新興国株とは具体的にどういう意味か。投資初心者にもわかりやすく解説

リリース日:2022/11/08 更新日:2023/09/12
黒川ヤスヒト
この記事を書いた人

ファイナンシャル・プランナー(AFP)

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証券会社でリテール営業を経験し、AFP資格を取得。現在ライターとして、パーソナルファイナンスに関する情報の発信を手がけています。 関心分野は、ライフプランに関する意識調査や最新の金融商品・サービスなど。

※本著者は楽天カード株式会社の委託を受け、本コンテンツを作成しております。

長期的な資産形成におすすめの投資信託(ファンド)。投資初心者でも、世界のさまざまな資産に分散投資できる金融商品です。投資信託とは、投資家から集めた資金を株式や債券などに投資・運用する商品で、数多くの種類があります。銀行預金などと異なり元本が保証されている金融商品ではないことはもちろん、商品ごとの違いを理解しておくことが必要です。株式を投資対象とする投資信託は、株式の種類を投資対象地域により先進国株と新興国株に区分することがあります。投資信託によって、どちらかだけに投資するタイプもあれば、両方を投資対象とするタイプもあります。ここでは新興国株に注目し、投資対象としての理解を深めていきましょう。

  1. そもそも「新興国」とは?
  2. 新興国株式市場のこれまでと今後
  3. ずばり新興国株への投資はありかなしか

そもそも「新興国」とは?

そもそも「新興国」とは?

 

新興国とは、現状では経済の水準が低いものの、高い成長が期待されている国のことをいいます。日本やアメリカ、ヨーロッパなどの先進国と区別する際に使われ、エマージング国と呼ばれることもあります。新興国と呼ばれる国や地域が存在するのは、東南アジアや中東、東欧、中南米など。投資においては、投資信託がどのような国や地域を投資対象としているかを示す際に使われています。株式であれば、新興国株に投資する投資信託があったり、先進国株に投資するものがあったりします。

 

投資対象としての新興国が注目され始めたのは、2000年以降のことです。先進国以外の国から、高い成長率を示す国々が登場し、新興国への投資がブームとなったのです。2013年には先進国と呼ばれる36の国・地域と、それ以外の国々のGDP世界シェアに大きな変化が起こりました。先進国以外のGDPの合計が、世界全体のGDPの50%を上回るようになってきたのです。世界経済における新興国の存在感が、大きくなってきたことがわかるでしょう。

 

新興国株と先進国株。投資対象としては、さまざまな違いが存在します。ひとつはリスクの大きさ。国や地域によるリスクのことは、「カントリーリスク」と呼んでいます。このカントリーリスクが新興国株では大きく、先進国株では小さくなると一般的に考えられています。政治や経済の状況が不安定になれば、その国における株式市場の値動きが大きくなるのが新興国株へ投資する際の注意点です。ただ新興国は成長性が高く、新興国株式への投資はリターンも大きくなると期待されています。

 

新興国が持つ成長性の高さの要因のひとつとなっているのが「人口ボーナス」の存在です。人口は、15~64歳の生産年齢人口と、14歳以下の年少人口に65歳以上の老年人口を加えた従属人口とに区分できます。このうち生産年齢人口が従属人口の2倍を超える状況が、人口ボーナス期と呼ばれています。労働人口が多く生産や消費が活発になる一方、高齢者の数が少ない分、社会保障にかかる費用が抑えられ、経済が拡大しやすい状況です。

新興国株式市場のこれまでと今後

新興国株式市場のこれまでと今後

新興国株の推移

新興国の経済成長の高さは、2000年頃から注目されるようになりました。先進国のGDP成長率を上回る推移が続き、新興国への投資が盛んになりました。しかし2007年のリーマンショックから始まる世界金融危機の後は、成長スピードの鈍化が指摘されるようになっています。新興国の発展は、世界経済のグローバル化によるところが大きいといわれており、先進国と新興国が貿易で結び付き、分業体制が広がりを見せてきたからだったといえ、その勢いが落ちてきたと考えられますす。

 

