失業保険は1年未満でも受給できる?病気など自己都合の離職の受給条件を解説

リリース日:2024/02/08 更新日:2024/02/08

失業保険は通常1年以上の就労経験がないと受け取れません。しかし、倒産などやむを得ない理由で失職した場合は1年未満の就労でも受給が可能です。ここでは失業保険の受給条件について詳しく解説します。

  1. 失業保険とは
  2. 失業保険の受給条件は?
  3. 失業保険は1年未満の就労でも受給可能か
  4. 自己都合退職と会社都合退職での失業保険の違い
  5. 離職理由の判断は誰がするの?
  6. 病気や妊娠などですぐに働けない場合は?
  7. 失業保険をもらいながら働くことはできる?
  8. 再就職をした場合の給付について
  9. 給付金の受け取りに銀行口座を用意しよう!

失業保険とは

失業保険とは

まず「失業保険」という呼び名は通称であり、実際は「雇用保険における基本手当」のことを指します。失業手当、失業給付金という名前で呼ばれることもありますが、いずれも指しているものは同じです。

 

雇用保険における基本手当(以下失業保険)は、労働者が何らかの理由で職を失ったとき、次の就職先探しに安心して集中できるように生活のためのお金を支給してもらえる制度です。

 

雇用保険は労働者の生活と雇用を守るための公的社会保険であり、人々が安定的に仕事に就けるようさまざまな支援制度が用意されています。失業保険はその支援制度のひとつであり、広く知られている制度といえるでしょう。

失業保険の受給条件は?

失業保険の受給条件は?

失業保険を受給するためには、以下の2つの条件を満たしていなければなりません。

条件1:本人に働く意志があるのに仕事が見つからない状態であること

失業保険を受けるためには、失業の状態にあることが大前提です。失業の状態とは、「ハローワークに訪問し、求職の申し込みを行い、就職しようとする積極的な意思があり、いつでも就職できる能力があるにもかかわらず、本人やハローワークの努力によっても、職業に就くことができない状態」という意味です。

 

そのため家事や家業に専念するために仕事を辞めたり、休養を取るために仕事を辞めたりする場合、つまり次の職場を積極的に探す意志がない(状況にない)場合は失業保険を受け取ることはできません。

 

また、すでに次の就職先が決まっていて仕事を探す必要がない場合も失業保険は受給できません。会社を辞めて、すぐに自営業を始めるというケースも同様です。あくまで「雇用先を探している」という状態であることがポイントです。

 

ただし、就職先を探しつつ開業も視野に入れる、といったように並行する場合は受給対象になります。

条件2:直近2年間で雇用保険に加入していた期間が12カ月(1年)以上ある

退職日からさかのぼって2年の間に、雇用保険に加入して働いていた期間が通算で12カ月以上必要です。加入期間は通算で構わないので、2年の間に転職などで複数の職場で働いていたり、休職していた期間があったりしても問題ありません。

 

ただし1カ月のうちの労働日数が11日以上、または賃金支払いの元となった労働時間が80時間以上ないと1カ月の加入期間とカウントされません。また、1月、2月といった月単位ではなく、離職した日から1カ月ごとに区切ってカウントしますので数え間違いには注意が必要です。

失業保険は1年未満の就労でも受給可能か

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先述のように、失業保険を受け取るためには原則として直近2年間に1年以上の就労が必要です。

 

ただし、解雇や倒産などの会社都合による退職や、やむを得ない理由がある自己都合の退職の場合は、必要な就労期間が直近1年以内に6カ月間に短縮されます。この場合も雇用保険に加入していることが条件です。

 

やむを得ない理由がある自己都合の例としては、以下のようなものがあります。

 

  • 病気、ケガ、障害などで仕事を続けられなくなった
  • 妊娠、出産、育児で退職し、受給期間延長措置を受けた
  • 家族の介護や看病などのために仕事を辞めた
  • 公共交通機関が廃止となり、通勤が難しくなった
  • 配偶者の転勤による別居を避けた

簡単にまとめると、「自分に責任がない理由で仕事を辞めざるを得なくなった場合は、1年未満の就労でも失業保険は受給可能である」と考えて良いでしょう。なお、解雇や倒産などの会社都合により失業した人を「特定受給資格者」、やむを得ない理由がある自己都合で退職した人を「特定理由離職者」といいます。

