年末調整で控除される保険料とは?いざ書類を書くときに気をつけるべきポイント
年末調整書類を書くとき、「一体どうすればいいの?」と悩みがちなのが「生命保険料控除申告書」ではないでしょうか。そもそも控除の対象となる保険料がどれなのか、いまいちわからないという人も多いことでしょう。ここでは、控除の対象となる保険料とそうでない保険料について詳しく説明していきます。あわせて「細かく欄が分かれていて、どこに何を書けばいいのかわからない」という人のために、書き方や気をつけるべきポイントもまとめました。
もくじ
・所得控除の対象になる保険料とは?
・年末調整で保険料控除ができないケースとは
・年末調整の書き方ポイント
所得控除の対象になる保険料とは?
所得控除の対象になる保険料は、次の5つです。控除の対象になる保険料を払っている場合、毎年秋頃に「保険料控除証明書」が届くはずですから、それを見ながら申告書に転記しましょう。
・一般の生命保険料
証明書に「一般の生命保険料」や「一般」と書かれている場合は、一般の生命保険料に該当します。一般の生命保険料は、「旧」と「新」の2種類に分けられ、それぞれ計算方法が異なります。申告書にはどちらなのかをチェックする欄があるため、証明書を確認しながら転記しましょう。
・介護保険料
証明書に「介護保険料」と書かれている場合は、介護医療保険料に該当します。介護保険料の控除額計算は、「一般の生命保険料(新)」と同様です。
・個人年金保険料
証明額の横などに「年金」「個人年金」といった記載がある場合は、個人年金保険料に該当します。個人年金保険料も「旧」と「新」に分けられ、それぞれ計算方法が異なります。
・地震保険料
地震保険料は、「地震保険」と「旧長期損害保険」の2種類に分けられます。平成18年12月31日までの契約で、満期返戻金があり、保険期間が10年以上あるものが「旧長期損害保険」です。それ以降に契約を結んだものや、1年や5年といった短期の保険は「地震保険」に該当します。
なお、ひとつの契約の中で地震保険と旧長期損害保険の両方に加入している場合、控除対象とできるのはどちらかひとつだけです。それぞれの金額を申告書に記載してある計算式に当てはめてみて、有利な方を記入しましょう。
・社会保険料
会社から天引きされている厚生年金保険料や健康保険料は、会社が自動的に控除してくれるため新たに記入する必要はありません。一方、子どもの国民年金保険料を支払っているなどの場合は、社会保険料控除が受けられるため申告する必要があります。対象となるのは、生計をひとつにしている家族の国民年金保険料や健康保険料です。
なお、国民年金保険料は証明書の添付が必要ですが、健康保険料は証明書の添付を省略することができます。
年末調整で保険料控除ができないケースとは
生命保険料や地震保険料であっても、保険料控除の対象にならないものもあります。次のような契約は控除対象にならないため注意しましょう。
・生命保険料や介護保険料
生命保険料の受取人が「元配偶者」や「友人」「同棲している恋人」などの場合、保険料控除の対象になりません。受取人は、6親等以内の血族か3親等以内の姻族(結婚相手の親族)に限られているため注意しましょう。
・年金保険料
年金保険料の受取人は、「本人か配偶者」に限られています。子どもや親などが受取人の年金保険料は控除対象外です。
・地震保険料
地震保険料の対象になるのは、「自分か、生計をひとつにしている親族や配偶者」が所有していて、常時そこに住んでいる住居にかけた保険だけです。そのため、人に貸している所有不動産にかけている地震保険は控除の対象外となります。なお、賃貸住宅であっても、家財(家具や所有財産)にかけている地震保険料は控除の対象になります。
・昨年の保険料
昨年の保険料や自分で支払っていない保険料については、年末調整で控除を受けることができません。ただし、昨年の保険料については確定申告をすれば控除を受けられることもあります。控除を受けたい場合は自分で確定申告しましょう。
年末調整の書き方ポイント
保険料は、年末調整書類のうち「給与所得者の保険料控除申告書」に記入します。どこに何を書くかが難しい書類ですが、一つひとつの証明書をよく見てみると、「契約者」や「保険種類」「保険期間」など、書類の項目はすべて証明書に記載されているはずです。それらを照らし合わせながら転記するようにしてください。
また、それぞれの保険料の計算方法が違う点についても注意が必要です。一般の生命保険料と個人年金保険料の場合は「新」か「旧」か、地震保険の場合は「地震」か「旧長期」かを確認しましょう。地震保険は明確に記載されていない場合もありますが、「所得税法七十七条に基く」という記載があれば「地震」、「所得税法改正附則第十条に基く」とあれば「旧長期」となります。
それぞれの保険料の計算をした後は、「一般の生命保険料」、「介護保険料」、「個人年金保険料」の3つについて合計額を記載します。控除対象になる支払い金額ではなく、控除額計算をした後の控除額の合計を書く必要があるため、申告書に記載されている計算方法やルールを確認しながら進めましょう。なお、この控除額は合計で最高120,000円までとなり、それ以上は切り捨てられます。
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