新興国株の最近の値動きを、新興国株を投資対象とした投資信託のデータを通して見てみましょう。「eMAXIS Slim 新興国株式インデックス」は、新興国における株式市場の値動きに連動して成果を目指す投資信託です。2022年8月31日時点での構成比率上位を見ると、ケイマン諸島(17.3%)、インド(13.7%)、台湾(13.3%)、中国(11.3%)、韓国(10.8%)、ブラジル(5.1%)となっています。

株価と基準価額

2022年10月14日時点のパフォーマンスをチェックすると、年率リターンは過去5年の平均が+2.06%、過去3年では++6.11%となっています。しかし直近の1年では‐10.48%、6カ月では‐17.15%とマイナスに転じている状況です。成長率の高さが注目され、投資対象としてブームになっている新興国株ですが、1年でのパフォーマンスがマイナスとなることもあるようです。

 

先進国株との比較として、投資信託「eMAXIS Slim 先進国株式インデックス」の値動きも見てみましょう。こちらは日本を除いた先進国の株式市場の値動きに連動して投資成果を目指す投資信託です。2022年8月31日時点での投資対象の構成比率上位は、アメリカ(70.3%)、イギリス(4.2%)、カナダ(3.5%)、フランス(3.0%)、スイス(2.8%)となっています。

同様に2022年10月14日時点の投資信託の値動きを見ると、過去5年における年率リターンの平均は+12.00%。過去3年では+16.79%、直近の1年では+3.77%、6カ月では-7.74%と新興国株を上回るパフォーマンスを見せています。新興国では高い経済成長が期待されるとはいえ、株価は世界の経済や金融市場の動向に左右される部分もあります。新興国株は、必ずしも先進国株を上回るパフォーマンスを見せるというわけではないようです。

新興国株を構成する国の変化

新興国を代表する言葉としてよく知られているのが「BRICs(ブリックス)」。2001年に投資銀行のゴールドマンサックスで使われ始めました。BRICsはブラジル(Brazil)、ロシア(Russia)、インド(India)、中国(China)の頭文字を並べたものです。後に、最後のSを南アフリカ(South Africa)として「BRICS」と呼ぶようになります。ブラジル・ロシアのような天然資源に恵まれた国や、インド・中国のように人口の多い国が並んでおり、いずれも広い国土を持つのが特徴です。

 

2005年には同じくゴールドマンサックスが、「N-11(NEXT11、ネクストイレブン)」というグループを提唱しています。これはBRICsに続いて成長が期待される新興国を集めたもので、ナイジェリア、メキシコ、イラン、エジプト、トルコ、バングラデシュ、パキスタン、ベトナム、韓国、インドネシア、フィリピンの11カ国です。

 

また2006年にBRICs経済研究所の門倉貴史氏が提唱したのが、「VISTA(ビスタ)」。こちらはベトナム(Viet Nam)、インドネシア(Indonesia)、南アフリカ(South Africa)、トルコ(Turkey)、アルゼンチン(Argentine)という5つの新興国の頭文字を並べたものです。

 

このようにさまざまな新興国が、これからの成長を期待されるようになっています。資源や、労働力となる人口、教育水準や政治の安定性など、さまざまな観点からピックアップされています。

 

2022年に起こった大きな動きをひとつ紹介しましょう。MSCI(モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル)が算出する、新興国に上場する大・中型株を対象にした指数、「MSCI エマージング・マーケッツ指数」というものがあります。2022年3月2日に、ロシアがこの指数からはずれ、スタンドアローン市場へ分類されることが発表されたのです。

 

ロシアはウクライナへの侵攻により、経済制裁を受けている状況であり、金融市場が機能していないため、投資対象としてふさわしくないと判断されたためです。新興国が抱える、カントリーリスクが表面化したものといえるでしょう。

新興国株を構成する業種の変化

新興国の経済発展は、もともと資源国としての役割が中心でした。原油や天然ガスといったエネルギー、レアメタルなどの素材といった業種への投資が大きなウエートを占めていたのです。新興国の株式市場の値動きを示すインデックスを見ると、国際商品市況との連動が見られました。新興国における産業が、資源に偏っていたことを示しています。

 

しかし近年、新興国株インデックスの構成が変わり、資源価格との連動性が薄くなっています。今では、新興国株のインデックスを構成する主要産業はエネルギーや素材といった業種ではなく、情報技術に関する業種。台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業や、韓国のサムスン電子といった情報技術関連銘柄が、投資対象の上位を占めるようになっています。

