高額介護サービス費とは?制度の内容やいくら戻るのかをわかりやすく解説

リリース日:2024/01/04 更新日:2024/01/04

公的介護保険サービスを利用した際に、要介護認定を受けていれば自己負担額は1~3割で済みます。しかし、複数のサービスを利用している方などは、負担額の支払いだけで高額になってしまうこともあるでしょう。そのような場合に利用したいのが、支払いの一部を払い戻してもらえる「高額介護サービス費」です。

ここでは、高額介護サービス費の内容や対象者、限度額、申請方法などについてわかりやすく解説します。また、「いくら戻るのか」を確認するための計算方法も、具体的な例を使ってシミュレーションしていますので、介護費の負担を軽減したい方はぜひ参考にしてみてください。

  1. 高額介護サービス費とは?
  2. 高額介護サービス費の対象になるサービス
  3. 高額介護サービス費の計算方法
  4. 高額介護サービス費をシミュレーション
  5. 高額介護サービス費の申請方法
  6. 高額介護サービス費と合算できる制度について
  7. 「高額介護サービス費」を利用して支払い負担を軽減しましょう

高額介護サービス費とは?

高額介護サービス費とは?

高額介護サービス費とは、公的介護サービスを利用した際の1カ月あたりの自己負担額が限度額を超えた場合に、その超過した金額が払い戻される制度のことです。

 

介護サービスを受けた際の利用代金は、所得に応じて1~3割の自己負担額が発生します。要介護度によっては複数の介護サービスを利用する場合など、支払い負担が大きくなることもあるでしょう。

 

そこで、一定限度額以上の負担額が発生した際は、申請すると還付される制度が取り入れられています。

高額介護サービス費の対象になるサービス

高額介護サービス費の対象になるサービス

高額介護サービス費の支払い対象になるのは、「居宅サービス」「介護施設サービス」「地域密着型サービス」を利用した際の自己負担金です。一方で対象外となるサービスもあるため、あらかじめ確認しておくと良いでしょう。

 

ではまず、高額介護サービス費の対象となるものの具体的な内容を解説します。

居宅サービス

居宅サービスは、要介護・要支援者が自宅で暮らしながら受けられる介護サービスのことです。具体的には、買い物や食事・排泄などの介助、移動式浴槽を用いての入浴サービス、リハビリや療養上の管理指導サービスなどが含まれます。

介護施設サービス

介護施設サービスは、特別養護老人ホーム・介護老人保健施設・介護療養型医療施設・介護医療院などに入居した要介護者が受けられるサービスです。施設内での食事や排泄、入浴などの介助や医療措置のほか、リハビリやレクリエーションなどが介護施設サービスに相当します。ただし、居住費や食費などは高額介護サービス費の支払い対象ではないため注意しましょう。

地域密着型サービス

地域密着型サービスは、高齢者が慣れ親しんだ地域での生活をし続けられることを目的として受けられるサービスです。

 

「訪問・通所型サービス」では、自宅で生活している要介護者・要支援者宅を訪問するケースと要介護者が施設に訪れるケースがあり、いずれの場合でも買い物や食事・排泄の介助、健康管理などを行います。

 

「施設・特定施設型サービス」では、自宅から近い小規模施設に入居し食事や入浴などの生活支援や機能訓練サービスなどを受けられます。

 

なお、認知症の方を対象に生活支援をする「認知症対応型サービス」も地域密着型サービスのひとつです。また、前述した介護施設サービスと同様に、地域密着型サービスにおいても、居住費や食費などは高額介護サービス費の支払い対象ではないため注意しましょう。

高額介護サービス費の対象外のもの

高額介護サービス費の対象外となるものには、以下のようなサービスがあります。

 

  • 特定福祉用具(ポータブルトイレや簡易浴槽など)の購入費用
  • 住宅改修費用(段差解消や手すりの設置など)の自己負担分
  • 施設での居住費(滞在費)や食費、日常生活費など
  • 理美容費など日常生活に必要な費用
  • 生活援助型配食サービスを利用する際の自己負担分

このような費用は、高額介護サービス費の支給対象になりません。


介護保険では、居宅サービスや施設サービス以外にも、福祉用具の購入費用や住宅改修費用など、介護にかかわる諸経費についても適用されるものがあります。しかし、高額介護サービス費では、このように介護保険は適用されても、高額介護サービス費の支給対象外になるものもあるので注意しましょう。

