業年金連合会に年金原資が移換されていることについては、家族にもしっかり伝えておくようにしましょう。
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