売掛金とは?具体的な仕訳例を用いて簡単に解説

リリース日:2026/04/22 更新日:2026/04/22
矢野翔一
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矢野翔一

※本著者は楽天カード株式会社の委託を受け、本コンテンツを作成しております。

関西学院大学法学部法律学科卒業。有限会社アローフィールド代表取締役社長。保有資格:2級ファイナンシャルプランニング技能士(AFP)、宅地建物取引士、管理業務主任者。

不動産賃貸業、学習塾経営に携わりながら自身の経験・知識を活かし金融関係、不動産全般(不動産売買・不動産投資)などの記事執筆や監修に携わる。

商品やサービスを販売し、代金を後から受け取る権利を売掛金といいます。経理業務では頻繁に扱う勘定科目ですが、適切に管理しなければ資金繰りの悪化や未回収トラブルにつながる可能性があります。

ここでは、売掛金の基本的な意味や仕組み、具体的な仕訳例、未回収を防ぐための対策を解説します。用語の違いや管理のポイントなどを正しく理解し、安定した経営に役立てていきましょう。

この記事でわかること!
  • 売掛金の仕組みとほかの勘定科目との違い
  • 売上発生から回収・返品時の仕訳手順
  • 未回収を防ぐ与信管理と効果的な対策
  • 法人カード活用による資金繰り改善術

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  1. 売掛金とは?
  2. 売掛金の仕訳の具体例
  3. 回収できなかった場合のリスクと効果的な対策
  4. 売掛金を活用した資金繰り改善
  5. まとめ

売掛金とは?

売掛金とは、企業間の取り引きにおいて、商品やサービスを販売した際、後で代金を受け取る権利(債権)のことです。

 

一般的に、ツケや掛け売りと呼ばれる取引形態で発生する勘定科目であり、貸借対照表(B/S)では資産の部の流動資産に分類されます。現金商売とは異なり、売上と現金の動きにタイムラグが生じるため、正しく理解しておくことが経営の安定には欠かせません。

 

会計上のルールでは、原則として1年以内に現金化されるものが流動資産として扱われます。売掛金はこの筆頭格であり、銀行融資の審査においても回収可能な資産かどうかを厳しくチェックされる項目でもあります。

身近な例で知る売掛金の意味とほかの言葉との違い

売掛金を身近なもので例えると、飲食店でのツケ払いや、クレジットカードでお買い物をした場合に、お店側が持つ代金をカード会社から受け取る権利に近いイメージです。

 

実務では似たような言葉が多く存在するため、混同する可能性があります。ここでは主な違いを確認しましょう。

買掛金(かいかけきん)

売掛金の対義語で、商品やサービスを購入して、後で代金を支払う義務(債務)です。「売掛金は受け取る権利」「買掛金は支払う義務」と覚えるとわかりやすいでしょう。

未収入金(みしゅうにゅうきん)

後でお金が入ってくる権利という点では売掛金と同じですが、発生源が異なります。売掛金は本業の営業取引(商品の販売など)から生じるのに対し、未収入金は本業以外(備品の売却や不動産の譲渡など)から生じた債権に使われるのが一般的です。

前受金(まえうけきん)

商品を渡す前に代金を受け取ることを指します。売掛金とは逆で、商品を引き渡す義務を負う負債となります。手付金などが該当します。

売上債権(うりあげさいけん)

売掛金と受取手形の総称です。どちらも本業の営業活動から生じた、代金を請求する権利を指します。

売掛金が生じる仕組みと簡単な取り引きの流れ

売掛金が生じる場合の取り引きの流れ

日本の企業間取引では、取り引きごとに現金をやり取りするのではなく、1カ月分をまとめて請求と支払う信用取引(掛け取引)が広く行われています。これは、都度決済の手間や振込手数料を削減する合理的な方法とされています。

 

一般的な取り引きの流れは以下のとおりです。

1. 受注・契約

取引先から注文を受けます。

2. 納品・役務提供

商品やサービスを提供します。この時点で売上が発生し、同時に売掛金が計上されます。

3. 請求

締め日までの取り引きをまとめ、請求書を発行します。

4. 入金・消込

支払期日に代金が振り込まれ、売掛金が消滅(回収完了)します。

 

