余らせがちな調味料をどうにかしたい……! 簡単に「使い切るコツ」をプロに教えてもらったら、自炊の幅が広がった話
余らせがちな調味料を使い切る簡単なコツを、#教えて消費レシピ というハッシュタグで自炊に悩む人々の悩みを解決してきた料理人・関口幸秀さんが伝授。豆板醤、バルサミコ酢、柚子胡椒、ナンプラー、ジェノベーゼペーストを使ったレシピを紹介します。
- 調味料を使い切るコツは「調味料の原材料を知る」「レシピから横展開」の2つ
- 消費レシピを教えてもらう前に。余りがち調味料の代表格「バルサミコ酢、柚子胡椒、ナンプラー」の活用方法
- 簡単すぎる! おせっかい料理人直伝の消費レシピ
- まとめ。調味料の使い方がわかると、料理が楽しくなる!
ライターのmegayaです。僕は今年で30歳になり一人暮らしも長いため、ある程度の料理はする。
特に今年は家で過ごす時間が多くなり自炊の機会が増えたので、以前よりも料理熱が上がったように思う。
ただ、色々と調味料を買ってみたものの、どれも一向に減らない。使う調味料は醤油、みりん、塩、砂糖くらいでだいたい固定されている。
すると「麻婆豆腐を作るために豆板醤を買ったけど、その1回しか使ったことがない」的な現象がよく起きる。
そんな僕に、Fun Pay!編集部から「余りがちな食材や調味料を使い切るコツを、プロの方に聞いてみませんか?」という依頼がきた。
めっちゃ聞きたい。
わが家には豆板醤、ナンプラー、バルサミコ酢、柚子胡椒、オイスターソース、クミン、コチュジャン、チリソース、ジェノベーゼ……
1回しか使っていないような調味料が山のように眠っている。多分このまま永眠。
料理が得意でない僕はレシピを見ないと料理が作れないため、調味料が一向に減らない。というかレシピに書かれていないと使い方がイメージできない。
この「調味料の使い方がわからない問題」を解決したいのだ。調味料をうまく使いこなせれば、もっと自炊の幅も広がるように思う。
ということで今回はプロの料理人に「調味料を使い切るコツ」と具体的な「消費レシピ」を教えてもらった。
教えてもらうのは、#教えて消費レシピ というハッシュタグで、余らせがちな食材や調味料を使い切れない人たちの悩みを解決してきた料理人・関口幸秀さん。
例えばTwitterに寄せられた「コチュジャンを買ったはいいものの使い方に悩んでいる」というユーザーには、下記のように返信ツイートでレシピを紹介するなど、さまざまな食材・調味料を使う上での悩みを解決されてきた。
(画像はイメージです)
こんな感じでリモートでインタビューしながら調理のコツも教えてもらったのだけれど、料理レベルが一気に上がったような感覚になり、ちょっとしたコツがわかるだけで料理の視界が広がった。
調味料を使い切るコツは「調味料の原材料を知る」「レシピから横展開」の2つ
早速、まずは調味料を使い切るための考え方について、関口さんに聞いてみた。
教えてくれた人……おせっかい料理人・関口幸秀さん
イタリアン6店舗の統括料理長からフリーランス料理人に転身。コロナの影響で自宅での料理に悩む人に向けてSNSで「#教えて消費レシピ」という悩み相談を始めたことが話題となる。また、料理人を身近に感じるイメージにしていくために「おせっかい料理人」という肩書で活動中。
ーー(megaya)自粛期間で料理をする機会が増えて豆板醤、バルサミコ酢、ナンプラーなど買ってみたはいいけど減らない調味料が多くて困っています……。
慣れてない調味料って使い方を考えるのが難しいですよね。でもコツさえ理解すれば簡単にそれぞれの調味料の使い道がわかりますよ。基本がわかると食材に合う調味料がすぐに見つかるようになります。
調味料を使うコツは「原材料を知ること」です。原材料がわかればどんな調味料でも使いやすくなります。
ーー原材料?
例えば豆板醤の原材料は主にそらまめや大豆などです。これがわかると「豆腐に合うだろうな」ということがすぐに推測できます。なぜならどちらも原材料が同じマメ科だからです。原材料が同じものであれば美味しくなるはずです。
【豆板醤の場合】
豆腐の主な原材料は「そらまめ」あるいは「大豆」などのマメ科
↓
「大豆を使った『豆腐』のレシピに豆板醤は合うはずだ」
「同じく大豆が原材料の『味噌』を使った料理にも合うかも」
と、どんどん可能性が広がっていきます。
ーーなるほど、すごく合理的ですね。調味料の原材料がわからない場合はどうすればいいんでしょうか?
