香港のデモ|原因と混乱と今後の心配についてわかりやすく解説

リリース日:2022/04/05 更新日:2022/04/05

「2019年逃亡犯条例改正案」への抗議として始まった香港のデモが続いています。イギリスからの返還後、一国二制度の崩壊に不安が高まっているようです。ここではデモの経過や、米中貿易戦争への影響などについて解説しています。

香港のデモ|原因と混乱と今後の心配についてわかりやすく解説
  1. そもそも香港はどういう場所なのか
  2. 香港のデモの原因、なぜそんなに大混乱しているの?
  3. 対岸の火事では済まない、世界的な懸念

そもそも香港はどういう場所なのか

そもそも香港はどういう場所なのか

香港というとどのようなイメージがあるでしょうか。文化の面では香港映画が有名です。イギリスの植民地だった時代から映画産業が盛んで、ジャッキー・チェンやブルース・リーといった映画スターを輩出しています。経済も活発で、特に金融都市としてはロンドン・ニューヨークについで世界3位と評価されたこともあるほどです。観光スポットでは「100万ドルの夜景」が有名。ちなみにクレジットカードの利用に関しては、中国では銀聯カードが広く使われていますが、香港ではVISAとMasterが使いやすいといった違いがあるようです。

 

香港の歴史で重要なのは、上述のとおりイギリスの植民地だったということです。1839年から1842年のアヘン戦争を経て、香港はイギリスの植民地となりました。そのころの中国は清朝です。香港がイギリスから中華人民共和国へ返還されたのは、1997年7月1日のことで、香港は中華人民共和国の特別行政区となりました。この返還に際しては「一国二制度」により、2047年まで中国の社会主義政策を香港で行わないことが約束されています。

 

返還後の香港では、一国二制度のもと高度な自治が行われてきました。しかし次第に中国政府による影響が強くなり、反発の動きがみられるようになります。返還から17年後の2014年7月1日には、2014年香港反中デモがありました。中国共産党による一党独裁に抗議するデモです。

 

同じ年には、2014年香港反政府デモも発生しています。これは香港特別行政区行政長官選挙の立候補者について、中国が中央政府の意に沿わない人物を排除する方針を定めたことへの抗議でした。警察による催涙スプレーの使用から身を守るために雨傘が使われたため、「雨傘運動」と呼ばれています。今回のデモの映像においても、雨傘を目にすることがあるでしょう。

香港のデモの原因、なぜそんなに大混乱しているの?

香港のデモの原因、なぜそんなに大混乱しているの?

2019年に香港で起こったデモの原因は、「2019年逃亡犯条例改正案」という法案が提出されたことです。逃亡犯条例というのは、海外で罪を犯したと思われる容疑者が香港にいる場合、協定を結ぶ国や地域への要請によって引き渡しを可能にするもの。今回提出された改正案では、容疑者の引き渡し先に中国大陸・マカオ・台湾(中華民国)が含まれています。また、容疑者の身柄を引き渡す際の手続きの簡略化も行われました。香港に住む人にとっては、特に中国大陸への引き渡しが懸念されているようです。

 逃亡犯条例

改正案が成立すると、香港行政長官は中国からの引き渡し要請を受け付けることになります。香港の人が中国で裁かれたとき、懸念されるのは香港の裁判権の独立性が損なわれることです。中国の人権問題として、表現や言論の自由の制限が指摘されています。

 

例えば、中国政府批判は取り締まりの対象。中国では政治犯を別の容疑で逮捕する例もみられるようです。拷問による自白強要などが行われているとの指摘もあり、香港の人々は改正案撤回を求めるデモを始めました。

 

改正案の提出が行われたのは、2019年2月13日。最初の反対運動は3月31日に起こっています。主催者発表で1万2,000人が参加しました。6月9日の三度目のデモでは、主催者発表で103万人と参加者が大きく増えています。その後のデモは警察との争いも激しくなり、負傷者が出るようになりました。9月2日には、デモ参加者を地下鉄の車両まで追いかけ催涙スプレーを噴射し、警棒で殴打することも行われたようです。この様子を撮影した動画は、ネットなどで確認することもできます。

対岸の火事では済まない、世界的な懸念

対岸の火事では済まない、世界的な懸念

2019年逃亡犯条例改正案については、海外からも懸念の声があります。香港に滞在する自国民が、この改正法によって中国に引き渡される可能性があるからです。

 

また世界が懸念しているのは、過去に中国で起こった天安門事件のような事態が発生することでしょう。これは1989年6月4日、中国北京市の天安門広場で起こった事件です。民主化を求めるデモ隊が集まっていたところに、中国の軍隊が武力を行使し多数の死傷者を出しました。香港でのデモに対する中国の対応が注目されています。

 

現在アメリカと中国の間では、相互に追加関税を実施するなど貿易戦争が続いている状態です。アメリカの元大統領・トランプ氏は8月18日に、「天安門事件のようなことが起きれば米中貿易協議のディール(取引)は非常に難しくなる」という発言をしました。中国からは8月20日に、「香港の抗議活動は外国勢力によるものだ」との批判も出ています。香港のデモをめぐり、米中の対立が深まる可能性も考えられるでしょう。

 

このように香港では、イギリスからの返還により、中国から受ける影響力への懸念が高まっています。それにより民主的な選挙や言論の自由を求めるデモとして表面化する一方、暴力による鎮圧も目立ち始めました。米中の貿易戦争も激化するなか、行方を見守ることになりそうです。

 

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このテーマに関する気になるポイント!

  1. 香港とはどのようなところか
    1839年から1842年のアヘン戦争を経て、香港はイギリスの植民地となりました。

  2. イギリスの植民地から中華人民共和国へ返還されたのは?
    1997年7月1日のことで、香港は中華人民共和国の特別行政区となりました。

  3. 香港のデモの原因は
    「2019年逃亡犯条例改正案」という法案が提出されたことです。

  4. 逃亡犯条例とは
    海外で罪を犯したと思われる容疑者が香港にいる場合、協定を結ぶ国や地域への要請によって引き渡しを可能にするものです。
  • 黒川ヤスヒトさん

    証券会社でリテール営業を経験し、AFP資格を取得。
    現在ライターとして、パーソナルファイナンスに関する情報の発信を手がけています。 関心分野は、ライフプランに関する意識調査や最新の金融商品・サービスなど。

    ブログページ Twitterアカウント:@igawasin5

黒川ヤスヒト
この記事を書いた人
ファイナンシャル・プランナー(AFP)
黒川ヤスヒト

※本著者は楽天カード株式会社の委託を受け、本コンテンツを作成しております。

証券会社でリテール営業を経験し、AFP資格を取得。現在ライターとして、パーソナルファイナンスに関する情報の発信を手がけています。 関心分野は、ライフプランに関する意識調査や最新の金融商品・サービスなど。

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