2020年に給与所得控除が変わる!得する?損する?最新の速算表

リリース日:2019/10/18 更新日:2019/10/18

給与所得者の納税額を定める際、年収から控除されるものの一つが給与所得控除。その金額は、2020年から10万円引き下げられることになっています。家計にはどのような影響があるのでしょうか。概要をまとめました。

2020年に給与所得控除が変わる!得する?損する?最新の速算表
  1. 給与所得控除とは
  2. 2020年の改正内容
  3. 給与所得控除額の具体的な計算方法
  4. 給与所得控除と基礎控除以外の2020年の改正
  5. 2020年の改正で得する人・損する人
  6. 参考サイト

給与所得控除とは

給与所得控除というのは、給与所得者の人が所得税や住民税を計算するときに利用される控除のひとつです。

 

税金の計算は、次のように行われます。

 

・年間の収入額-給与所得控除の額-基礎控除の額-社会保険料の額-各種控除の額(年末調整で申告する扶養控除や、確定申告をする医療費控除、寄付金控除など)=課税所得金額

・課税所得金額×税率-税額控除額=税額

 

つまり、同じ年収であれば、給与所得控除が高ければ税金は低くなり、低ければ税金は高くなるということです。

2020年の改正内容

2020年の改正内容

2020年の改正では、「給与所得控除」とともに、「基礎控除」も変更になっています。

 

【給与所得控除】

給与所得控除

 

改正ポイントは次の2点です。

 

・給与所得控除の額が10万円減少
・給与所得控除額の上限が195万円に引き下げ

 

これだけ見るとすべての人の給与所得控除が引き下げられ、その結果、課税所得額が上がって税金が増えるように見えます。しかし、実際には基礎控除の改正も同時に行われるため、高所得者以外の税額は変わりません。

 

【基礎控除】

基礎控除は、すべての人が一律で受けられる控除のことで、所得額に関わらず同額です。

 

2019年まで…38万円
2020年から…48万円

 

つまり、今回の改正の影響を受けるのは、年収が850万円を超える人ということになります。ただし、子育て世帯や介護世帯については、この改正の影響が出ないよう調整されますので、厳密には、改正の影響があるのは「子育て、介護世帯ではない年収850万円超の人」ということになります。

給与所得控除額の具体的な計算方法

給与所得控除額の具体的な計算方法

給与所得控除額を具体的に計算してみましょう。毎月の月給(手取りではなく支給額。交通費は含めない)が25万円、賞与が年2回30万円だった人を例にとって考えてみます。

 

25万円×12カ月+30万円×2回=360万円(年収の額)

 

360万円以下の場合の計算式は「収入金額×30%+8万円」ですから、所得控除額は下記の通りです。

 

360万円×30%+8万円=116万円

 

この人には扶養家族がおらず、ほかに控除を受ける要素がなかったとすると、税金は次のように計算されます。

 

360万円-116万円(給与所得控除の額)-48万円(基礎控除の額)=196万円

196万円×10%(※課税所得額が196万円の場合の所得税率は10%)=19万6,000円

 

ちなみに、2019年までの場合の計算方法は下記の通りです。

 

360万円×30%+18万円=126万円

360万円-126万円(給与所得控除の額)-38万円(基礎控除の額)=196万円

196万円×10%=19万6,000円

 

このように、どちらの場合も税額は同じになります。

給与所得控除と基礎控除以外の2020年の改正

給与所得控除と基礎控除以外の2020年の改正

2020年から変わるのは、給与所得控除と基礎控除だけではありません。現役の会社員の方にはあまり関係ないかもしれませんが、ご家族の方などに関わる場合もあるので概要を知っておきましょう。

 

・公的年金等控除

給与収入に給与所得控除があるのと同じように、年金収入には公的年金等控除があります。この公的年金等控除も、2020年からは10万円引き下げられます。ただし、給与所得者の場合と同様に基礎控除が同額上がるので、基本的に税額は変わりません。

 

ただし、これまでは上限がなかった公的年金等控除に新しく上限が設けられた関係で、年金額が1,000万円超の場合は控除額が少なくなり、結果として税額が上がります。また、年金以外の雑収入を1,000万円以上得ている人も税額がアップすることになるでしょう。

 

・青色申告特別控除

事業を営み青色申告をしている人には、青色申告特別控除という控除項目がありますが、この金額も2020年、65万円から55万円に10万円引き下げられます。ただし、e-Taxを利用して電子申告した場合は従来通り65万円の控除が受けられます。

2020年の改正で得する人・損する人

このように2020年の改正で、税金が多くなる人、少なくなる人がいますので、整理してみましょう。

 

【損をする人】

⇒年収が850万円を超える会社員、年金受給者

 

850万円を超える金額を稼いでいる会社員のうち、介護や子育てをしていない人は税金が高くなってしまいます。年収1,000万円を超える年金受給者も同様です。

 

【変わらない人】

⇒年収850万円以下の会社員、介護・子育て世帯の会社員

 

年収が850万円以下の会社員の人や1,000万円以下の年金受給者、介護・子育て世帯の会社員は基本的に税額の変更がありません。

 

【得をする人】

⇒青色申告をしている人のうちe-Taxを利用する予定の人

 

自営業者のほか、副業を青色申告している会社員なども該当します。

 

 

給与所得控除が引き下げになることで、「増税だ!」と思ってしまう人もいるかもしれませんが、一部の高年収の人以外には、今回の改正はそれほど大きな影響のないものです。安心して2020年を迎えましょう。

参考サイト

・国税庁|よくある税の質問(No.2260 所得税の税率) 2019.10.17
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm

平林恵子
この記事を書いた人
ファイナンシャル・プランナー
平林恵子

※本著者は楽天カード株式会社の委託を受け、本コンテンツを作成しております。

人事労務関係の仕事からライターへ転身。経験を活かしてコラム執筆を行っています。2017年、見識を深めるためにFPの資格を取得しました。税金や給与計算などに詳しくない方にもわかりやすい解説を心がけています。

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