自己都合退職と会社都合退職での失業保険の違い

自己都合退職と会社都合退職での失業保険の違い

上記のように自己都合退職と会社都合退職では失業保険を受け取るための条件が異なりますが、ほかにも以下のような違いがあります。

給付日数

給付日数とは、失業保険を受け取ることができる日数のことです。何日分受け取れるかという上限は離職理由によって変化します。自己都合退職の場合の給付日数は次のとおりです。

完全な自己都合退職の場合

失業保険に加入して働いていた期間
1年未満 1年以上10年未満 10年以上20年未満 20年以上
全年齢共通 受給不可 90日 120日 150日
 

自己都合で退職したときは、最短で90日(約3カ月)、最長で150日(約5カ月)にわたって給付を受け取ることができます。

会社都合・やむを得ない理由とされる退職の場合

失業保険に加入して働いていた期間
1年未満 1年~5年未満 5年~10年未満 10年~20年未満 20年以上
30歳未満 90日 90日 120日 180日
30歳~35歳未満 120日 180日 210日 240日
35歳~45歳未満 150日 240日 270日
45歳~60歳未満 180日 240日 270日 330日
60歳~65歳未満 150日 180日 210日 240日
 

自己都合の退職と比べ、倒産や解雇などの会社都合や先述のやむを得ない理由での失業の場合は、全体的に給付日数が長く設定されています。最短で90日(約3カ月)、最長で330日(1年弱ほど)の期間、お金を受け取ることが可能です。

 

また、この場合は就労期間だけでなく年齢によっても給付日数が変動するのが特徴です。

待期期間と給付制限

失業保険には、受給が決定してからお金を受け取れるまでの間に7日間の待期期間があります。これは離職の理由にかかわらず共通です。

 

これに加えて自己都合退職の場合は、さらに2カ月または3カ月間の給付制限が設けられます。つまり実際にお金を受け取れるまでに数カ月以上の期間待たなくてはいけません。

 

なお給付制限の長さは、

 

  • 令和2年10月以降の退職である
  • 直近5年間のうち2回目までの退職である

という条件を満たせば2カ月、それ以外の場合は3カ月となります。従来は一律で3カ月でしたが、令和2年10月からこのような条件となりました。

離職理由の判断は誰がするの?

離職理由の判断は誰がするの?

このように失業保険では、離職するに至った理由によって受給要件や給付内容が大きく変わってきます。そして自己都合か会社都合かといった重要な判断をするのは職業安定所(ハローワーク)または地方運輸局です。具体的には離職票を元に、離職者と会社の双方が主張する離職理由やその裏付けとなる資料などから客観的に判断します。

 

自ら辞表を書いた場合は「自分で退職することを決めたんだから自己都合じゃないの?」と思うかもしれませんが、必ずしもそうではありません。

 

例えばパワハラや賃金の未払いのような、明らかに会社側に非があり退職に追い込まれた場合は、会社都合ややむを得ない理由での失業と認められることがあります

 

失業保険は会社都合退職のほうが受給期間も長く、労働者側にとってメリットが大きいので、少しでも気になることがある場合はハローワークの職員に相談するようにしましょう。

病気や妊娠などですぐに働けない場合は?

病気や妊娠などですぐに働けない場合は?

失業保険を受け取るには積極的に仕事探しをしている必要がありますが、病気やケガ、妊娠や出産などの理由で退職した場合、すぐに仕事探しを始めたり就職したりすることは難しいでしょう。

 

一方で失業保険を受給できる期間は、原則離職してから1年と決まっています。働ける状態になるまで待っている間に失業保険の受給権利を失ってしまった、となるのは困ります。

 

こういったときは給付期間の延長申請が可能です。これは失業保険の受給期間内に30日以上働けない期間ができた場合に、受給できる期間を最大3年間延長できるというものです。

 

延長の申請には、延長理由を確認できる書類をハローワークに提出する必要があります。医師の診断書などが該当しますので、申請したい場合は用意しておきましょう。

失業保険をもらいながら働くことはできる?

失業保険をもらいながら働くことはできる?

