iDeCoはデメリットしかないって本当?特徴や注意点を理解して賢く活用しよう

リリース日:2024/04/18 更新日:2024/09/25

老後資金の準備のために活用される制度のひとつにiDeCo(個人型確定拠出年金)があります。将来、受け取る公的年金額に不安があるなどの理由で、すでに取り組んでいる方もいるでしょう。

しかし、iDeCoはデメリットしかないという評判を見聞きすることがあり、本当にデメリットしかないのか疑問に思う方もいるかもしれません。iDeCoには税制優遇措置があるなど、加入者にメリットがあるのも事実です。

ここでは、iDeCoとはどのような制度なのか、本当にデメリットしかないのか、特徴や注意点などを解説します。

  1. iDeCoとは?
  2. iDeCoの特徴
  3. iDeCoの注意点
  4. iDeCoがデメリットしかないって本当?
  5. iDeCoの特徴と注意点を理解して賢く活用しよう!

iDeCoとは?

iDeCoとは?

iDeCoとは、公的年金に上乗せして加入する私的年金のひとつです。掛金の拠出や運用商品の選択・運用自体も自分で行い、原則として60歳以降に老齢給付金として掛金と利益を受け取ります。

iDeCo加入対象者

iDeCoは、多くの国民に老後の資金形成に役立ててもらう目的があり、原則として65歳未満の国民年金被保険者すべての方が加入できます


詳しい加入対象者は以下のとおりです。

国民年金の被保険者区分 加入対象者
第1号 20歳以上60歳未満の自営業、個人事業主、学生など
第2号 会社員や公務員などの厚生年金被保険者
第3号 第2号被保険者に扶養されている20歳以上60歳未満の配偶者
任意加入 国民年金の任意加入者
  • 60歳以上65歳未満で、国民年金の保険料の納付済期間が480月に達していない方
  • 20歳以上65歳未満の海外居住者で、国民年金の保険料の納付済期間が480月に達していない方
 

なお、保険料払込の免除を受けている方など、加入できない場合もあります。

iDeCoの運用商品

iDeCoの運用商品には、元本確保商品と投資信託の2種類があります。

 

元本確保商品として定期預金や保険商品があり、元本割れリスクがなく安全かつ確実に運用可能です。

 

一方、投資信託には株式型(国内・国外)、債券型(国内・国外)、バランス型などがあり、運用次第で利益が得られるか元本割れになるかが決まります。

 

iDeCoは運用商品の特徴を理解し分散投資を行い、リスクを軽減していくことが大切です。

iDeCoの特徴

iDeCoの特徴

iDeCoには、掛金の拠出時や運用時、受取時において手厚い税制優遇措置が設けられており、老後資金を準備しながら節税効果も期待できる制度です。

 

iDeCoの特徴を詳しく確認していきましょう。

掛金は全額所得控除の対象になる

iDeCoの掛金は、全額が所得控除の対象になるため節税効果が期待できます。年末調整や確定申告の際に「小規模企業共済等掛金控除」を受けられるため、課税所得が減り、所得税や住民税の支払い負担が軽減されます。

 

例えば、毎月2万円ずつ拠出すると1年間の合計拠出額は24万円です。所得が400万円(所得税率20%、住民税率10%)の方の場合、本来であれば所得税が年間80万円、住民税が年間40万円かかります。iDeCoによって400万円のうち24万円が控除されると、課税所得は376万円となり、所得税は年間75万2,000円、住民税は年間37万6,000円に減り、年間合計7万2,000円を節税できます。(※給与所得控除や基礎控除について考慮しない場合)

運用益は非課税で再投資される

通常、金融商品を運用したときに得た利益には20.315%の税金がかかりますが、iDeCoで得た利益には課税されません

 

本来税金として差し引かれた分が再投資されるため、利益が利益を生むという複利効果が期待できます。

「公的年金等控除」や「退職所得控除」を受けられる

iDeCoを受取方法には以下の3つがあり、それぞれの受取方法で税制優遇措置が設けられています。

 

  • 年金として受け取る
  • まとめて一時金として受け取る
  • 年金と一時金を併用して受け取る

年金として受け取る場合は公的年金などとあわせて「公的年金等控除」を受けられ、一時金として受け取る場合は「退職所得控除」を受けられます。

 

