過炭酸ナトリウムとは、漂白剤のひとつである「酸素系漂白剤」の主な成分として使用される粉末のことです。使用後は水と酸素、炭酸ソーダに分解されるため、環境や人体への影響が少ないのが特徴です。漂白効果のほかにも除菌効果、消臭効果などさまざまな効果があることから、ナチュラルクリーニングの洗浄剤として注目を集めています。

過炭酸ナトリウムは、水に溶かすとアルカリ性の性質を持ち、油などの酸性汚れを中和して落とす効果があります。重曹やセスキ炭酸ソーダよりもpHが高いため、洗浄力もさらに強力です。また、塩素系漂白剤のようなツンとした刺激臭がないため、キッチン回りの漂白や除菌、赤ちゃんの衣類の漂白などにも安心して使用できます。

過炭酸ナトリウムはあまり聞き慣れないかもしれませんが、どこで手に入るのか気になる人も多いでしょう。基本的にはドラッグストアやホームセンター、ネット通販などで手に入れることができます。最近では、100円ショップでも販売されるようになりました。

また、「酸素系漂白剤」と表示されている商品も、主成分が過炭酸ナトリウムである場合が多いため、基本的には同じものと考えて問題ありません。汚れを落とす効果が高いとして人気を集めている「オキシクリーン」も、主成分は過炭酸ナトリウムです。ただし、アメリカ製オキシクリーンの場合は、過炭酸ナトリウムに加えて界面活性剤が含まれているので注意しましょう。

過炭酸ナトリウムは、さまざまな用途に使用できますが、基本的な使い方は同じです。40～50℃のお湯に過炭酸ナトリウムを溶かし、汚れたものをつけ置きした後、洗い流しましょう。例えば、次のような場面で効果を発揮します。

• 茶渋落とし
• 排水口、パイプのぬめり
• 鍋や五徳の焦げ
• 風呂釜、浴室小物の洗浄
• 洗濯槽の汚れ
• 衣類の黄ばみ、黒ずみの漂白

水の温度が低すぎると粉末が溶けにくく、十分な効果が得られません。適切な温度で溶かすことが大切です。また、汚れ落としだけでなく、漂白や除菌、消臭の効果も期待できます。

 次に、過炭酸ナトリウムの具体的な活用方法を紹介します。

鍋やグリル、五徳など、こすっても取れない焦げには過炭酸ナトリウムが効果的です。焦げ付いたものを鍋に入れ、ひたひたになるくらいの水と大さじ1杯の過炭酸ナトリウムを加えて沸騰させます。沸騰後に火を止め、冷めるまで待ってからスポンジでこすると、焦げ付きが簡単に落とせます。

キッチンやお風呂などの排水溝の嫌な匂いやドロドロの汚れも、過炭酸ナトリウムを使ってお掃除しましょう。排水溝に直接過炭酸ナトリウムを20gほど振りかけた後、お湯を200ml注いで1～2時間ほど放置します。つけ置き後は、勢いよく水を流すだけで、手を汚すことなく掃除が完了します。

過炭酸ナトリウムを使えば、洗濯槽のカビや汚れをすっきり落としてくれます。洗濯槽のお掃除方法は、まず洗濯機に高水位でお湯を張り、過炭酸ナトリウムを500g（※）入れます。5分ほど運転させてから、一時停止し2時間つけ置きしましょう。そのあと、浮いてきた汚れをネットですくいとり、汚れがなくなるまで数回すすぎを繰り返します。

※定期的にお掃除する場合は、500gではなく100g程度でも効果的です。

浴槽や風呂釜専用の洗浄剤を使わなくても、過炭酸ナトリウムを使えば簡単にお風呂全体をきれいにできます。まず、風呂釜の穴より上まで水を張り、過炭酸ナトリウム250gを入れます。40℃まで追い焚きした後、2～3時間放置します。その後、再び5分ほど追い焚きし、排水したらシャワーで洗い流しましょう。

また、水を張った後に、お風呂の桶や椅子なども一緒につけておくと、まとめてきれいになり一石二鳥です。

便利な過炭酸ナトリウムですが、使用する際にはいくつか注意点があります。

過炭酸ナトリウムは、たんぱく質を分解する性質を持っているため、直接手で触れると手荒れの原因となります。使用の際は、ゴム手袋をするようにしましょう。

過炭酸ナトリウムは、素材によっては使えない場合があります。特にアルミ製品は、傷んだり変色したりする恐れがあるため使用できません。また、革製品やウール、シルクなどの動物性繊維、木製品にも使用できません。その他の素材についても、パッケージ裏面の記載を確認し、目立たない場所で試してから使用しましょう。

過炭酸ナトリウムは頑固な汚れもすっきり落としてくれる便利な洗浄剤です。注意点に気を付けて、過炭酸ナトリウムを上手に活用し、おうちの汚れをピカピカにしましょう。