保険証の種類とは|記号や番号での見分け方、保険制度の違いについても解説
病院で治療を受ける際に提示する保険証ですが、加入する健康保険によって保険証にも種類があることをご存じでしょうか。ここでは日本の公的医療保険の概要と保険証の種類、保険証の記号や番号の意味について解説します。
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- 保険証にはどのような種類がある?
- 保険証に記載されている記号や番号などについて
- 保険証の色によって違いはあるか
- 保険組合によって制度に違いはあるのか
- 社会保険(被用者保険)に加入できる条件は
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保険証にはどのような種類がある?
日本は「国民皆保険制度」を採用しています。国民全員が必ず何らかの公的医療保険(健康保険)に加入する制度です。
公的医療保険は、病院窓口で私たちが支払う医療費負担を軽くし、条件に応じて給付をするなど、福祉において大きな役割を担っています。
国民皆保険制度があるおかげで、私たちは誰でも必要な治療を受けることができ、いつでも気軽に病院に行け安心して生活ができるのです。
加入できる公的医療保険は大きく3つに分類できます。どの保険に加入するかは年齢や職業によって決まっており、それぞれで発行される保険証が異なります。
被用者保険(健康保険)
被用者保険は、会社員、公務員、教職員のように雇用されている人とその扶養家族が加入する健康保険です。単に健康保険や社会保険と呼ばれることもあります。
被用者保険は運営する母体(保険者)がどこかによって、さらに以下の3つの種類に分かれています。
(1)組合健保(組合管掌健康保険)
主に大企業が単独で設立する健康保険組合が保険者となる健康保険です。企業が単独で設立するほか、同じ業界の複数の会社で組合を作ることもあります。「○○会社健康保険組合」のように、組合名に会社名や業種・業界名を冠するケースが多くなっています。
(2)協会けんぽ(全国健康保険協会管掌健康保険)
協会けんぽの場合、保険者は全国47都道府県に支部がある全国健康保険協会です。単独では健康保険組合を作るのが難しい中小企業の従業員とその家族が主な加入対象です。
(3)共済組合
主に公務員や教職員とその家族が加入対象で、各種共済組合などが保険者となります。
国民健康保険
国民健康保険は、自営業やフリーランス、無職の人など、企業に勤めておらず被用者保険に入る機会のない75歳未満の人すべてが加入対象となる保険です。(生活保護の受給者、後期高齢者医療制度の加入者、短期滞在在留外国人の方などは除く)
また、企業に勤めている人であっても被用者保険の対象になっていない場合は、国民健康保険に加入することになります。
都道府県と市区町村が共同で保険者になっているものと、医師や美容師など特定の業種の従事者によって運営されている国民健康保険組合が保険者になっているものがあります。
後期高齢者医療制度
後期高齢者医療制度は、原則75歳以上の人すべてが加入対象の公的医療保険です。
日本では75歳になった時点で、すべての人が今まで加入していた被用者保険や国民健康保険から外れて、後期高齢者医療制度へ移行します。
また、75歳未満であっても、65歳を超えていて一定の障害を持っている人は加入の対象となります。
保険証に記載されている記号や番号などについて
どの種類の保険証でも、そこに記載されているのは以下のような情報です。
・被保険者(保険証の持ち主)の名前、住所、生年月日
・保険者(運営団体)の名前、所在地
・保険証の資格取得年月日、交付年月日など
・記号
・番号
・保険者番号
記号と番号
記号とは、企業や自治体などの保険者ごとに割り振られるもので、事業所整理記号とも呼ばれます。加入している保険によって桁数は異なりますが、これを見ることでその保険がどの組織によって運営されているものかわかります。
番号とは、被保険者を示す整理番号です。必ずしも一人ひとつずつというわけではなく、複数の被保険者に同じ番号が割り振られていることもあります。
保険者番号
保険者番号はその名のとおり保険者、つまり保険の運営母体がどこなのかを示す番号です。保険者番号を見れば、どの公的医療保険に加入しているのかがわかります。
保険者番号は基本的に8桁の数字で成り立っており、左から順に、
・法別番号:加入している保険の種類を表す2桁の数字。例えば「01」なら協会けんぽ、「02」なら船員保険など。
・都道府県番号:保険者が所在している都道府県を表す2桁の数字。「01」から「47」まで都道府県が割り当てられている。
・保険者別番号:保険者一人ひとりに割り当てられている3桁の数字。
・検証番号:番号に間違いがないかを検証するための計算に使う1桁の数字。
という構成です。ただし国民健康保険は法別番号がないため合計6桁になります。
保険証の色によって違いはあるか
保険証の色自体に特に大きな意味はありません。保険証のデザインに全国で統一された基準のようなものはなく、それぞれの保険者が独自に色を決定しています。
同じ業界の企業や組合などで似た色合いの保険証を発行している可能性はありますが、厳密な分類があるわけではありません。よって色だけで保険証を区別したり、何らかの情報を得たりすることは難しいでしょう。
なかには年度ごとや更新の手続きごとに保険証の色を変えているケースもあります。
保険組合によって制度に違いはあるのか
このように公的医療保険には種類がありますが、加入する保険組合によって制度に違いはあるのでしょうか。ここからは保険組合ごとの共通点や違いを見ていきましょう。
治療費の自己負担割合
私たちが普段病院の窓口で支払っている代金は実際にかかった治療費全体のうちの一部だけであり、残りは加入する医療保険によってまかなわれています。
そしてその自己負担額の割合は、どの医療保険に加入していても変わらず以下の基準に統一されています。
・小学校に入るまで:2割
・小学校入学~69歳:3割
・70歳~74歳:2割(現役並みに所得がある人は3割)
・75歳以上(後期高齢者):1割(現役並みに所得がある人は3割)
加入する保険によって病院で支払う金額が変わるといったことは起こりません。
保険料の計算と支払い
加入者が負担する保険料については、加入する保険組合によって支払い方法や保険料率が異なります。
被用者保険
金額は給与や賞与の額をもとに事業主が計算し、事業主と従業員で半分ずつ負担します。保険料率を決めているのは、協会けんぽでは都道府県、組合健保では各組合です。支払い方法は基本的に給与からの天引きです。
国民健康保険
金額は前年の所得などをもとに市区町村が計算し、全額を被保険者が負担します。支払い方法は口座振替か、金融機関やコンビニなどでの振込用紙を使った納付かどちらかです。
後期高齢者医療制度
金額は都道府県ごとの後期高齢者医療広域連合が決め、通常年金からの天引きで徴収されます。
国民健康保険の特徴
自営業やフリーランス、無職の人が加入する国民健康保険には独自の特徴があります。
まず国民年金保険には扶養の概念がありません。被用者保険であれば、扶養に入っている家族を保険料負担なしで同じ保険に加入させることができますが、国民健康保険では全員が被保険者となり、加入する人数分だけ保険料を支払う義務が発生します。なお支払いは世帯ごとに課されるので、世帯主が家族分をまとめて支払う形になります。
また、国民健康保険には出産手当金と傷病手当金がありません。被用者保険であれば、条件を満たすことで働けない日数に応じた給付を受け取ることができますが、国民健康保険では給付がありませんので注意が必要です。
ちなみに出産育児一時金の給付は被用者保険と同じで、1人出産するごとに原則42万円が支給されます。
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現役なみの所得があると高齢者でも自己負担の割合が増えるのね!