高額介護サービス費の計算方法

高額介護サービス費の計算方法

高額な介護サービスを利用した場合、どのくらいの金額が還付されるのか、その計算方法を解説していきます。

 

還付金額を知るために、まず把握しなければならないのが1カ月の負担限度額です。高額介護サービス費の自己負担の限度額は、利用者(世帯)の所得に応じて以下のように分かれています。

高額介護サービスの対象者と負担限度額

区分 対象者 負担限度額(月額)
第1段階 生活保護受給者等 1万5,000円(世帯)
第2段階 世帯全員が市町村民税非課税、および「前年の公的年金等収入金額+その他の所得合計金額」が80万円以下 2万4,600円(世帯)

1万5,000円(個人)

第3段階 世帯全員が市町村民税非課税で第1段階および第2段階に該当しない 2万4,600円(世帯)
第4段階 市区町村民税課税世帯で、課税所得380万円(年収約770万円)未満 4万4,400円(世帯)
第5段階 課税所得380万円(年収約770万円)~課税所得690万円(年収約1,160万円)未満 9万3,000円(世帯)
課税所得690万円(年収約1,160万円)以上 14万100円(世帯)
 

2021年(令和3年)の8月の制度改正により、課税所得380万円(年収約770万円)以上の人の負担限度額が見直されました。

 

生活保護を受けている方の負担限度額は、月額1万5,000円です。1カ月の介護サービス利用料が1万5,000円を超えた場合、超えた金額が高額介護サービス費の対象となります。

 

世帯全員が住民税非課税の場合、世帯の負担限度額は月額2万4,600円です。また、前年の所得と公的年金の合計額が年間80万円以下の場合、世帯の負担限度額は月額2万4,000円、個人の負担限度額は月額1万5,000円になります。

 

住民税が課税される世帯では、所得に応じて世帯ごとに4万4,000円~14万100円が負担限度額となります。

高額介護サービス費をシミュレーション

高額介護サービス費をシミュレーション

ここで、高額介護サービス費を利用すると、どのくらいお金が還付されるのかをシミュレーションしてみましょう。高額介護サービス費は、介護保険サービスを利用する人が世帯で1人なのか複数人なのかによって計算方法が異なるため、それぞれに分けて解説します。

世帯で1人のみ介護保険サービスを利用しているケース

世帯で1人が介護保険サービスを利用しているケースでは、以下の計算式で還付金額が求められます。

 

還付金額=自己負担額-負担限度額

シミュレーション例

  • 住民税非課税
  • 負担限度額:1万5,000円
  • 介護保険サービスの自己負担額:3万5,000円

この例の場合の還付金額は、2万円(=3万5,000円-1万5,000円)です。

世帯で複数人が介護保険サービスを受けているケース

同じ世帯で複数人が介護保険サービスを利用しているケースでは、以下の計算式で還付金額が求められます。

 

還付金額=世帯の合計負担額-世帯の負担限度額

シミュレーション例

  • 課税所得200万円
  • 負担限度額:4万4,400円
  • 夫の自己負担額:4万5,000円
  • 妻の自己負担額:2万5,000円

この例の場合、まず世帯に還付される金額が、2万5,600円(=4万5,000円+2万5,000円-4万4,400円)です。

 

還付は利用者ごとに行われ、金額はそれぞれの負担金に応じて以下の計算式で按分されます。

 

個人の還付金=世帯の還付金×(個人の負担金額÷世帯の合計負担額)

 

  • 夫の還付金:1万6,457円(=2万5,600円×4万5,000円÷7万円)
  • 妻の還付金:9,143円(=2万5,600円×2万5,000円÷7万円)

したがって、世帯の還付金2万5,600円を夫婦それぞれの負担金で按分すると、夫が1万6,457円、妻が9,143円の還付を受けられることになります。

高額介護サービス費の申請方法

高額介護サービス費の申請方法

高額介護サービス費の支給を受けるには申請手続きが必要です。また、申請期限も設けられているので申請の流れと併せて解説します。

自治体からの通知をもとに申請する

介護サービスの限度額を超えた場合、該当する月の約3~4カ月後を目安に(自治体により異なります)、自治体から申請書が送付されます。

 

申請書を受け取った後は、同封の案内に従って郵送、またはお住まいの市区町村役所の保険年金課窓口で申請手続きをしましょう。

 

申請書が受理されると「支給決定通知書」が送付され、指定した口座へ還付金が振り込まれます。

 

