「こびとづかん」ブームで学んだお金との付き合いかた なばたとしたかさんインタビュー

リリース日:2020/02/21 更新日:2022/06/01
なばたとしたか
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こびと研究家兼イラストレーター。石川県金沢市在住。自身の代表作 こびとづかんシリーズはロクリン社より発売中!最新作『犬闘士 イヌタウロス』も絶賛発売中です。なばた先生の作品はこちらから

※本著者は楽天カード株式会社の委託を受け、本コンテンツを作成しております。

昆虫でも植物でもない不思議な生き物「コビト」を収集・観察する書籍「こびとづかん」シリーズ。書籍「こびとづかん」シリーズの累計は270万部を突破。一躍人気作家になったなばたとしたかさん。一時期は家賃47万円のマンションに住んでいたのだとか…!! 2019年末に新作「犬闘士 イヌタウロス」を発売したなばたさんに、「こびとブームがきた時期にやっておけばよかったこと」や「お金の使い方」についてお話をうかがいました。

  1. ブームになった「こびとづかん」シリーズ、270万部の威力とは!?
  2. お金ってね、人を変えちゃうから。
  3. 美味しいものを食べる時間や、子どもと過ごす時間がとても大切。
  4. 新作「犬闘士 イヌタウロス」は、見た瞬間に「うわあこれはすごい!」と思われるようなものにしたかった。
  5. 僕を世界と繋げてくれるのは作品しかない。

ブームになった「こびとづかん」シリーズ、270万部の威力とは!?

「こびとづかん」は2006年に初めて出版された、なばたとしたかの絵本とその書籍シリーズ(「こびとづかん」公式サイトより引用)。発売当初からジワジワと注目を集め、2008年頃に「こびと大百科」の発売をきっかけに一躍大ブームを巻き起こした。

 

こびとづかんシリーズ

 

マネ活編集部:ピークの市場規模は年間で50億円もあったとか?

 

なばた:そうですね。絵本だけではなく、映画になって本も売れてグッズもたくさん出た時の総額です。もちろん、僕に入るお金ではありません(笑)。

 

マネ活編集部:50億円全てではないにしても、相当な額が先生の元に入ったかと思います。当時の一番高い買い物は何でしょう?

 

なばた:いきなり生々しいですね(笑)。車かな。レンジローバーを会社で買いました。他には…思い出せないですね。たぶんこれが一番高い買い物です。絵本を出版するまではフリーターとかニート生活みたいなことを30歳までしていましたから(笑)。貧乏が染み付いてますからね!

 

マネ活編集部:レンジローバーが個人ではなく社用車というところに、先生の慎ましさが現れていますね。お金を使うにも「慣れ」が必要です。

 

なばた:「数万円のスタジャンを買うのにすごく迷ってたよね」って、今でも笑い話にされます。月に何千万も入ってくることもある時期でしたけど、数万円で迷ってましたね。あとは…150万部突破した時に、記念に150万円の時計を買いました。ギラギラしたいかにもなのは嫌だったので、パネライの黒と茶色のめちゃくちゃ地味なデザインのものにしました。「クルーザーを買った!」とかハデな話がなくてすみません(笑)。

 

お金を持つと、投資やら何やらいろんな人が寄ってくるらしいです。
 
(お金を持つと、投資やら何やらいろんな人が寄ってくるらしいです。)

 

マネ活編集部:慎ましさが抜けきらなかったんですね(笑)。ニート生活からいきなり月に何千万…もっと調子にのってもよさそうですが。

 

なばた:調子にはのれないんです。「絶対に借金をしてはならない」という、なばた家の家訓がありまして…。ローンも含め、借金は絶対にダメ。

 

マネ活編集部:ローンもですか!? ここは楽天の運営するメディアで、金融系商品の中にローンもありますが(笑)。

 

なばた:申し訳ないですが、ローンはしません(笑)。今住んでいる家も一括購入しました。「こびとづかん」のブームが落ち着いてから購入したので、保険を解約して。東京ではなく、地元・石川県金沢の新築マンションです。東京だったら郊外のマンションくらいの値段じゃないかなあ。

 

マネ活編集部:「こびとづかん」ブーム時に貯蓄をされていたのでしょうか?