この2~4の期間は、手元に現金はないものの、帳簿上は売上が立っているという状態です。この期間が長くなればなるほど、企業の手元資金は減少していくため注意が必要です。

売掛金管理の重要性と会計処理の基本

売掛金管理とは、発生した売掛金が期日どおりに入金されているかをチェックし、未回収を防ぐための業務です。

 

売掛金はあくまで代金を受け取る権利であり、現金そのものではありません。そのため、帳簿上どれだけ黒字になっていても、売掛金が回収できなければ手元の資金が不足し、最悪の場合は黒字倒産してしまう可能性があります。これを防ぐには、売上だけではなくキャッシュフロー(現金の流れ)を常に意識することが重要です。

 

会計処理では、発生主義という原則に基づいて、現金を受け取ったタイミングではなく、商品を引き渡して売上が実現したタイミングで記帳するのが基本です。

 

また、決算時には回収できないリスクに備えて貸倒引当金(かしだおれひきあてきん)を見積計上することも、会計上の重要なルールのひとつです。これは「将来の損失をあらかじめ費用として計上しておく」処理であり、企業の財務健全性を正しく表示するために行われます。

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売掛金の仕訳の具体例

売掛金の仕訳とは、取り引きの発生から回収までの流れを簿記のルールに従って記録することです。

 

ここでは、基本的な売上発生時と代金の回収時、そして返品および貸倒れがあった場合の4つのパターンについて解説します。

売上が発生した場合の仕訳

商品を掛けで販売し、商品を引き渡したタイミングで行う仕訳です。

例:商品を10万円で販売して、代金は掛けとした

借方 金額 貸方 金額
売掛金 10万円 売上 10万円
 

この時点で現金は増えていませんが、会計のルール(発生主義)に従い、商品が売れたという事実に基づいて売上を計上します。同時に、将来お金を受け取る権利である「売掛金」を資産として記録します。

代金を回収した場合の仕訳

後日、指定の口座に代金が振り込まれたタイミングで行う仕訳です。

例:売掛金10万円が普通預金に振り込まれた

借方 金額 貸方 金額
普通預金 10万円 売掛金 10万円
 

この取り引きでは、将来お金を受け取る権利であった「売掛金」が実際に入金されたため、その権利は消滅します。つまり、資産である売掛金を帳簿上から減らします。代わりに普通預金という形で現金が増えるので、その増加分を記録します。

 

このように、売掛金が回収されて帳簿から消えることを「消込(けしこみ)」と呼びます。

 

振込手数料が差し引かれて入金された場合、支払手数料として処理するのが一般的です。

返品が発生した場合の仕訳

販売した商品が返品された場合、売上と売掛金を取り消す処理(逆仕訳)を行います。

例:掛けで販売した商品のうち、10万円分が返品された

借方 金額 貸方 金額
売上 10万円 売掛金 10万円
 

これにより、過剰な売上計上を防ぎ、請求額を正しい金額に修正します。

貸倒れ(未回収)が発生した場合の仕訳

残念ながら相手先が倒産し、売掛金が回収不能となった場合の仕訳です。

例:売掛金10万円が貸倒れとなった※引当金は設定していない場合

借方 金額 貸方 金額
貸倒損失 10万円 売掛金 10万円
 

資産としての価値がなくなったため売掛金を減らし、同額を貸倒損失(費用)として計上します。これは、経営にとって大きな痛手となります。

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回収できなかった場合のリスクと効果的な対策

売掛金の最大のリスクは、取引先の倒産や資金不足によって代金が支払われない貸倒れ(未回収)が発生することです。

 

ここでは、未回収が経営に与える影響や主な原因、トラブルを防ぐための対策などを解説します。

回収できない売掛金が与える影響と主な原因

売掛金が回収できないと、自社の資金繰りに直接的な打撃を与えます。本来入ってくるはずの現金が入らないため、自社の仕入代金や給与の支払いが滞る恐れがあります。

 

さらに、貸倒れを損失として処理することで利益が減少し、金融機関からの評価が下がる可能性もあるでしょう。

 

未回収が発生する主な原因としては、以下があげられます。

売掛金の未回収が発生する主な原因
  • 取引先の経営悪化:倒産や資金繰りの悪化により支払い能力がなくなる。
  • 請求漏れやミス:自社の請求書発行忘れや、金額の間違い。
  • 入金確認の遅れ:未入金に気づくのが遅れ、催促のタイミングを逃す。