なお、1度申請書を提出すれば2回目以降は自動的に口座に振り込みとなります。

申請期限は2年以内

高額介護サービス費の申請には期限が設けられており、利用した翌月の1日から2年以内に手続きを行わなければなりません。申請期限を過ぎてしまうと申請を受け付けてもらえず、還付が受けられなくなるので、早めに手続きを済ませましょう。

高額介護サービス費と合算できる制度について

高額介護サービス費と合算できる制度について

介護保険サービス費の自己負担額が大きい人の中には、医療費の自己負担額も高額になっている人もいます。そのような人の自己負担額軽減を目的とするのが「高額医療合算介護サービス費」制度です。

 

では、高額医療合算介護サービス費の詳しい内容を解説していきます。

高額医療合算介護サービス費とは

高額医療合算介護サービス費制度とは、毎年8月1日~翌年7月31日にかけての1年間で、医療保険と介護保険の自己負担の合算額が所定の限度額を超えた場合に、その超えた分が還付される制度です。

 

支給対象となるのは、医療保険における世帯を単位とし、1年間の医療保険と介護保険の合計額が所得に応じた負担限度額を超えた世帯です。

 

負担限度額は、年齢や所得などにより以下のように決められています。

年収別の高額医療合算介護サービス費の負担限度額

年収 負担限度額(70歳以上)(※1) 負担限度額(70歳未満)(※1)
1,160万円~ 212万円 212万円
770万円~1,160万円 141万円 141万円
370万円~770万円 67万円 67万円
156万円~370万円(※2) 56万円 60万円
市町村民税世帯非課税 31万円 34万円
市町村民税世帯非課税 (所得が一定以下) 19万円(※3)
 

※1 世帯内に70~74歳と70歳未満が混在する場合は、70~74歳の自己負担合算額に限度額を適用し、残りの負担額と70歳未満の自己負担合算額をあわせた額に限度額を適用する。
※2 収入の合計額が520万円未満(1人世帯の場合は383万円未満)の場合や、旧「ただし書所得」の合計額が210万円以下の場合も含む。
※3 世帯内に介護サービスを利用した人が複数いる場合は31万円。

高額医療合算介護サービス費制度を利用する時は、まず支給要件に該当するかどうかを確認する必要があります。確認するためには、加入している各医療保険の窓口や介護保険の窓口で相談するのが確実でしょう。

「高額介護サービス費」を利用して支払い負担を軽減しましょう

「高額介護サービス費」を利用して支払い負担を軽減しましょう

高額介護サービス費を利用すれば、毎月の介護保険サービスの限度額を超えた金額を還付してもらえます。介護保険の利用料は自己負担が1~3割とはいえ、毎月の支払いとなると負担が大きくなることもあります。高額介護サービス費の申請書が送付されてきた際には、忘れず早めに手続きを済ませることが大切です。

将来のために、老後など介護が必要になった際の資金を準備することは大切といえるでしょう。
楽天証券などの証券会社では、iDeCo(個人型確定拠出年金)やNISA(少額投資非課税制度)などを活用した資産運用を始めることができます。興味のある方は、この機会にチェックしてみてはいかがでしょうか。

 

※この記事は2023年1月時点の情報をもとに作成しております。

このテーマに関する気になるポイント!

  • 高額介護サービス費とは?

    高額介護サービス費とは、介護サービス利用料の1カ月あたりの自己負担額が限度額を超えた場合に、その超過した金額を払い戻してもらえる制度です。

  • 高額介護サービス費の対象になるサービスはどれ?

    「居宅サービス」「介護施設サービス」「地域密着型サービス」の3つがあります。

  • 高額介護サービス費の対象にならないサービスは?

    特定福祉用具や住宅改修費用の自己負担分、施設での居住費や食費、日常生活に必要な費用などは、高額介護サービス費の対象外です。

  • 高額介護サービス費の申請方法は?

    高額介護サービス費に該当する場合、自治体から申請書が送付されてくるので、案内に従って郵送や窓口などで申請手続きをします。

木内菜穂子
この記事を書いた人
木内菜穂子

※本著者は楽天カード株式会社の委託を受け、本コンテンツを作成しております。

金融機関や税理士事務所勤務での知識を生かし、FP1級、AFP、日商簿記2級などの資格を取得しました。現在は、金融・保険をメインとしたライターとして執筆活動をしています。お金に関する情報をわかりやすくお伝えできるよう日々努めています。

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