 

なばた:貯蓄は大してありません。「こびとづかん」ブームの時に入ってきたお金をちょびちょび使って、新しいことにどんどんチャレンジしているので。ブームの時、貯蓄型保険がちょうど1ドル80円ぐらいだったんですが、解約する時には122円ぐらいになっていました。だから数百万円得しちゃった。不思議なもので、ブームの頃って銀行から「投資しませんか?」って営業がいっぱいくるんです。今はパッタリなくなっちゃいましたけど(笑)。

お金ってね、人を変えちゃうから。

新作「犬闘士 イヌタウロス」を持ってニッコリ
 
(新作「犬闘士 イヌタウロス」を持ってニッコリ)

 

マネ活編集部:2006年に「こびとづかん」が出版され、2012年あたりをピークにブームが落ち着いていくわけですが、「ブームだった頃にやっておけばよかった」ということはありますか?

 

なばた:逆ですね。「やらなくてよかった」ことならいっぱいあります。一番は、「横柄にならなくてよかった」ですね。

 

マネ活編集部:それは「借金はダメ」と同じで家訓でしょうか?

 

なばた:いえ、経験といいますか。若い頃、画材店で働いていて、そこにはいろんな「先生」が額縁を買いに来ました。中途半端に「先生」と呼ばれる人たちって、なぜかみんな偉そうなんですよ。注文もこまかくて(笑)。結構うんざりしていたんですが、そんな先生たちの中で一番偉い先生は全く偉そうじゃなかった。なんでも「大丈夫、大丈夫」って。仏様のような人でした。全く偉ぶらずに周囲を和やかにするその方を見て「本当にすごい人ほどこうなんだ」「謙虚な気持ちとサービス精神だけは無くさないでおこう」ってずっと思っていました。

 

マネ活編集部:いい経験をされたんですね。頭では分かっていても、実際に自分に反映されているのがすごいと思います。

 

なばた:いえいえ、最初はたぶん調子に乗ってたんです(笑)。今まで見たことないお金が入ってきて、周りの態度も変わりますし。なぜか友だちが増えたり、いろんな誘いがあったりね。でも、心のどこかに、家訓もそうですし、画材店で経験したことが引っかかっていたので、この程度で済んだ感じです。それがなかったらもっと調子に乗って借金もしたでしょうし、歯止めが効かなくなったはず。実際に、周りにもお金を持ったことで変わってしまった人がいました。お金ってね、人を変えちゃうから。

美味しいものを食べる時間や、子どもと過ごす時間がとても大切。

マネ活編集部:堅実ななばたさんですが、ちょっと豊かに過ごすためにこだわっていることはありますか?

 

なばた:食べるものに関しては、たまにですが贅沢をするようにしています。金沢には美味しいお店がたくさんあるのですが、中でも一番の贅沢に感じるのは『弥助』というお寿司屋さんで食べるときかな。ここは「生きる伝説」と言われる88歳の職人さんが握ってくれるお店です。美味しさと、プロの生き様を感じさせてくれるので本当にオススメです。あとは、今は子どもとの時間ですね。家で仕事をしているので、毎日、日々の成長を感じられるのは贅沢だな思います。嬉しい表情や仕草を見ていると本当に癒されます。言うことを聞かない時は「なんじゃこいつ!」と思うときも多々ありますけどね(笑)

 

お子さんのお話になるとパパの顔に!
 
(お子さんのお話になるとパパの顔に!)

