高額医療・高額介護合算療養費制度とは?制度や申請方法などをわかりやすく解説

リリース日:2023/08/03 更新日:2024/02/26

最近では、社会保険における負担の大きさがたびたび話題になります。負担がどれくらいかを考えることも重要ですが、医療や介護が必要になった際、どのような給付が受けられるのかを知っておくのも重要です。公的保険からの給付により、いざという際に家計への負担を軽減できます。

医療保険と介護保険の自己負担額を軽減する制度である「高額医療・高額介護合算療養費制度」は、制度の名称に漢字が並び難しそうに感じてしまうかもしれません。ここでは、実際の計算や手続きの方法など、高額医療・高額介護合算療養費制度についてわかりやすく解説していきます。

  1. 介護保険と医療保険を合算できる高額医療・高額介護合算療養費制度とは?
  2. 高額医療・高額介護合算療養費制度の対象となる受給者はどんな人?
  3. 高額医療・高額介護合算療養費制度の自己負担限度額はいくらくらい?

介護保険と医療保険を合算できる高額医療・高額介護合算療養費制度とは?

介護保険と医療保険を合算できる高額医療・高額介護合算療養費制度とは?

高額医療・高額介護合算療養費制度とは、医療保険と介護保険での1年間の自己負担を合計し、限度額を超えていればその分の金額が払い戻されるという制度です。

 

自己負担の額は、医療保険上の世帯単位で合算します。限度額は、加入している医療保険の制度や、被保険者の年齢・所得などによって細かく設定されています。

 

この制度がスタートしたのは、2008年(平成20年)4月1日のことでした。2000年(平成12年)に介護保険が導入され、日本に住む人は医療保険と介護保険という2つの保険に加入し、給付を受けられるようになりました。しかし高齢化が進む中、世帯内で医療と介護の費用が同時にかかり、負担が重くなってしまうケースがあります。そうした負担を軽減するのが、高額医療・高額介護合算療養費制度というわけです。

 

老後の生活費を含めた、長期的なライフプランについて考える場合には、医療や介護にどれくらいのお金がかかるのか知っておくことが必要です。負担を軽減してくれる制度を考慮すると、プランに余裕が出てくることもあるでしょう。もちろん保険料の負担もあります。老後の資金計画を考えるうえでは、この両面から考えておきたいところです。

 

高額医療・高額介護合算療養費制度においては、医療保険と介護保険にかかった自己負担を合算します。公的な保険について、その種類や内容をおさらいしておきましょう。

公的な医療保険

まずは医療保険。医療保険というと公的な医療保険と民間の医療保険とがありますが、この制度の対象となるのは公的な医療保険です。日本は国民皆保険の国。だれでも何らかの医療保険に加入していると思われます。制度の利用においては、自分がどの保険に加入しているか知っておかなければなりません。

 

この制度で合算の対象となる医療保険は、国民健康保険と被用者保険、それに後期高齢者医療制度です。被用者保険とは雇用されている人が加入する保険という意味で、具体的には健康保険組合と協会けんぽ、共済組合のことです。それぞれ会社員や公務員・教職員などとその扶養家族が加入しています。

 

これらの医療保険は、例えば病院の窓口での支払いにおいて保険証を提示することで、3割負担のように診察や入院などの医療費を軽減してくれます。

公的な介護保険

医療保険とともに、合算の対象となっているのが介護保険です。40歳以上の人が、介護保険の被保険者となっています。65歳以上の人は第1号被保険者と呼ばれ、要介護状態や要支援状態になった場合に、介護保険のサービスが利用できます。

 

40歳~64歳までの人は第2号被保険者です。16種類の特定疾病によって要介護状態・要支援状態になった際、介護保険のサービスが利用できます。自分や家族などが、どの保険に加入しているか確認しておきましょう。

 

