新卒の初任給について。手取りの平均額・年収・税金控除額ほか

リリース日:2025/05/02 更新日:2025/05/02
松尾隆弘
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ファイナンシャルプランナー(2級FP技能士)
松尾隆弘

※本著者は楽天カード株式会社の委託を受け、本コンテンツを作成しております。

ブライダル業界、ホテル業界、小売業界で30年に渡り人事労務管理業務に従事。社内FPとして、従業員を対象に退職後の資産形成や保険の見直し、教育資金などのアドバイスなどに携わる。2022年にライターへ転向し、現在はHR領域と金融分野を中心に執筆活動中。

新卒で入社して初任給を受け取った際、思ったよりも手取りが少ないと感じた人もいるのではないでしょうか。給与からはさまざまな項目が控除され、手元に残る金額は額面よりも減ります。一方で、何が引かれるのかを正確に理解している人は意外と多くないでしょう。

給与から差し引かれる項目を理解し、手元に残る金額を把握すれば、生活設計がしやすくなります。ここでは給与から控除される項目や金額、平均的な手取り額、さらには収入アップのための具体的な方法について詳しく解説します。

手取り額を増やすための具体的な方法も紹介するので、ぜひ参考にしてください。

  1. 手取りでもらえる金額とは?
  2. 新卒入社時の手取りでもらえる平均額は?
  3. 業種別の平均額
  4. 新卒入社の平均年収は?
  5. 新卒社員が給与から引かれる控除
  6. 手取り額を上げるには?
  7. 新卒1年間の手取り額でどのくらい貯金ができる?
  8. 手取り額を把握して計画的に貯蓄しよう

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手取りでもらえる金額とは?

給料袋と電卓

給与明細に記載される金額と実際に受け取る金額には差があります。内定時に提示された額面金額から、各種税金や保険料などが引かれるため、実際の手取りは少なくなります

 

まずは、給与の仕組みを理解しましょう。

総支給額

総支給額は、基本給に諸手当を合計した金額です。基本給は毎月固定で支給される給与の中心となる部分で、会社によって異なります。諸手当は、法律で定められている時間外手当や休日手当と、会社が任意で支払う通勤手当や住宅手当、家族手当などに分かれています。

 

例えば、基本給が18万5,000円で各種手当の合計が1万5,000円の場合、総支給額は20万円。諸手当は就業規則で支給条件が決まっているため、全員が同じ金額とは限りません。

控除額

控除額とは、総支給額から差し引かれる金額です。主な控除項目には、以下があります。

 

  • 健康保険料:医療費負担を軽減するための保険料
  • 厚生年金保険料:将来の年金受給のための掛け金
  • 雇用保険料:失業時の給付金などを賄うための保険料
  • 所得税:収入に応じて課される国税
  • 住民税:前年の所得に基づき課される地方税

新卒1年目は前年度の所得がないため住民税は引かれず、2年目から課税されます。ただし、アルバイトの収入がおよそ100万円を超えていた場合は、1年目でも住民税が引かれる場合があるため注意が必要です。

 

控除額は給与額や扶養家族の有無などにより算出方法が異なるため、個々の状況によって変動します。

手取り額

手取り額とは、総支給額からすべての控除を差し引いた後に実際に受け取れる金額です。給与明細には「差引支給額」と記載されることもあります

 

手取り額が自分の自由に使えるお金であるため、しっかりと把握しておきましょう。

新卒入社時の手取りでもらえる平均額は?

通帳とガッツポーズする人

新卒社員が実際に受け取れる手取り額は、総支給額から税金や保険料などの各種控除を差し引いた金額です。初任給は所得税と雇用保険料のみが控除されるため、総支給額の97%程度が手取り額となります。

 

2カ月目からは健康保険料や厚生年金保険料も引かれるため、総支給額の75〜85%程度が手取り額となるのが一般的です

学歴別の平均額

新卒の初任給は、学歴によって大きく異なります。一般的に初任給が高い順に、大学院卒、大学卒、専門学校卒、短大・高専卒、高校卒という傾向があります。これら5つの学歴ごとに初任給の平均額を見ていきましょう。

学歴 初任給(平均)
大学院卒 27万6,000円
大学卒 23万7,300円
専門学校卒 21万4,600円
短大・高専卒 21万4,500円
高校卒 18万6,800円
 

大学院卒

大学院卒は、専門的な研究を行うなどで知識を持っているため、大学卒よりも初任給が約4万円高くなっています。研究職などの専門職になる人が多い傾向です

 

総支給額の85%を手取り額と仮定すると、約23万5,000円となります。

大学卒

大学卒は、新卒採用市場において一般的な学歴であり、企業の採用活動の中心となっています。したがって、大学卒の給与水準は、新卒市場全体の平均的な水準を反映しているといえるでしょう

 

総支給額の85%を手取り額と仮定すると、約20万3,000円です。

専門学校卒

専門学校卒は、特定の分野に特化した専門知識や技能を習得しているため、即戦力として期待されるといえるでしょう。就職先が特定の分野に絞られており、選択肢が多い大学卒よりも平均初任給は低めです