 

マネ活編集部:お子さま用の備えはどうされていますか? 学資保険やジュニアNISA…いろいろありますが。

 

なばた:入っています。こびとブームだった頃に一括で入りました。家訓を守って保険も一括で(笑)。

 

マネ活編集部:確かに、保険も月々の支払いになるからローンと同じような出費ですよね。

 

なばた:一括で入ってから10年経つので、そろそろ増えて戻ってくるターンです。運用型っていうのかな? これからは年間で結構な額が戻ってくるんです。

 

マネ活編集部:一般的には少しずつ積み立てる保険がスタンダードですけど、なばた先生のようなお仕事であれば儲かっている時に一括で入るのはアリかもしれませんね。他に何か「運用」的にしていることってありますか?

 

なばた:細かい話ですけど、楽天ポイントはめちゃくちゃ貯めています(笑)。

 

マネ活編集部:お! 嬉しいです! 言わせたみたいになってますね(笑)。

 

なばた:本当に、楽天ポイントって気がついたら溜まってるんですよね。僕は楽天カードと某外資系カードの2枚持ちなんですが、外資系カードのポイントも楽天ポイントにスライドしています。スライドするとちょっとだけポイントの利率が下がっちゃうんですけど、楽天にまとめて、お買い物マラソンしたり。いま、(楽天ポイントは)7万ぐらいかと。最高だと20万ほど貯まった時があります。

 

マネ活編集部:20万はすごいです。他からのスライドまでしていただいて…! スライドできることは意外と知られていないんですけど、よくご存知で。

 

なばた:ヘビーユーザーです! ぜひ、楽天カードのキャラクターを描かせてください(笑)。

 

マネ活編集部:上と相談します(笑)。カードのお支払い口座を楽天銀行に作っていただくとよりポイントが貯まります。

 

なばた:そうなんですか!? じゃあ、次ブームが巡ってきたら楽天銀行にどんと入れますか…(笑)。

新作「犬闘士 イヌタウロス」は、見た瞬間に「うわあこれはすごい!」と思われるようなものにしたかった。

マネ活編集部:2019年12月に新作絵本「犬闘士 イヌタウロス」が発売されました。おめでとうございます! 上半身がヒト、下半身がイヌ、顔もイヌ、という、衝撃的な新キャラクターです。これはギリシア神話のケンタウロスからきているのでしょうか?

 

なばた:そうです、ケンタウロスの犬版です。5年前、「こびとづかん」シリーズを制作している最中に、「なんか違うことやりたいなあ」って思って(笑)。うちにパグがいるんで、モチーフにできないかなあと。自分だったらどんなグッズが欲しいかなっていう妄想から始まりました。

 

マネ活編集部:グッズから考え出したんですね!?

 

製作進行中のイヌタウロス人形。ぽてんとしたフォルムがたまらない。
 
(製作進行中のイヌタウロス人形。ぽてんとしたフォルムがたまらない。)

 

なばた:そうです。「こびとづかん」も最初から絵本で考えていたわけじゃなくて、キャラクターから考えています。僕はそもそも絵本作家になりたかったわけじゃないですしね(笑)。コビトの紹介本を出したくて出版社に持ち込んだら、「絵本にしょう!」って言われて…「え? 絵本!?」って(笑)。ありがたいことに、「こびとづかん」はお子さんに人気があるんですが、それは僕が子どもを意識して描いているからではなく、僕が子どもの頃に見たかった世界を作っているからだと思います。今回の「犬闘士 イヌタウロス」も子ども向けに描いているわけではありません。

 

マネ活編集部:たしかに、「犬闘士 イヌタウロス」は絵本のような装丁ですが、開いてみると漫画のようにコマ割があります。ルビがあるとはいえ、漢字も多い。

 

なばた:最初は16ページぐらいのいわゆる普通の絵本にする予定でした。一番最初に編集長にささっとコマ割りで描いたストーリーを見せていたんですけど、それを端折って端折って16ページに収めようとしていました。そうしたら「コマ割りで見せちゃっていいんじゃない?」って話になったんです。たしかに、コマ割りの児童書って見ないし新しいな、面白いなと。で、いわゆる普通の漫画ではなく、フランスのバンド・デシネみたいにしようと。

