生涯年収の平均額。性別、学歴別の差や、手取りにした場合の実質額はいくらに?
就職から退職までの間に受け取る賃金の合計を、生涯年収(生涯賃金)と呼びます。マネープランを考えるうえで重要な数字と言えるでしょう。ここでは学歴や性別、雇用形態による生涯年収の違いなどを確認しています。
いわゆるサラリーマンの生涯年収は平均いくら?
「生涯年収」は、新卒入社から退職までの間に受け取る月給やボーナスを合計したものです。生涯年収に関する数字は、独立行政法人労働政策研究・研修機構が公表する『ユースフル労働統計2020―労働統計加工指標集―』(以下、労働統計)で確認することができます。ちなみに労働統計は給与所得者の年収を扱っているので、生涯年収は「生涯賃金」という用語で説明されています。
この統計は、さまざまなケースでの生涯年収を推計していますが、いわゆるサラリーマンに該当するのは、「大学・大学院を卒業した男性で、フルタイムの正社員を続けた場合の60歳までの生涯賃金(退職金を含めない)」でしょう。このケースでの生涯年収は、2億7,000万円です。
この生涯年収がどのように推計されているかも、簡単に確認しておきます。推計に使われているのは「賃金構造基本統計調査」による年齢階級別の統計。この統計では雇用形態や年齢階級別に、月給やボーナスの数字を知ることができます。この数字を就職する年齢から、退職する年齢の分まで合計して生涯年収としているのです。つまり現在の物価や賃金の水準が、就職から退職まで全期間に渡り継続していると仮定した場合の数字と言えるでしょう。
生涯年収は学歴で差があるの?
労働統計では、学歴別の生涯年収についての推計もおこなっています。「学校卒業後フルタイムの正社員を続けた場合の60歳までの生涯賃金(退職金を含めない)」で比較してみましょう。
・学歴が高いほど生涯年収が多い
男性の場合、大学・大学院卒では2億7,000万円でした。高専・短大卒では、2億2,000万円。高校卒だと、2億1,000万円。中学卒で2億円といった数字となっています。大学・大学院卒と高校卒の比較では、6,000万円の差があるのがわかります。
・正社員とそれ以外の年収の差は大きい
生涯年収というと、これまで学歴による格差が気になるポイントとなっていました。しかし最近、より気になるのが「正社員」と「非正社員」の格差。これについても労働統計で確認することができます。「学校卒業後フルタイムの非正社員となり、そのままフルタイムの非正社員を続けた場合の60歳までの生涯賃金(退職金を含めない)」を見ると、男性の場合、大学・大学院卒は1億6,000万円でした。正社員の場合2億7,000万円でしたので、1億1,000万円の差があることになります。
・学歴によって生涯労働時間にも違いが
ちなみに学歴により違いが出てくるのは、生涯年収だけではありません。労働統計では生涯年収の計算に必要な数字として、「生涯労働時間」についても推計しています。就職から退職までの間、何時間働いているのかという数字です。学歴によって働き始める時期が異なるため、生涯労働時間も差がつきます。推計によると学歴別では、男性が高校卒11.0万時間、大学・大学院卒9.6万時間、女性が高校卒9.7万時間、大学・大学院卒8.7万時間でした。大学・大学院卒と高校卒で、1万時間もの差があるのがわかります。
生涯年収は性別や国籍でどのくらい違うの?
参照元:OECD 主要統計 平均賃金
生涯年収を性別・国別に見てみることにしましょう。
・性別による生涯年収の違い
ここまでは男性の生涯年収に関する数字を見てきました。女性の場合はどうなるのでしょうか。引き続き労働統計の数字でチェックします。「学校卒業後フルタイムの正社員を続けた場合の60歳までの生涯賃金(退職金を含めない)」によれば、女性では大学・大学院卒で2億2,000万円、専・短大卒で1億8,000万円、高校卒で1億5,000万円、中学卒で1億4,000万円でした。男性と比べて大学・大学院卒では5,000万円、専・短大卒で4,000万円、高校卒・中学卒で6,000万円少ない金額となっています。不満を感じる方も多いかもしれません。
・国外との比較
国による年収の違いを比較してみましょう。OECD(経済協力開発機構)では、加盟する先進35カ国の年収ランキングを公表しています。2019年の数字では、もっとも高いのがルクセンブルクで約755万円、最下位はメキシコの約194万円でした。日本は24位で約425万円。22歳の就職から60歳の退職までの年数38を掛けて、生涯年収を推計してみるとルクセンブルクで2億8,690万円、メキシコで7,372万円、日本で1億6,150万円となります。日本はルクセンブルクより1億円少なく、メキシコではさらに1億円少なくなることがわかります。
生涯手取りにした場合、平均いくら?
生涯年収は、税金や社会保険料を考慮したものではありません。実際の手取りは、その分少ない金額となります。税金としては、所得税と住民税が引かれます。社会保険料として、厚生年金保険料と健康保険料。そのほかに雇用保険料も引かれることになります。年収100万円~1,000万円では、2割~3割の金額を引いたものが手取りとなるのです。
たとえば大卒の男性サラリーマンで生涯年収が2億7,000万円だとすると、税金と社会保険料の金額の割合が2.5割と仮定すれば、生涯で6,750万円引かれることになります。生涯手取りは、2億250万円です。
このように生涯年収を見ると、状況によって差は出てきますが、1億円~3億円といった大きな数字になるのがわかります。仕事・結婚・出産・教育といったライフプラン上の選択をするうえで参考になるでしょう。
またこのような大きな金額をあつかうことを考えると、お金を貯める・増やす・使うためのツール選びも重要です。それぞれに対応するものとして、楽天銀行・楽天証券・楽天カードがあり、これらを連携させて使うと、金利やポイント還元の面で有利になります。口座間の資金移動や支払いも便利で、時間の節約にもつながります。限られた生涯年収をより効率的に使うことができ、人生の満足度を高めるのに役立つでしょう。
このテーマに関する気になるポイント!
- 生涯年収とは?
新卒入社から退職までの間に受け取る月給やボーナスを合計したものです。 - 生涯年収は学歴で差があるか?
大学・大学院卒と高校卒の比較では、6,000万円の差があります。 - 生涯手取りにした場合、平均いくら?
年収100万円~1,000万円では、2割~3割の金額を引いたものが手取りとなります。
※本著者は楽天カード株式会社の委託を受け、本コンテンツを作成しております。
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国によってこんなに生涯年収が違うなんて!日本とルクセンブルクでは1億円も違うのね...