 

総支給額の85%を手取り額と仮定すると、約18万3,000円です。

短大・高専卒

短大・高専卒は、大学卒に比べると専門性は限定的ながらも、実践的なスキルを身につけている点が評価されます。初任給は、専門学校卒と同等に扱われる場合が多いでしょう

 

総支給額の85%を手取り額と仮定すると、約18万3,000円です。

高校卒

高校卒は、大学院卒や大学卒と比較すると、就職時に求められるスキルや知識が少ないと考えられるため、初任給は低く設定されているのが一般的です

 

総支給額の85%を手取り額と仮定すると、約15万9,000円です。




業種別の平均額

新卒社員の手取り額は、業種によって大きく異なります。代表的な9つの職種に分けて、それぞれの平均的な初任給と手取り額を見ていきましょう。

職種 初任給(平均額)
公務員(国家公務員:総合職) 約23万6,000円
製造業 21万5,000円
建設業 22万5.000円
不動産業 22万4,900円
医療・福祉 20万2,900円
小売・卸売 21万3,000円
教育 21万5,000円
宿泊・飲食サービス業 20万6,200円

※大学卒者の初任給を参照。

 

公務員

公務員は給与が地域手当や扶養手当などで構成されるため、勤務地や家族構成によって差が出ることがあります

 

手取り額は85%と仮定すると、約20万円です。

製造業

製造業界の中でも、交代勤務制を採用している企業では夜勤手当などが加算されるため、実際の手取り額が増えるケースがあります

 

総支給額の85%を手取り額と仮定すると、約18万3,000円です。

建設業

建設業界では資格が必要な場合も多いです。したがって、一級建築士などの資格を取得すると、各種手当が加算され、平均よりも支給額が多くなるケースがあります。

 

総支給額の85%を手取り額と仮定すると、約19万2,000円です。

不動産業

不動産業界は、特に営業職の場合、基本給に加えて歩合制が導入されていることが多く、手当によって支給額が高くなる可能性があります

 

総支給額の85%を手取り額と仮定すると、約19万2,000円です。

医療・福祉

医療・福祉業界では、看護師や介護士などの専門資格を持つ人材に対する需要が高く、資格手当や夜勤手当などで給与が上乗せされることがあります

 

総支給額の85%を手取り額と仮定すると、約17万3,000円です。

小売・卸売

小売・卸売業界では、店舗勤務の場合シフト制の勤務になることが多く、深夜勤務や休日出勤手当などが支給される可能性があります

 

総支給額の85%を手取り額と仮定すると、約18万1,000円です。

教育

教育業界では、教員の場合、公立学校の教員は公務員である一方、私立学校の教員は民間所属のため、勤務する学校によって給与水準が異なります。

 

総支給額の85%を手取り額と仮定すると、約18万3,000円です。

宿泊・飲食サービス業

宿泊・飲食サービス業は、深夜勤務や休日出勤が多いところもあり、割増賃金が支給される場合があります

 

総支給額の85%を手取り額と仮定すると、約17万6,000円です。

新卒入社の平均年収は?

スーツを着た男女

厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査」によると、大卒者の新卒の平均月収は23万7,300円です。ボーナスを2カ月分とすれば、平均年収は約332万3,000円となります。しかし、この数字はあくまで平均値であり、業種、企業規模、また地域によって平均年収は大きく変動します

 

また、大企業と中小企業でも差があり、大企業のほうが年収は高くなるのが一般的です。さらに、地域によっても異なり、都市部のほうが地方よりも賃金が高くなる傾向にあります。理由としては都市部の場合、人口密度が高いため商品が売れやすかったり、物価や地価が高く生活費への支出が多くなったりするためと考えられます。

新卒社員が給与から引かれる控除

新卒社員が給与から引かれる控除

新卒社員の給与から引かれる控除は、所得税や社会保険料などが主な項目です。これらの控除額は、総支給額に基づいて計算され、給与から引かれます。

 

ここからは、新卒1年目に給与から引かれる控除項目とその金額について詳しく見ていきます。

健康保険料

健康保険料は、病気やケガをした際に医療費を軽減するための社会保険料です。保険料は、標準報酬月額に健康保険料率をかけて計算されます。標準報酬月額とは、給与や手当などの月額報酬を一定の区分に当てはめた金額で、社会保険料を計算する基準となるものです。なお、健康保険料率は地域や加入する健康保険組合によって異なります。

 

例えば、東京の会社に勤務する新卒者で、給与が20万円の場合、「標準月額195,000円~210,000円」の範囲に当てはまり、標準報酬月額は20万円です。したがって健康保険料は「20万円×9.98%=1万9,960円」となります。

 

ただし、健康保険料は会社が半額を負担する仕組みのため、個人の負担は9,980円です。

厚生年金保険料

厚生年金保険料は、老後の生活資金を確保するために支払う社会保険料です。標準報酬月額に厚生年金保険料率の18.3%をかけて計算されます。給与が20万円の場合は「20万円×18.3%=3万6,600円」となります。

 