その場合は「レシピから横展開」していけばいいでしょう。「豆板醤は麻婆豆腐に使用されている」→「じゃあ豆腐を使った料理には合うはずだ」という風に。
豆板醤は辛味噌だと思っていろんなものにチョイ足しすると大活躍します。鍋とかラーメンの味変にも使えます。マヨネーズと豆板醤を和えたエビマヨなどもおすすめです。
ーーなるほど! 横展開で一気に可能性が広がりそうですね。
そうです。同じものを探せばいいだけなので、料理の知識がそれほどなくても大丈夫ですよ。僕は料理に関して「冷蔵庫の数だけ正解がある」と思っています。自宅にある調味料、冷蔵庫に入っている食材を見ながら「こんな料理ができそう!」と考えるのも、料理の醍醐味だと思っています。
消費レシピを教えてもらう前に。余りがち調味料の代表格「バルサミコ酢、柚子胡椒、ナンプラー」の活用方法
関口さんに調味料について直接教えてもらえる機会もそうそうにないので、ここからはわが家にある「買ったはいいものの使い方がわからない調味料」のうち、恐らく僕以外の人もきっと余らせているであろう調味料のバルサミコ酢、柚子胡椒、ナンプラーを使うためのコツを教えてもらうことにした。
合わせてこの後実際にこれらの調味料を使った消費レシピも教えてもらっているので、ぜひ読んでいただきたい。
1. 「バルサミコ酢」……ソースにすれば大量消費が可能
まずは「サラダにかけると美味しい」という噂を聞いて買ったみたバルサミコ酢。
たしかに美味しかったけれど、ドレッシングがあればそっちを使ってしまうので今はほとんど使っていない。
バルサミコ酢は「どう減らせばいいですか?」と聞かれるランキングの第一位です(笑)。ちょっと酸っぱいのに抵抗感がある方も多いのかもしれませんね。
先ほどの原料をヒントに考えてみましょう。バルサミコ酢の原料はブドウなんです。同じブドウが原料のものにワインがあるのでステーキの定番「赤ワインソース」ができるかも? と考えられますし、例えば酢を使う「酢豚」の横展開から料理のイメージをつけることもできますよね。
一気に使い切る方法としておすすめなのが、バルサミコ酢でソースを作ることです。500mlほどを鍋で煮詰めるだけで、甘めのソースが完成します。熱で酸味も飛ぶので食べやすくなりますし、焼いた肉や魚と相性抜群です。
2.「柚子胡椒」……添えるだけじゃない! 炒めものにも積極的に活用しよう
柚子胡椒は、焼き鳥などの味変用に買ってみたけどほとんど使っていない。そもそも家で焼き鳥を食べる機会が少なかった。しょっぱいので何に使っていいのわからず使いづらい。
柚子胡椒は「しょっぱくて使いづらい」というイメージを持つ人が多いかもしれません。添え物として使われることも多いですが、炒めものやパスタとの相性は抜群です。
柚子胡椒の原料は柚子・唐辛子です。なので身近な食材だと例えば唐辛子を品種改良してできたとされるピーマンと合わせるとよさそう、という考え方ができます。レシピの横展開ならば、「焼き鳥&柚子胡椒」から考えてみると、鶏肉と相性がいいのがわかります。保存のために塩分も強く加工してあるので、塩の代わりに使って炒め物に入れれば風味もついて美味しいですよ!
