戦争が起こると経済はどうなるのか。一部が儲かる仕組みを過去の事例で解説

リリース日:2022/04/01 更新日:2022/05/31
黒川ヤスヒト
この記事を書いた人

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証券会社でリテール営業を経験し、AFP資格を取得。現在ライターとして、パーソナルファイナンスに関する情報の発信を手がけています。 関心分野は、ライフプランに関する意識調査や最新の金融商品・サービスなど。

※本著者は楽天カード株式会社の委託を受け、本コンテンツを作成しております。

戦争と経済には深い関係があります。国が巨額の戦費を調達すると、物価の高騰を招くことがあります。戦争がはじまると軍需産業に資金が集中するという状況もでてきます。日本の過去の戦時経済とその後を例に、戦争と経済を解説します。

  1. 戦争とお金
  2. 過去の戦争で見る、お金のゆくえ
  3. 戦争で儲かる企業
  4. 起こってほしくない戦争。経済はどうなってしまうのか

戦争とお金

戦争とお金

戦争は複数の国家間で起こる、武力を使った争いです。規模が大きく、そこにかかる費用も巨額なものになります。国家は軍事費や国防費として予算をあてています。軍事費や国防費は戦争がないときは軍を維持するために使われ、戦争が始まると実際の作戦を遂行する戦費として使われるお金です。その使い道は様々にあるので、いくつか見てみましょう。

 

軍を運用するにあたってまず必要なのが、人件費。兵員に対して給料を支払います。また兵員を支援するものとして、着るものを用意したり、医療体制を整えたりしなければなりません。作戦を遂行するための費用は、多岐にわたります。基地や兵舎を設立・運営していくための費用や、そこでの訓練費用が発生します。装備を調達・改良することも必要です。戦争が始まる際には諜報活動や、陸上・海上・航空での輸送活動にもお金がかかります。こうしたことが国主導でおこなわれるため、巨額な費用となります。

過去の戦争で見る、お金のゆくえ

過去の戦争で見る、お金のゆくえ

戦争にどのくらいのお金が必要かは、各国のGDPと比較することで把握できます。まずは戦争が起こっていないときに、各国はどれくらい軍事費などにお金を使っているのかを確認しましょう。たとえばアメリカの場合、軍事費がGDPに占める割合は3.5%程度となっています。中国では2.1%、日本やドイツでは1.0%程度といった数字です。

 

戦争が始まると、必要なお金はさらに増えることになります。日本がおこなった過去の戦争の場合を見てみましょう。1894年に起こった日清戦争では、当時のGDPに対して17%という規模のお金を使ったとされています。1904年に始まった日露戦争ではGDPの60%もの費用がかかっています。1941年から始まる太平洋戦争では、その数字が880%、つまりGDPの8.8倍です。太平洋戦争の規模の大きさを物語る数字といえるでしょう。

 

国がGDPの8.8倍という、巨額の資金を用意するのは大変です。太平洋戦争に際しては、日銀の直接引き受けによる国債発行という形で、戦争の費用がまかなわれました。日銀は普段、銀行から国債を買い取ることで市場にお金を供給しています。しかし「日銀の直接引き受け」では、日銀が国から国債を受け取り、国に予算となるお金を渡すのです。戦争には巨額な費用が必要なので、日銀が発行する金額も大きなものになります。そしてこのことが、戦後の物価高騰へとつながっていきます。

戦争で儲かる企業

戦争で儲かる企業

戦争が始まると、各国は戦時体制を取ります。戦争を遂行することが最優先の目標となり、国の政策は目標達成を目指したものとなるのです。太平洋戦争時の日本では、戦時統制経済が導入されていました。国家は軍需産業の活動を優先させ、資金もそこに集中することになります。

 

軍需産業というのは、軍隊で需要があるものを製造・販売することです。軍隊に需要があるものとは、たとえばミサイル・戦車といった兵器や、軍服などの装備。そのほか軍隊で使う食糧や毛布、燃料といったものも含まれます。ことの性質上、兵器をはじめとする軍需産業は市場の競争原理にはなじまないことがあり、特定の企業と国の関係が密接になりがちです。

 

軍需産業は、現代の株式市場においても投資対象として注目されることがあります。アメリカでは軍用航空機を製造するロッキード・マーチンや軍用レーダーを製造するレイセオン、日本では三菱重工といったところが軍需に関連する企業として挙げられます。戦争による特需が予測されると、株価が値上がることが多い企業です。

起こってほしくない戦争。経済はどうなってしまうのか

起こってほしくない戦争。経済はどうなってしまうのか

戦争は経済への影響も大きく、それは人々の生活にも及んでいます。ひとつは物価の高騰です。終戦後のインフレは年率59%、1947年は年率125%という高い数字でした。近年日銀はインフレの目標を2%としていますが、2019年度は0.6%となかなか達成できていない状況です。比較すると戦後のインフレの高さが実感できるでしょう。インフレ率が125%となると、1年で物の値段は倍以上になってしまいます。こうした高いインフレ率は、国が戦争に必要となる巨額の資金を、日銀の直接引き受けによって調達したことによるものです。

 

行き過ぎた物価上昇への対応として、1946年には預金封鎖がおこなわれました。預金封鎖とは、銀行預金などの引き出しを制限することです。日本で実施された預金封鎖は、完全に引き出しができなくなるわけではなく、1カ月の引き出し可能額が決められるというものでした。出回るお金の量を減らし、インフレを抑える目的のために、人々は生活の中で不便な思いをしたことでしょう。

 

戦争は経済全体に大きなダメージを与えますが、戦争が始まると一部の企業は多額の資金を集め業績が好調になるのも事実です。戦争とは直接関係なくても、何らかの重要な出来事が起こることを予測し、どんな企業に資金が集まるかを考えて、楽天証券で今のうちに株式を購入しておくと、後々その恩恵を受けられるかもしれません。

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