失業保険の受給が決まったとしても、やはり次の就職先が見つかるまでは落ち着かない日々が続くものです。特に自己都合による退職の場合は、実際にお金が受け取れるまでに2カ月から3カ月も待たなくてはいけないので、アルバイトなどをして少しでも足しにしたいと考える人もいるでしょう。

 

失業保険をもらうには失業中であることが大前提ですが、きちんとハローワークに申告をしたうえで、一定のルールの範囲内であればアルバイトなどで収入を得ることは可能です。

 

具体的には、

 

  • 待期期間中の7日間は働いてはいけない
  • 週に20時間以内の就労にとどめる

これらの条件に収まるようにすれば、失業保険をもらいながら働くことが可能です。

 

アルバイトをした場合、その日労働した時間が4時間未満の場合は「内職・手伝い」となり、その日分の受給日額が減額されたうえで支給されます。4時間以上働くと「就労」になり、その日分の支給は先送りされます。

 

なおアルバイトをしている間も、就職先探しは継続して行わなくてはいけません。週に20時間以上働いた場合や、1カ月以上の長期にわたってアルバイト雇用が続くと見込まれる場合は、再就職したと見なされて失業保険の支給が打ち切られます。

再就職をした場合の給付について

再就職をした場合の給付について

無事に次の就職先が見つかった時点で失業保険の支給は打ち切られますが、再就職手当という給付金を受け取れることがあります。金額は以下のとおりです。

 

  • 3分の2以上の日数を残して再就職した場合:基本手当の残日数の70%
  • 3分の1以上の日数を残して再就職した場合:基本手当の残日数の60%

例えば自己都合で退職した人が給付制限期間中に再就職を果たしたとします。この場合、失業給付を1日分ももらわないまま給付対象から外れることになりますが、再就職手当として70%の金額が受け取れます。早く仕事を見つけられれば、早く収入が安定するうえに再就職手当も受け取れるということです。

 

また、再就職したのは良いものの、前職よりも賃金が下がってしまったという場合には就業促進定着手当というものが受け取れます。具体的には、再就職先で6カ月以上雇用が続き、かつ再就職先で支払われた1日あたりの賃金が前職の1日あたりの賃金より低い、というのが条件です。

 

このとき支給される金額は、

 

(前職の1日あたりの賃金と再就職先の1日あたり賃金の差額)×(再就職の日から6カ月間で働いた日数)

 

で計算します。要するに下がってしまった金額分だけ補填されるというわけです。

給付金の受け取りに銀行口座を用意しよう!

給付金の受け取りに銀行口座を用意しよう!

失業保険の給付は、ハローワークからの銀行振込によって行われます。受給者本人の名義である必要があるので、振込先に指定する口座を申請手続きまでにあらかじめ決めておきましょう。

給付金の受け取りには楽天銀行が便利です。楽天銀行には「ハッピープログラム」(※1)という楽天銀行のお客様向けの優遇プログラムがあり、取り引きの実績によってATM利用手数料や他行振込手数料が無料になります。仕事を見つけて収入が安定するまでは少しの手数料負担でも節約したいところなので、魅力的なサービスではないでしょうか。

 

お金の引き出しや預け入れは24時間365日(※2)、街のコンビニATMから行うことができ、いつでもどこでも気軽に利用できます。

 

※1 ハッピープログラムにはエントリー(無料)が必要です。
※2 システムメンテナンス時を除く。

 

※この記事は2024年1月時点の情報をもとに作成しております。

このテーマに関する気になるポイント!

  • 失業保険の受給条件は?

    失業中で仕事探しをしており、かつ直近2年以内で1年以上雇用保険に加入して就労していた実績が必要です。

  • 1年未満の就労では失業保険はもらえない?

    退職した理由が解雇や倒産などの会社都合である場合や、病気やケガなどのやむを得ない理由であれば6カ月の就労でも可能です。

  • 失業保険をもらいながらアルバイトはできる?

    週に20時間以内の就労であれば、失業保険をもらいながらアルバイトをすることは認められています。ただし勤務期間が長期化すると再就職したと見なされて受給が打ち切りになります。

  • 再就職手当の受給条件は?

    再就職先が見つかった時点で、受給日数が3分の1以上残っていることです。

miso
この記事を書いた人
ファイナンシャル・プランナー(2級FP技能士)
miso

※本著者は楽天カード株式会社の委託を受け、本コンテンツを作成しております。

演奏家、ライター、FPとして活動する複業フリーランス。 お金の管理や記録が好きで、独学で簿記3級、FP2級を取得しました。 特に確定申告や税金分野への関心が高いです。お金にまつわる様々な制度や仕組みについてわかりやすく解説します。

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