あと意外かもしれませんが、ミルクやバター系の料理にちょい足しするのもおススメです。
3.「ナンプラー」……酸味を足して独特の匂いをおさえれば使いやすさアップ
タイ料理を家で作ってみたくて試しに買ってみたけれど、匂いが強烈で他の料理にまったく使えていないナンプラー。
嫌いな人はそもそもナンプラーを買わないと思うので、食べられる人を前提で話していきますね(笑)。
ナンプラーは独特な匂いが気になる人も多いと思うのでレモンなどの酸味を足すといいでしょう。もやし炒めなどで試してみてください。あとは煮物などをつくるときに出汁のような感じで最初に数滴入れても美味しいですよ。
それとナンプラーはカタクチイワシが原料なので、イワシを使用しているアンチョビには抜群に合います。
関口さんに聞いて、今まではレシピを見て材料に書かれていないと使えないと思っていた調味料たちだったが、「こんなに自由でいいんだ」となった。原材料を見る、その調味料が使われている料理を思い浮かべて横展開するだけでいいんだ、と納得感があった。
簡単すぎる! おせっかい料理人直伝の消費レシピ
調味料を使うコツがわかったが、やっぱり料理は手を動かしてみないとわからないことも多い。ということでここからは僕が調理するところを関口さんに見てもらいながら教えてもらうことに。
今回は、比較的どの家でも余らせていそうな
・豆板醤
・バルサミコ酢
・柚子胡椒
・ナンプラー
の消費方法と、先日ジェノベーゼパスタが食べたくて買って以来全く料理に使えないでいるジェノベーゼペーストの消費レシピを教えてもらった。
・【豆板醤】
・豆腐とザーサイの中華風冷奴
・お手軽担々麺
・【バルサミコ酢】
・ご馳走バルサミコステーキ
・唐揚げのバルサミコ煮
・【柚子胡椒】
・鶏肉とピーマンの柚子胡椒炒め
・ドレッシングにアレンジ
・【ナンプラー】
・ガパオ風どんぶり
・青魚とレモン、ナンプラーのパスタ
・【ジェノベーゼ】
・イタリアン風素麺
・ポテトサラダwithジェノベーゼ
豆板醤の消費レシピ
超簡単で最高にうまい『豆腐とザーサイの中華風冷奴』
【作り方】
1.水を切った豆腐と細かく切ったザーサイ(コンビニなど購入できる)をボールに入れる
2. 豆板醤、ごま油、塩を入れ混ぜて完成
これが混ぜるだけでできるし超美味い。居酒屋ででてきたら鬼リピートするくらいハマる。豆板醤を入れることでちょい辛になるので酒もすすむ。
こういう記事で「簡単に作れて美味しいですよ」って建前で書くことは多々あるけれど、これは自信満々に言える。これはマジで簡単に作れて美味しいのでおすすめ。
【作り方】(作りやすい分量)
1. 豆乳200ml、豆板醤大さじ2と1/2 (他にも甜麺醤(テンメンジャン)、コチュジャンなどあっても合わせて使える)、鶏ガラスープ大さじ1、ラー油(少々)、砂糖(少々)を用意する
2. (1)を混ぜ、担々麺のスープが完成。中華麺と合わせても、夏に余りがちな素麺で食べても◎
※合い挽きや鶏ひき肉(70〜80gほど)があれば、炒めて合わせるとより本格的な味わいに
バルサミコ酢の消費レシピ
10分でできる! 『ご馳走バルサミコステーキ』
【作り方】(作りやすい分量)
1. ステーキ肉の両面に軽く塩胡椒して、フライパンで焼く
2. 片面に焼き色がついたらひっくり返して同じく焼き色を少しつけたら豪快にバルサミコ200cc程度をドバッと入れる
3. 固くならないよう肉を取り出したらそのままバルサミコ酢を煮詰めて酸味を飛ばし甘みを引き出す
4. バター20gを加えトロッとソースにしたら肉を戻してソースに絡めて完成
先程教えてもらった、バルサミコ酢を一気に使い切る簡単な方法として出たソースを実際に活用したレシピ。バルサミコ酢を煮詰めただけなのに甘みがあって美味しい。酸味も熱で飛んでいてまろやかになっている。関口さんによるとローストビーフにかかっているソースとして使われることもあるらしい。
実際の調理時間は10分ほどで、めちゃくちゃ簡単だ。しかも食卓のステーキが一気に高級になる。このソースは冷蔵庫に入れておけば一週間くらいは保つらしいので、バルサミコ酢を一気に消費したいときにおすすめのレシピだ。
【作り方】(作りやすい分量)
1. 玉ねぎ、ピーマン、人参、パプリカなど(市販のカット野菜を使ってもOK)をニンニク、生姜(いずれもティースプーン1/2ほど)で軽く炒める
2. バルサミコ酢(200ccを目安)を入れて煮つめる
