厚生年金と国民年金の違いや保険料&厚生年金基金とは
国民年金と厚生年金、どう違うかきちんと説明できますか?会社員がもらえる年金の制度や保険料の仕組みについてまとめました。将来をやみくもに不安に思う前に、まずは制度について正しく理解しましょう。
もくじ
・厚生年金とは。国民年金との違い
・厚生年金の保険料
・厚生年金基金とは
厚生年金とは。国民年金との違い
日本の年金制度は、よくビルに例えて表現されます。最初の1階部分は、20歳以上の人が加入する「国民年金」です。これは、会社員、主婦、自営業、公務員、誰でも将来受け取れる年金です。2019年1月現在の国民年金保険料は1万6,340円(月払いの場合の月額)で、20歳から60歳までの40年間の支払いで満額受け取ることができます。2019年1月現在の国民年金受給額は満額の場合で77万9,300円(年額)です。
保険料も支給される年金額も年々変わっていますから、詳細な損得の計算をするためには、日本年金機構でのシミュレーションが必要になります。ここでは仮に現在の納付額と支給額が今後40年続いた場合のシミュレーションをしてみましょう。
1万6,340円×12ヶ月×40年=784万3,200円
784万3,200円÷77万9,300円=10.064……
以上のことから、11年以上年金をもらえば、「払い損」にはならないということになります。さらに、国民年金保険料はまとめて納付すると割引になり、支給開始年齢を後ろに下げることで受給額を上げることもできます。
しかし、会社員の方やその扶養に入っている配偶者は、「国民年金」という形で年金保険料を支払ってはいないでしょう。会社員は「第二号被保険者」として厚生年金保険料を納めることで、国民年金を受け取ることができます。その扶養に入っている配偶者は第三号被保険者となり、保険料は第二号被保険者である会社員の保険料に含まれる(扶養者がいることによって保険料が上がることはありません)からです。
それでは、会社員が支払っている厚生年金とは、どのようなものなのでしょうか。
これは、国民年金の上にある「二階建て」の部分です。年金を受け取る際に、国民年金の受給額に加えて、厚生年金分を上乗せして受給することで、将来多くの年金を受け取ることができるのです。実際にいくら上乗せされるのかは、それぞれの人の現役時代の給与額や、加入期間によって異なります。
厚生年金の保険料
厚生年金の保険料は、「標準報酬月額」によって決まります。標準報酬月額は、算定期間3ヶ月の給与の平均額から求められるので、計算してみましょう。たとえば、4月に27万円、5月に25万円、6月に26万円の給与(交通費や残業代を含む)を受け取った人の場合、(27+25+26)÷3=26万円が平均です。これを「保険料額表」にあてはめると、標準報酬月額は26万円、等級は17等級ということになります。
この人の厚生年金保険料は、月額4万7,580円です。会社員の場合、この金額を企業と社員が半分ずつ負担することになっているので、実際に給与から差し引かれる金額は2万3,790円となります。会社員には、将来多くの年金を受け取れるだけでなく、月々の掛金についても、半分の負担で済むという大きなメリットがあるのです。
1階の国民年金、2階の厚生年金というふたつの年金が受け取れる会社員ですが、さらに手厚い年金を用意している企業もあります。これが、「3階部分」ともいわれる私的な年金です。
厚生年金基金とは
厚生年金基金は、「年金制度の3階部分」に該当する、企業が用意している年金です。国民年金や厚生年金は国の制度ですが、厚生年金基金は国ではなく、独自に設立された特別法人が管理や運用を行います。この法人は、企業が独自に設立する場合もあれば、いくつかの企業が集まって設立される場合もあります。
どちらにせよ、企業自体が運用するわけではありません。そのため、企業の経営悪化により資金を使い込まれたり、企業が倒産した場合に年金が受け取れなくなったりといったリスクが低減されます。
とはいえ、近年、厚生年金基金制度を導入している企業はあまり多くありません。バブルの崩壊や景気の悪化に伴って、運用状況が芳しくなくなり、解散する基金が出ているのです。
そこで、新しく生まれたのが「確定拠出年金」です。企業型確定拠出年金も「3階部分」に相当する年金制度ですが、社員自身が拠出金を運用して年金を作っていくという点が、これまでの年金とは大きく異なる特徴といえます。
拠出年金には、口座管理に手数料がかかるといった問題点もありますが、企業型確定拠出年金であれば、手数料も拠出金も原則企業が負担するため、社員にとってのデメリットはほとんどないといえるでしょう。
確定拠出年金は、現行の年金制度に不信感を抱いている人にも広く受け入れられており、政府も推奨していることから、今後、新たな老後資金づくりの要となっていくと考えられます。
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