育児・介護休業法ってどんなもの?海外や男性の最新育児事情

リリース日:2019/09/30 更新日:2021/10/13

仕事を続けながら育児や介護をするためには、会社を一時的に休業する必要があるでしょう。育児・介護休業法で、休業できる権利は守られています。諸外国との違いや男性の育児・介護参加についてまとめました。

育児・介護休業法ってどんなもの?海外や男性の最新育児事情
  1. 育児・介護休業法とは
  2. 育児・介護休業法は直近の改正で何が変わったの?
  3. 外国では育児や介護についてどんな制度があるの?
  4. 男性の育児・介護休業は広がっていくのか
  5. 参考サイト

育児・介護休業法とは

育児・介護休業法とは

育児・介護休業法は、「企業に雇用されて働く人が、育児や介護をするための休暇を取得する権利」について定めた法律です。

 

以前は、出産や育児のために仕事を辞めなければならないというのは珍しいことではありませんでした。しかし、一度仕事を辞めてしまうと、再度社会人として復帰するのは困難ですし、条件も悪くなってしまう可能性が高いでしょう。そこで、企業に在籍したまま休業し、一定期間後に復帰ができるように定めたのが育児・介護休業法です。

 

この法律ができたことによって、企業は育児を理由に休暇を取った社員を辞めさせたり、不利な扱いをしたりすることができなくなりました。

育児・介護休業法は直近の改正で何が変わったの?

育児・介護休業法は、時代とともに細かい規定の見直しが続けられているのです。直近では、2017年10月に改正案が施行されました。主な改正点は次の3点です。

 

・2歳まで育児休業が取得可能

これまで1歳6カ月までだった育児休業が、2歳まで取得可能になりました。ただし、こちらは保育園に入れないなどの特別な事情がある場合に限られています。なお、休業を2歳まで延長した場合、育児休業給付金も2歳まで受け取ることができます。

 

・企業は主に男性が利用するための休暇制度を作るよう努力する

学校に上がる前の子どもの保育園行事や、配偶者の出産時に利用できる休暇制度を作ることを企業に対して求めています。ただし、これは義務ではありません。

 

・育児休業の制度を企業が取得希望の社員に対して周知する努力をする

パパ休暇や、パパ・ママ育休プラスといった男性の育児休業取得に対する理解は、まだまだ広くありません。また、それ以外の制度についても、詳しく知らない社員もいるでしょう。そのため、妊娠や出産をした社員・介護休暇の取得を希望する社員などに対して、企業が率先して情報を提供するように努力することが求められています。

外国では育児や介護についてどんな制度があるの?

外国では育児や介護についてどんな制度があるの?

日本の子育てや女性の社会進出は、欧米に比べて遅れているといわれることもあります。実際に、諸外国ではどのような制度が取られているのでしょうか?少し古いデータですが、海外の育児・介護事情についてご紹介します。

 

・育児

厚生労働省の「諸外国における育児休業制度等の取得率(未定稿)」によると、育児休業等の取得率は下記の通りとなっています。

各国の育児休業等の取得率

 

それぞれの国によって具体的な制度が異なるため、厳密な比較はできないという注釈がつけられていますが、それにしても、日本の男性の育児休業取得率は極端に低いといえるでしょう。スウェーデンやノルウェーでは、ほとんどの男性が育児休暇を取得しているのに対し、日本ではかなりレアケースであることがわかります。

 

もっとも、これはやや古いデータで、現在は日本でも男性の育児休業取得を推進する動きが強まっていますから、実際はもう少し高い数値になります。2018年時点の日本の男性の育児休業取得率は6.16%でした。

 

・介護

厚生労働省の「イギリス・ドイツにおける仕事と介護の両立支援(2015年)」によると、日本、イギリス、ドイツ、すべての国において、そもそも介護による長期休暇の取得に対するニーズはそれほど高くないとされています。それよりも、仕事とうまく両立させながら、短時間勤務や在宅勤務、フレックスタイムの利用などができる柔軟な働き方が求められているということです。

男性の育児・介護休業は広がっていくのか

男性の育児・介護休業は広がっていくのか

日本では、まだまだ育児や介護は女性が担う仕事であるという考え方が根強く残っています。いくら法律を整備しても、このような考え方自体が払拭されなければ、男性の育児・介護休業の取得を進めるのは難しいでしょう。

 

しかし、著名人やベンチャー企業の役員などの中には、積極的に育児休業を取得して情報を発信する人が増えてきています。このような流れが今後大きくなっていくことで、今の学生が社会人になる頃には、また状況が変わってくるでしょう。

 

現状、企業で働いている女性が出産・育児をする際、あるいは家族の介護が必要になった際、配偶者に対して当たり前に育児休暇や介護休暇の取得を求めるのは簡単なことではありません。

 

しかし、男性側がその可能性について検討していない場合は、一度、「育児休暇は取れるのか」ということについて話し合ってみてはいかがでしょうか。実際に取得できるかどうかはさておいて、「男性ではなく女性が休みを取るのが当たり前」という考えを改めてもらうことは、その後の育児分担や子どもの教育においても大切なことだと考えられます。

参考サイト

・厚生労働省|諸外国における育児休業制度等の取得率(2008年) 2019.9.27
https://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/09/dl/s0926-3c_0003.pdf

 

・厚生労働省|イギリス・ドイツにおける仕事と介護の両立支援(2015年) 2019.9.27
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11901000-Koyoukintoujidoukateikyoku-Soumuka/0000078644.pdf

平林恵子
この記事を書いた人
ファイナンシャル・プランナー
平林恵子

※本著者は楽天カード株式会社の委託を受け、本コンテンツを作成しております。

人事労務関係の仕事からライターへ転身。経験を活かしてコラム執筆を行っています。2017年、見識を深めるためにFPの資格を取得しました。税金や給与計算などに詳しくない方にもわかりやすい解説を心がけています。

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