 

また新興国の経済が発展することで、内需も成長しました。これにより金融や消費関連の銘柄も伸びることもあるなど、新興国では産業構造の変化が起こっています。

コロナ禍からの回復

最近の新興国経済の状況について見ておきましょう。新興国が多く存在する東南アジアに注目すると、2020年の新型コロナウイルス感染拡大により、多くの国がマイナス成長となりました。しかし、ワクチン接種が進むなどして活動制限が緩和。外国からの人の受け入れを再開するなど、正常化が進みつつあります。実質GDPの成長率を見ると、2022年の1月~3月には+5%前後の成長と、底堅さを見せています。コロナ禍から回復する流れとなりました。

 

ただし新興国株への投資については、2022年から別の要因で、注意したいポイントが出てきました。2022年の世界経済では、物価と金利の上昇が多くの国で見られるようになっており、金利の上昇は景気の後退要因です。新興国にとって輸出先の景気後退は、自国経済へのダメージとなります。コロナ禍から回復したとはいえ、この先の新興国経済は先行き不透明といえそうです

ずばり新興国株への投資はありかなしか

ずばり新興国株への投資はありかなしか

新興国株については、分散投資の一環としての投資がおすすめです。長期的な資産形成における投資対象には、株式・債券・不動産などがあります。このうち株式については、先進国株と新興国株とがあります。分散投資という観点からは、先進国株だけ、新興国株だけに投資するというのはリスクが大きくなると考えられます。経済規模が大きくイノベーションによる経済成長が期待できる先進国も魅力ですが、資源が豊富で人口構成から成長が期待できる新興国も捨て難いということです。

 

もし、すでに「eMAXIS Slim 先進国株式インデックス」のような投資信託で積み立てを続けている場合は、そこに「eMAXIS Slim 新興国株式インデックス」のような新興国株へ投資する投資信託を、投資配分を見直しつつ加えてみるのも良いでしょう。

 

また投資信託の中には「楽天・全世界株式インデックス・ファンド」のように国内株式・先進国株式・新興国株式と、幅広い資産に投資可能なタイプも存在します。このような投資信託を利用して、分散投資の一部として新興国株式への投資を続けていくのが、老後資金など長期的な資産形成に役立つかもしれません。新興国の高い成長率が、長期的な資産の成長に貢献してくれる可能性があるのです。

資産の一部として新興国株を保有するのであれば、楽天証券の利用がおすすめです。投信スーパーサーチでは、「新興国」というキーワードで検索すると、数多くの投資信託を見つけられます。また、楽天証券はアセアン株式を取り扱う数少ない証券会社のひとつ。シンガポール・タイ・マレーシア・インドネシアのアセアン主要4市場への投資が可能となっています。投資である以上元本割れのリスクはあるものの、投資信託や株式への投資により、新興国の人口増加や経済成長を活用して、資産を育てることができるかもしれません。

このテーマに関する気になるポイント!

  • 「新興国」とは?

    現状では経済の水準が低いものの、高い成長が期待されている国のことです。

  • 新興国株式市場のこれまでと今後は?

    これまで資源関連の産業が中心でしたが、情報・金融・消費に関連した産業にシフトしつつあります。また経済はコロナ禍から少しずつ回復の兆しが見えていますが、2022年の物価・金利の上昇から悪影響を受ける可能性があることに注意が必要です。

  • ずばり新興国株への投資はあり?なし?

    新興国株だけへの投資は、カントリーリスクなどのリスクが大きくなります。投資信託を利用した、先進国株と新興国株への分散投資により、リスクを抑えながら高い成長性へ投資するのが良いでしょう。

本コンテンツは情報の提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘する目的で、作成したものではありません。銘柄の選択、売買価格等の投資の最終決定は、お客様ご自身でご判断いただきますようお願いいたします。なお、本コンテンツは、弊社が信頼する著者が作成したものですが、情報の確実性を保証したものではありません。本コンテンツの記載内容に関するご質問等には一切お答えいたしかねます。また、本コンテンツの記載内容は、予告なしに変更することがあります。あらかじめご了承ください。

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