タンス預金のメリットとデメリットは?盗難や災害、地震など非常時のリスクに備えるには
マネ活編集部
銀行などの金融機関に預けず、お金を身の周りにおいておく「タンス預金」。金融機関にその存在を把握されないので、相続の時などに課税されないのでは? と誤った理解もまことしやかにささやかれています。メリット・デメリットを考えてみましょう。
持っててよかった! タンス預金のメリット
例えば、身内に不幸があった時。事前に「今週が山かもしれない」等の情報がある場合はむしろまれで、親戚などの不幸は突然知らされることが多いもの。そんな場合に、家に現金があれば、駆けつける多額の旅費や香典もすぐに準備できます。
小さい頃に、祖母が「主婦は香典袋と、備えのお金の準備を欠かしたらいけんよ」と言っていましたっけ。その時は意味も分からなかったのですが、自分が主婦として家庭をもつと、実感として大切さがわかります。
フランス人と結婚した翻訳家の友人によれば「いつでも持って逃げられる、現金を家におくのは常識」だそうです。金貨であれば、国が変わっても通用するので、金貨を積み立てで買っているとのこと。長年戦乱時代が続いたヨーロッパの国際情勢が備えを固めさせているようです。
自然災害とドロボウに注意! タンス預金のデメリット
そうは言っても、家に大金があると落ち着かないもの。いくら低金利で利息があまりつかないからと言って家に現金を置いておいて大丈夫でしょうか。
考えられる現金消失の危険性は、自然災害や火災、ドロボウの盗難リスクでしょう。空き巣狙いなどは、わずか10分ほどの間にあらゆる家具の中身を物色し、しまってある貴重品を盗んでいく恐れがあるといいます。
ところが、実際には家の中で現金を紛失することも多いようです。つまり、隠し場所を忘れてしまうこと。先日も、友人が「本を処分しようとしたら、古い本の間から1万円札がぱらりと出てきてびっくりした」とのんきに話してくれました。家におく場合は、本人が置き場所を忘れない工夫が必要です。
タンス預金は相続税フリー? そんな訳にはいきません!
病人が家族にいて「そろそろご家族に知らせてください」と主治医に言われたら、覚悟を決めて亡くなった後のことも考えなければなりません。ことに一家の主人が病気だった場合など、銀行の口座凍結で、お金が下せなくなりおろおろすることに。
その準備であらかじめ口座から大金を下ろすこともあるでしょう。この際に、家に保管すればその分は相続税の対象にならず相続税対策になると勘違いされることがあります。葬儀費用やお墓・仏壇の購入代金は相続財産から免除されますが、タンス預金は課税の対象になります。
どうやって金融機関にないものを特定するかというと、もし税務調査が入った場合は、故人の金融機関の口座情報の他に、家族や関係者の口座も調査の対象となります。病気で動けない故人が最後に大金を下せるはずはないので、下した記録からたどって追跡が可能です。
タンス預金にも、メリット・デメリットがありました。タンス預金では、相続税逃れは難しいようです。安全面や消失リスクを考えると、家に大金を置いておくよりは、未来に備えセキュリティ対策として銀行に定期預金として預ける方法があります。定期預金であれば万が一通帳を盗まれた場合にもお金をすぐに下される心配がなく、なおかつ普通預金に預けているよりも金利がずっと高いケースが多いからです。
手持ちの財産をタンス預金にしておくよりも、いざという時の資金は手元に置きつつ、その他のお金は比較的金利が良い定期預金にしておく方がメリットがありそうです。