介護保険で利用できるサービスはさまざま。かかる費用の幅も広いので、負担軽減の制度の存在とともに、サービスの種類についても確認しておきましょう。特別養護老人ホームのように、施設で生活するタイプのサービスが介護保険の対象となっています。ショートステイのような短期間の宿泊、デイサービスのような通所タイプのサービスもあります。自宅で受ける訪問看護や訪問入浴なども、介護保険の対象です。そのほか福祉用具や住宅改修に関するサービスもあります。

 

病院での入院や通院、介護に関するさまざまなサービス。こうしたことにかかる費用が、自身や家族に、同時に複数かかってくることがあり得るのです。費用負担が重くのしかかる状況でこの制度を利用することで、家計の維持に役立つでしょう。

高額医療・高額介護合算療養費制度の対象となる受給者はどんな人?

高額医療・高額介護合算療養費制度の対象となる受給者はどんな人?

高額医療・高額介護合算療養費制度で対象となる受給者に求められる条件は次のようになります。

 

(1)世帯内で医療保険と介護保険、両方において自己負担額があること。世帯とは、医療保険における世帯です。

(2)1年間の医療保険と介護保険の自己負担の合算額が、所得区分ごとに設定されている限度額を超えていること。期間は、8月1日~翌年7月31日の1年間となります。

医療保険における世帯とは

医療保険における世帯は、住民票上の世帯とは必ずしも一致しないので、注意が必要です。例えば住民票上は5人の世帯であったとしても、必ず5人全員分を合算できるとは限りません。全員が同じ公的医療保険に加入していれば可能ですが、公的な医療保険には国民健康保険・被用者保険・後期高齢者医療制度と、3つの種類があるため、どの保険に加入しているかによって世帯が別になるからです。

 

1つの例をあげてみましょう。住民票上の世帯が5人で、子とその父母、祖父母の5人だとします。父が被用者保険の健康保険組合に加入していて、母と子が被扶養者として同じ保険に加入しています。祖父母はそれとは別に、国民健康保険に加入しています。この場合、医療保険において同一世帯となるのは父母と子のグループ、それと祖父母のグループ。2つの世帯に分かれてしまうのです。

 

このケースにおいて、祖父母は国民健康保険に加入する1つの世帯です。高額医療・高額介護合算療養費制度で、医療保険と介護保険において、自己負担した額を合算できます。父母と子は別の医療保険に加入しているため、こちらの世帯でかかった医療費などは、祖父母の世帯とは合算できません。制度を利用する前に、合算可能な範囲をチェックしておくことが必要です。

申請に必要なもの

申請に際し、用意するのは次のものです。


(1)健康保険証
(2)介護保険証
(3)通帳など振込先口座番号がわかるもの

 

もし加入している保険に変更があれば、以前に加入していた保険からの自己負担額証明書も必要です。そのほか自治体によってはマイナンバーカードが必要になるなどの違いがある可能性があるため、各自治体のホームページなどで確認すると良いでしょう。

 

介護保険から支給されるのは「高額医療合算介護サービス費」、医療保険から支給されるのは「高額介護合算療養費」です。詳しい申請方法については、各自治体や、各被用者保険の窓口などで確認してください。




高額医療・高額介護合算療養費制度の自己負担限度額はいくらくらい?

高額医療・高額介護合算療養費制度の自己負担限度額はいくらくらい?

限度額

高額医療・高額介護合算療養費制度では、医療保険の世帯単位で医療と介護の自己負担の額を合算し、限度額を超えた場合にその分が支給されます。ここで重要となるのが「限度額」がいくらなのかという点。限度額は所得区分や年齢などによって設定されています。2018年(平成30年)に改正が行われました。表の形で確認していきましょう。

 

まずは「介護保険+後期高齢者医療制度」(75歳以上)のケースです。

 
年収の目安 限度額
約1,160万円~ 212万円
約770万円~約1,160万円 141万円
約370万円~約770万円 67万円
~約370万円 56万円
市区町村民税世帯非課税等 31万円
市区町村民税世帯非課税(収入80万円以下等) 19万円(介護サービス利用者が世帯内に複数いる場合は31万円)