3. 砂糖を少しずつ加え、好みの甘さに調節したら唐揚げ(惣菜などのものでOK)を加え、絡めたら完成
柚子胡椒の消費レシピ
爽やかな『鶏肉とピーマンの柚子胡椒炒め』
【作り方】(作りやすい分量)
1. 鶏もも肉1枚を小さめにカットして塩胡椒、砂糖、ナンプラー、お酒で軽く下味をつける
2. ニンニク、生姜で鶏肉を炒めて、細く切ったピーマン2個を軽く炒める
3. 柚子胡椒を入れてごま油で香りをつけたら完成
柚子胡椒の量はこれくらい
いくつか作ってみたけれど個人的には今回これが一番の当たりだった。なぜなら同じ味の炒めものしか作れなかったからだ。
そもそも自分には柚子胡椒を炒め物につかう発想がなかったので、料理の幅が一気に広がった感じがした。
柚子胡椒はオリーブオイルに少し加えるだけでドレッシングになるため、サラダに活用するのもおすすめとのこと。
「手持ちの調味料をドレッシングにすれば、市販のドレッシングを購入しなくてもよくなるし、調味料の使い切りにもつながりますよ」(関口さん)
ナンプラーの消費レシピ
簡単なタイ風料理『ガパオ風どんぶり』
【作り方】
1. 鶏ひき肉(100g程度)に生姜、にんにく(いずれもチューブ1cmほど)、砂糖(大さじ1と1/2)、酒(大さじ1と1/3)、塩胡椒(適量)、あればバジルを炒める
2. オイスターソース(なければ醤油)とナンプラー(いずれも小さじ1)で味付ける
3. 目玉焼きを焼いてのせる
これを作ったことによって「ナンプラーってこんなに適当に使っていいんだ」というのがわかった。
タイ料理って難しいイメージがあったけど、自分で作るなら雰囲気さえ味わえれば十分だ。もっとナンプラーを気軽に使っていこうと思った。
【作り方】(作りやすい分量)
1. 青魚(サバなど)の切り身1枚と長ネギ1/3本、生にんにくみじん切り1片、(あれば唐辛子)をオリーブオイルでよく炒めたあと、ナンプラーをひと回し程度加える
2. 茹で上げたパスタと(1)を絡め、レモンスライス2枚を入れる
3. レモンの皮を上からすり下ろし、完成
※レモンをそのまま使えるとベスト。ただ、ない場合はレモン汁を仕上げに2,3滴入れるでもOK
ジェノベーゼの消費レシピ
イタリアン風素麺
【作り方】
1. 素麺を茹でる
2. 麺つゆにジェノベーゼ(好みの量)とサイコロ状にカットしたトマト(好みの量)を少し加えればつけ汁の完成
わが家に眠っていたジェノベーゼが再び光を浴びるときがきた。
麺つゆに少し入れるだけで一気にイタリアン風になる。ジェノベーゼって、なんとなく「パスタに使うもの」という固定概念があって使い道が難しいと思っていたのだけれど、ちょい足しで色々使えることがわかった。
【作り方】
1. ポテトサラダ(市販のポテサラでも、自分で作ったものでも)に、好みの量のジェノベーゼを加えて混ぜるだけ
実際に僕が作ったときはティースプーン1/2杯ほどを入れてみたら、いつものポテサラがめちゃくちゃリッチな感じになった。
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めちゃくちゃ余談だが、今回リモートで関口さんと、Fun Pay!編集部の方に見られながら料理をしていたのだけれど、めちゃくちゃ緊張した。今、振り返って画像を見てみると視聴数の少ないYouTuberみたいだ。
まとめ。調味料の使い方がわかると、料理が楽しくなる!
いろいろ教えてもらったが、「豆腐とザーサイの中華風冷奴」が美味すぎるので今回はこのレシピを知れたのがとにかく本当によかったし、最近はこればっかり食べてしまっている。
今回の企画を通して家にある調味料を減らすコツを知ることができてよかった。横展開して考えるというのは目からうろこだった。
そして料理の味の幅を広げることができたのが個人的には最高だった。
野菜炒めを作るにしても、なにかをかけるにしても今まで使ってなかった調味料を足してみるだけで、可能性は無限に広がっていく。料理ってレシピ通りじゃなくてもいいんだということがわかった。
レシピどおりに作らなきゃいけない……ということを考えずに気軽に料理を楽しんでいきたいと思えるようになったし、今まで興味はあるけど使いきれなさそうで買うのを諦めていた調味料も試してみたい。
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