新次元の漫画絵本「犬闘士 イヌタウロス」
 (新次元の漫画絵本「犬闘士 イヌタウロス」(© なばたとしたか / ロクリン社))

 

マネ活編集部:2016年に森アート美術館でルーヴル美術館特別展「ルーヴルNo.9」が話題になりました。私はあの展示でバンド・デシネにすごく興味が湧きました。最近は密かなブームになっているとか。

 

なばた:バンド・デシネって聞くと、「アート」だとか「古典」のイメージがありますよね。それをあえて児童書でやってみて、ハードルの低い新しいものにしたいと思いました。

 

マネ活編集部:ページをめくってまず「イラストが多い!」とびっくりしました。普通に絵本を描くより、何倍…何十倍のイラスト量です。

 

なばた:ものすごく多いですよね。見た瞬間に、「うわあこれはすごい!」と思われるようなものにしたくて(笑)。「ラフで書いたモノクロの線がいいんじゃない?」って意見もあったんですけど、僕はカラーにしたかったので全部塗りました。これは暇じゃないとできない(笑)。他の作家さんだとできませんよ(笑)。

 

マネ活編集部:コマ割りでやろうという発想が編集から出てきたときに、躊躇しませんでしたか? 言うのは簡単ですけど、実際に手を動かすとなると…。

 

なばた:大変そうだけどやろうと思いました。インパクトのある作品になるだろうし、もしかしたらこれが今後のスタンダードになるかもしれない…! でも、まあ、あまり深くは考えてなかったですね(笑)。「たしかにいいかも」ぐらいの気持ちで。だから最初のページでコマを描いて…心が折れましたね(笑)。

 

犬闘士 イヌタウロス

 

マネ活編集部:本体価格が1,800円なんですけど、開いた瞬間に「これで1,800円は安い!」って思いました(笑)。

 

なばた:ありがとうございます! ぜひこのカロリーを見てほしいです(笑)。最初のページが大変でした。特にこの(冒頭の)2コマ! 僕は全てフリーハンドで描くので、自然物を描くのは得意なんですが、人工的な建物がすごく苦手。何回も何回も描き直して…。アナログ感を出すために、デジタルで描写して色を塗り、出来上がったものに上から線を描いてますしね。

 

マネ活編集部:ただでさえイラストの点数が多いのに、それら全てに線を描きたしている!?

 

なばた:今までは線を描くのに抵抗があったんです。漫画っぽさが嫌だなあって。でも今回はあえてちょっと漫画っぽさを出したくて。線を入れると絵が前にはっきり出るんで。その方がキャラクターの対話なんかがよく見えるかなと思って。 これも新しい試みです。

僕を世界と繋げてくれるのは作品しかない。

マネ活編集部:本日はありがとうございました。最後になばた先生にとっての「資産」とは何かお聞かせいただけますでしょうか。

 

なばた:…作品かな。僕を世界と繋げてくれるのは作品しかないですし、なかったら誰とも会わないかもしれない。お金も入ってこなくなります。そういう意味で、僕の資産は間違いなく作品じゃないかな。僕は不器用な人間なので、作品しかないんですよね。生きづらいといいますか。器用だったら、もっとこういうところ(楽天の社内を見渡す)で働けたのになあって(笑)。

 

マネ活編集部:何をおっしゃいますやら(笑)。こちらとしては、先生の生き方に憧れてしまいますけども。

 

なばた:器用だったらこういうイケイケな会社に入って、いろんなことやれそうだなあって思うんですけど。でも、それができないから、これ(キャラクターを作ること・絵を描くこと)が見つかっているのかもしれません。みなさんに喜んでもらえることができてよかったし、ありがたいなあって思います。

 

マネ活編集部のためにサイン&イラストを…! ありがとうございました!
 
(マネ活編集部のためにサイン&イラストを…! ありがとうございました!)

 

 

写真 雨森希紀
取材・文 金延紗衣
撮影協力 WeWork半蔵門 PREX North
https://www.wework.com/ja-JP/buildings/hanzomon-prex-north--tokyo

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