 

「介護保険+被用者保険または国民健康保険」(70〜74歳)の場合は次のようになります。

 
年収の目安 限度額
約1,160万円~ 212万円
約770万円~約1,160万円 141万円
約370万円~約770万円 67万円
~約370万円 56万円
市区町村民税世帯非課税等

31万円

市区町村民税世帯非課税(収入80万円以下等) 19万円(介護サービス利用者が世帯内に複数いる場合は31万円)

 

「介護保険+被用者保険または国民健康保険」(70歳未満)の場合は次のようになります。

 
年収の目安 限度額
約1,160万円~ 212万円
約770万円~約1,160万円 141万円
約370万円~約770万円 67万円
~約370万円 60万円
市区町村民税世帯非課税等 34万円
市区町村民税世帯非課税(収入80万円以下等) 34万円

計算例

いくつか具体的な例をあげて、制度から支給される額がどれくらいになるのか、計算してみましょう。

 

2人とも75歳以上の夫婦で、保険は「介護保険+後期高齢者医療制度」、世帯年収はおよそ320万円と仮定します。夫は1年間に医療費が18万円かかりました。妻は介護サービス利用し、45万円の負担が生じました。世帯における医療と介護の負担額は、合計すると63万円となります。

 

表を見ると、限度額は56万円。制度の利用を申請することによって、「63万円-56万円」で、7万円の支給を受けることができるでしょう。

 

次は70歳未満の例です。夫婦ともに68歳で、保険は「介護保険+国民健康保険」で、世帯年収が約500万円あるとします。夫の自己負担額は医療費で40万円、介護費で5万円ありました。妻は医療費で20万円、介護費で30万円ありました。自己負担の額を合算すると、95万円になります。

 

表から自己負担の限度額を確認すると、67万円です。そうすると申請により、「95万円-67万円」で、28万円の支給を受けられると計算できます。

 

例のように簡単に計算できるケース以外に、年齢による区分の違いにより計算が複雑になる可能性があります。実際の限度額や支給額の計算については、加入する医療保険者などに確認するのが良いでしょう。

年齢を重ねるにつれ、病院や薬局での支払いなど、健康関連の支出が増えるかもしれません。健康関連の支払いにも、楽天カードが1枚あると便利になります。各種保険制度の利用には、負担した金額を把握することが必要です。クレジットカードが利用できる医療機関や薬局では、各種お支払いに楽天カードを利用することで、利用明細からどれくらいの支出があったかを管理することができます。支出を管理することで、制度をどのように利用していくかの見通しを立てやすくなるでしょう。

 


※この記事は2023年6月時点の情報をもとに作成しております。

このテーマに関する気になるポイント!

  • 介護保険と医療保険を合算できる高額医療・高額介護合算療養費制度とは?

    医療保険と介護保険における1年間の自己負担を合計し、限度額を超えていれば超過分の金額が払い戻されるという制度です。

  • 高額医療・高額介護合算療養費制度の対象となる受給者はどんな人?

    各医療保険の世帯内で、医療保険と介護保険の両方において自己負担額があり、1年間の医療保険と介護保険の自己負担の合算額が、所得区分ごとに設定されている限度額を超えていることが条件です。

  • 高額医療・高額介護合算療養費制度の自己負担限度額はいくらくらい?

    年齢や所得によって区分が設定されています。例えば75歳以上で、市区町村民税世帯非課税(収入80万円以下等)の区分では、31万円となります。

黒川ヤスヒト
この記事を書いた人
ファイナンシャル・プランナー(AFP)
黒川ヤスヒト

※本著者は楽天カード株式会社の委託を受け、本コンテンツを作成しております。

証券会社でリテール営業を経験し、AFP資格を取得。現在ライターとして、パーソナルファイナンスに関する情報の発信を手がけています。 関心分野は、ライフプランに関する意識調査や最新の金融商品・サービスなど。




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