特に中小企業や個人事業主の場合は、大口取引先1件の未回収が連鎖倒産を招くケースも少なくありません。

未回収を防ぐ予防策とトラブル時の対処法

未回収リスクを最小限に抑えるためには、事前の対策が重要です。

1. 与信管理の徹底と限度額の設定

取引開始前に相手企業の信用情報を調査することはもちろん、「この会社には月額50万円まで」といった与信限度額を設定することが重要です。限度額を超える注文が来た場合は、一部を前入金にしてもらうなどの交渉が必要です。

2. 契約書の締結

口約束ではなく、支払条件や遅延時の遅延損害金、契約解除の条件などを明記した契約書を交わすことが原則です。

3. 売掛金年齢表(エイジングリスト)の作成

「どの売掛金が」「いつ発生し」「いつ入金予定か」を一覧化し、支払期限が過ぎているものを早期に発見できる体制を整えます。

 

万が一、未回収が発生した場合は、まずは電話やメールで事実確認を行います。それでも支払われない場合は、内容証明郵便による督促や法的手段(支払督促、少額訴訟など)を検討する必要があります。対応が遅れるほど回収率は下がる傾向にあるため、迅速な初動がカギとなります。

売掛金を活用した資金繰り改善

売掛金は将来現金が入ってくる権利ですが、入金までの期間(サイト)が長いほど手元の資金は乏しくなります。

 

売上は好調なのに現金がないといった状態を避けるためには、売掛金の管理に加えて、支払いのタイミング(キャッシュアウト)を調整することも有効な手段のひとつです。

支払いサイトを調整してキャッシュフローを整える

資金繰りを安定させる基本は、入金を早く、支払いを遅くすることです。売掛金の回収を早める交渉は相手がいるので容易ではありませんが、自社の支払いの後ろ倒しは、比較的取り組みやすい対策といえます。

法人カード利用で経理業務の効率化と管理コスト削減

経理業務の効率化と管理コスト削減

法人カードの導入は、経理業務の効率化につながります。

1. 振込手数料の削減

件数ごとの振込手数料がかからなくなるため、年間で大きなコスト削減につながる可能性があります。

2. ポイント還元によるメリット

利用額に応じてポイントやマイルが貯まり、実質的な経費削減効果が期待できます。

3. 明細の自動化

利用明細がデータ化されるため、経費精算の手間が省け、入力ミスも防ぐことができます。

 

売掛金管理という守りを固めながら、法人カードのようなツールを活用して、資金と業務の効率化という攻めの体制を整えることが健全な経営への近道となるでしょう。

まとめ

売掛金とは、商品販売後に代金を受け取る権利で、企業間取引に欠かせない仕組みです。しかし、そこには常に未回収のリスクや資金繰りの圧迫といった課題が潜んでいます。

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正しい仕訳や管理方法を理解することは重要です。

 

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このテーマに関する気になるポイント!

  • 売掛金の回転期間が長いと、どのような影響がありますか?

    売掛金の回転期間が長いとは、売掛金が現金化されるまでの期間が長いことをいいます。これにより、手元の資金が不足しやすくなり、資金繰りの悪化を招く可能性があります。経営の安定のためには、回転期間を短縮する努力が重要です。

  • 手形割引とは、売掛金とどのように関連するのですか?

    手形割引は、将来受け取る権利のある受取手形を、期日前に金融機関に買い取ってもらうことで現金化する取り引きです。売掛金と受取手形はどちらも売上債権の一部であり、手形割引は受取手形を早期に現金化する手段として、資金調達の一種となります。

  • 売掛金のファクタリングとはどのようなサービスですか?

    ファクタリングとは、企業が保有する売掛金をファクタリング会社に買い取ってもらうことで、期日前に現金化できるサービスです。売掛金が早期に回収できるため、資金繰りの改善や貸倒れリスクの回避に役立ちます。

  • 債権譲渡登記は売掛金管理においてどのような役割を果たしますか?

    債権譲渡登記は、企業が売掛金を第三者に譲渡したことを法的に公示する制度です。これにより、売掛金の二重譲渡を防ぎ、譲受人(売掛金を買い取った側)の権利を保護します。特にファクタリングなどの取り引きで利用されることがあります。




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