年金と一時金を併用する場合は、一時金を受け取った際には「退職所得控除」を、年金として受け取る際には「公的年金等控除」の適用が可能です。




iDeCoの注意点

iDeCoの注意点

iDeCoには、運用を始める前に知っておきたい注意点があります。

原則として60歳まで資産を引き出せない

iDeCoに預けた資産は原則として60歳になるまで引き出しできません。iDeCoは老後資金の準備を目的とした制度のためです。

 

iDeCoはよくNISAと比較されることがありますが、NISAはいつでも引き出せるため、iDeCoの方が規制は厳しいといえます。

 

例外的に60歳を迎える前にiDeCoを引き出せるのは、次の3つのケースです。

 

  • 加入者が死亡し「死亡一時金」を受け取った場合
  • 加入者が高度障害状態になり「障害給付金」を受け取った場合
  • 一定の条件を満たし「脱退一時金」を受け取った場合

なお、掛金の拠出が難しいときは、掛金の減額や支払い停止も可能です。

掛金には上限がある

iDeCoでは、加入者によって拠出できる掛金の上限が決められています。詳しくは下表をご覧ください。

加入者 拠出限度額(月額)
自営業、個人事業主など 6万8,000円(※1)
会社員・公務員など 会社に企業年金がない 2万3,000円
企業型DC(※2)のみに加入している 2万円
DB(※3)と企業型DCに加入している 1万2,000円
DBのみに加入している 1万2,000円
公務員 1万2,000円
専業主婦(主夫) 2万3,000円
※1:国民年金基金または国民年金付加保険料との合算
※2:企業型DCとは企業型確定拠出年金のこと
※3:DBとは確定給付企業年金、厚生年金基金、私立学校教職員共済などのこと
 

自営業や個人事業主などの国民年金第1号被保険者は毎月6万8,000円まで拠出可能ですが、会社員は企業年金の状況によって1万2,000~2万3,000円となっています。公務員は1万2,000円まで、専業主婦(主夫)は2万3,000円まで拠出できます。

元本割れリスクがある

iDeCoは投資商品のため、元本割れリスクがあります。元本割れリスクとは、金融商品の価格が変動して購入代金を下回る可能性のことです。

 

投資商品は運用実績によっては高い収益が期待される一方で、元本割れするリスクへの理解も大切です。

手数料を支払う必要がある

iDeCoで資産形成をしていくうえでは毎月手数料を支払う必要があり、拠出額が少ない場合、十分な資産形成ができない可能性もあります。

 

iDeCoに必要な手数料として、まず加入時に国民年金基金連合会に2,829円を支払います。この費用は、どの金融機関を選んでも同じ金額です。

 

毎月支払う手数料には、国民年金基金連合会に105円、信託銀行に66円、証券会社に運営管理手数料として決められた手数料を支払います。なお、楽天証券では運営管理手数料は無料です。

iDeCoがデメリットしかないって本当?

iDeCoがデメリットしかないって本当?

「iDeCoにはデメリットしかない」という情報は、これからiDeCoを始める方にとっては不安になるかと思いますが、すべての方にデメリットになるわけではありません。

 

以下に、デメリットになるケースを紹介します。

iDeCoはデメリットしかないと感じる可能性のある方

iDeCoはデメリットしかないと感じる可能性があるのは、以下の方と考えられます。

十分な預貯金がない方

十分な預貯金がない方は、毎月の掛金の拠出が難しくなる可能性があります。無理をして支払った結果、家計が赤字になることも考えられるでしょう。

 

また、これから住宅の購入など高額な出費を予定している場合は、iDeCoよりも預貯金を優先させると良いでしょう。

収入がない、または少ない方

収入がない、または少ない方は、掛金の拠出だけでなく、毎月かかる手数料の支払いも難しくなる可能性があります。その場合、預貯金を取り崩してしまい、いざというときの出費に対応できないことも考えられます。

 

また、収入が少ないと所得税などの納税額が少額なため、iDeCoの税制優遇を十分に受けられない可能性もあるでしょう。

加入期間が短い方

iDeCoは長期間資産を運用しリスクの軽減を図りながら、複利運用の効果で資産形成をしていくものです。そのため、加入期間が短いと複利運用効果を十分に得られず、思うように資産を増やせない可能性があります。

 

また、60歳から年金資産を受け取るには60歳までに10年間の加入期間が必要です。年数が不足する場合には受給開始年齢が段階的に遅くなります。

iDeCoが向いている人は?