健康保険同様、会社が半額を負担するため、個人負担は1万8,300円です。

雇用保険料

雇用保険料は、失業した際に給付金を受け取るための保険料です。一般的な会社では給与の0.6%で計算されます

 

給与が20万円の場合は「20万円×0.6%=1,200円」となります。また「農林水産・清酒製造の事業」や「建設の事業」に該当する場合は、給与の0.7%で計算されます。

所得税

所得税は、1月1日から12月31日までの1年間の所得に対してかかる税金です。年収(年間の総支給額の合計)から社会保険料などを差し引いた後の金額に対して課税されます

 

所得税は7段階で税率と控除額が決まっており、概算で計算されます。概算で少し多めに引かれるため、年末調整で払い過ぎた分が戻ってくる場合が多いです。

 

給与が20万円の場合は約3,000〜5,000円が所得税として差し引かれる計算になります。

住民税

住民税は住んでいる自治体に納める税金で、前年の所得に基づいて計算されます。ただし、新卒社員の場合、多くは前年の所得がないため入社1年目には住民税が課されません

 

住民税の支払いは2年目の6月から始まります。6月からの理由は、前年の所得が5月頃に確定するためです。

手取り額を上げるには?

手取り額を上げる方法

新卒社員が手取り額を増やすためには、スキルアップやキャリアの選択が重要です。次に、特に効果的な2つの方法を解説します。

資格を取得する

会社によって、業務に関する資格を取得した社員に対して「資格手当」を支給していることがあります。こういった会社では資格の取得が手取り額を上げるための有効な手段となります

 

特に建設業やその他の専門的な職種では資格が重視されており、一級建築士などの資格を持つことで収入アップが期待できます。また資格取得は昇進や昇給の条件となる場合も多く、キャリアアップにつながります。

 

ご自身の務める会社に資格手当があるか、事前に確認しておくと良いでしょう。

転職する

転職も、手取り額を増やす効果的な方法です。特に現在の職場で昇給やキャリアアップが見込めない場合、転職によってより良い条件を得られる可能性があります。

 

転職時には、これまでの経験やスキルが評価されるため、前職よりも高い給与水準で採用されるケースが多いです

 

また、大企業や給与水準の高い地域への転職も収入アップにつながる可能性があります。都市部では地方よりも平均給与が高く設定されているのが一般的です。

新卒1年間の手取り額でどのくらい貯金ができる?

貯金箱にお金を入れる人

新卒社員が1年間で貯金できる額は、手取り額や生活スタイル、支出の管理方法によって大きく異なります。ここからは、貯金を増やすための具体的な方法と、毎月貯金する金額の目安を見ていきましょう。

貯金方法

貯金方法のひとつとして、「先取り貯金」が効果的です。これは、給与が振り込まれると同時に、あらかじめ決めた一定額を貯金口座に移すことで、計画的に貯蓄を実現する方法です。銀行の自動積立サービスを利用すれば、貯金を意識することなく貯まっていくでしょう。また、財形貯蓄制度を利用する方法もあります。

 

財形貯蓄は、会社が給与から天引きで貯金してくれる制度で、一般的に金利が優遇される点がメリットです。ただし、会社によってはこの制度が導入されていない場合もあるため確認してみましょう。

毎月貯金する金額

毎月どれくらいの金額を貯金するかについては、収入や生活費、将来の目標などを考慮して決める必要があります。無理のない範囲で、毎月一定額を貯金していくことが大切です。実家住まいと一人暮らしでは貯金可能な金額は異なりますが、目安としては手取りの1割を貯金するのが望ましいでしょう

 

新卒のうちは収入が少ないため、高額な貯金を目標にせず、少しずつ継続して貯金していく習慣を身につけることが大切です。

手取り額を把握して計画的に貯蓄しよう

笑顔でお財布を持つ男性

手取り額を正確に把握することは、計画的な貯蓄の第一歩です。手取り額は総支給額から税金や保険料などの控除を差し引いた後の、実際に受け取れる金額です。新卒1年目は住民税が引かれないため、比較的手取り額が多くなる傾向があります。少しでも手取り額が多いうちに貯蓄の習慣を身につけると良いでしょう

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※この記事は2025年3月時点の情報をもとに作成しております。

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このテーマに関する気になるポイント!

  • 給与からは何が引かれるの?

    給与からは税金や社会保険料が引かれます。収入に応じて金額が決まるため、給与が増えれば引かれる額も多くなるのが一般的です。

  • 総支給額のどれくらいが手取りになる?

    給料の額によって控除される金額が異なるため、個人によって違います。おおよそ、総支給額の75%〜85%が手取りとして残ると考えておくと良いでしょう。

    ただし、2年目からは住民税が引かれるため、手取りが少なくなるため注意が必要です。

  • 大学卒の初任給は?

    総支給額の平均が23万7,300円、そのうち85%を手取り額と考えると約20万3,000円です。

  • 貯金するにはどうしたら良い?

    「先取り貯金」がおすすめです。給与が振り込まれると自動的に一部を貯金に回すため、自然に貯まっていきます。金額の目安は、手取り額の1割程度が良いでしょう。




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