上記の内容を踏まえて、iDeCoが向いている方を確認していきましょう。

20代・30代などの若年層の方

iDeCoは長期間投資によって資産を形成していくため、加入期間は長いほど有利です。そのため、20代や30代などの若いうちからの加入が推奨されています。

 

加入期間が長ければ少額からの積み立ても有効で、期間が長いほど複利運用効果や税制優遇措置のメリットも大きくなります。

所得が多い方

所得が高額な方ほど納税額も高額になるため、iDeCoの税制優遇措置を十分に生かせるでしょう。

自営業や個人事業主の方

自営業や個人事業主の方などは、会社員や公務員とは異なり退職金がありません。その分を自分で準備する際の方法として、iDeCoも選択肢のひとつとなります。

iDeCoのリスクを減らす方法

iDeCoでのリスク、特に元本割れリスクを減らすためには、定期預金や保険商品などの「元本確保型」の金融商品を選ぶ方法があります。

 

しかし、元本確保型の商品は利益を大きく増やすには不向きのため、iDeCoに加入するメリットは得にくいです。

 

リスクを抑えながら資産形成をするためには、元本確保型と投資信託(価格変動型)の金融商品の特徴を理解し、上手に組み合わせた運用がポイントです。

iDeCoの特徴と注意点を理解して賢く活用しよう!

iDeCoの特徴と注意点を理解して賢く活用しよう!

iDeCoを始める際には、特徴や注意点の理解が大切です。iDeCoにはデメリットしかないといわれることもありますが、税制優遇など加入者にメリットのある制度です。

 

しかし、一部の方はデメリットに感じることもあるため、ご自身の状況と照らし合わせて加入を検討しましょう。

 

iDeCoは投資商品のため運用次第で大きな利益を得られる可能性がある一方、元本割れを起こす可能性もあります。デメリットもしっかりと理解したうえで上手に活用しましょう。

なお、楽天証券でもiDeCoを取り扱っています。投資商品は、初心者でも安心な低コストかつiDeCoに適した商品を厳選。定期預金も選択できるため、元本確保型にも対応しています。運営手数料は誰でもずっと無料のため、余計なコストをかけずに運用できます。


※この記事は2024年3時点の情報をもとに作成しております。

このテーマに関する気になるポイント!

  • iDeCoってなに?

    iDeCoとは私的年金のひとつで、掛金の拠出や運用商品の選択・運用自体も自分で行い、原則として60歳以降に老齢給付金として受け取れるものです。

  • iDeCoに加入できる人は?

    原則として65歳未満の国民年金被保険者のすべての方が加入できます。

  • iDeCoにはどんな特徴があるの?

    掛金の拠出時や運用時、受取時に税制優遇を受けられるため、老後資金を準備しながら節税効果も期待できます。

  • iDeCoの注意点は?

    原則60歳まで資産を引き出せないことや、掛金に上限があること、元本割れリスクがあることなどがあります。

  • iDeCoはデメリットしかないって本当?

    iDeCoにはメリットもあるため、デメリットのみではありません。ただし、収入のない(少ない)人や預貯金のない人などはデメリットに感じる可能性があります。

本コンテンツは情報の提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘する目的で、作成したものではありません。銘柄の選択、売買価格等の投資の最終決定は、お客様ご自身でご判断いただきますようお願いいたします。なお、本コンテンツは、弊社が信頼する著者が作成したものですが、情報の確実性を保証したものではありません。本コンテンツの記載内容に関するご質問等には一切お答えいたしかねます。また、本コンテンツの記載内容は、予告なしに変更することがあります。あらかじめご了承ください。




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木内菜穂子
この記事を書いた人
木内菜穂子

※本著者は楽天カード株式会社の委託を受け、本コンテンツを作成しております。

金融機関や税理士事務所勤務での知識を生かし、FP1級、AFP、日商簿記2級などの資格を取得しました。現在は、金融・保険をメインとしたライターとして執筆活動をしています。お金に関する情報をわかりやすくお伝えできるよう日々努めています。

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