利上げとは?株価や為替、住宅ローンへの影響をわかりやすく解説!

リリース日:2025/05/07 更新日:2025/05/07
木内菜穂子
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木内菜穂子

※本著者は楽天カード株式会社の委託を受け、本コンテンツを作成しております。

金融機関や税理士事務所勤務での知識を生かし、FP1級、AFP、日商簿記2級などの資格を取得しました。現在は、金融・保険をメインとしたライターとして執筆活動をしています。お金に関する情報をわかりやすくお伝えできるよう日々努めています。

日本では、2016年よりマイナス金利政策が実施されてきましたが、2024年3月には約17年ぶりに日本銀行(以下、日銀)による利上げが実施されました。今後も状況に応じて金利が変動する可能性があるでしょう。

ここでは、金利が上がると私たちの生活にどのような影響があるのか、インフレやデフレとの関係も交えながら、利上げの仕組みを解説していきます。

  1. 利上げとは?
  2. 利上げが与える影響
  3. 日本とアメリカの金利状況
  4. 利上げによる物価高の影響を抑えるには?
  5. 利上げを理解して上手に資産形成しましょう

利上げとは?

利上げと書かれたブロックが置かれたデスク

利上げとは、各国の中央銀行が、金融政策の手段として政策金利の水準を引き上げることです。日本の中央銀行である日銀は、景気の動向を総合的に判断しながら利上げなどの金利政策を行っています。

 

一般的に利上げは、景気の上昇にともない物価が過剰に上昇するのを抑制するために行われます。利上げが行われると、銀行の貸出金利が上昇するため、企業は設備投資や事業拡大などを控える傾向があります。また、個人においても、ローンなどの借り入れコストが増加することで、家計の負担が大きくなり、商品やサービスを購入したいという意欲が減退する傾向があります。このように利上げは企業活動や個人消費を抑制することで、過度に活発化した経済活動を落ち着かせ、物価の安定を図る効果が期待できると言われています。

利上げと利下げの影響

金利とインフレ・デフレとの関係

「インフレ(インフレーション)」とは、継続して物価が上昇している状態で、簡単に言うと、お金の価値が相対的に低下して商品やサービスの価値が高まっている状態をいいます。

 

経済活動が過度に活発になるとインフレが起こりやすくなり、経済が不安定になります。そこで利上げを行うと、企業活動や個人の消費が抑制され、経済の安定化が可能になるという流れです。

 

一方、「デフレ(デフレーション)」はインフレとは逆で、お金の価値が相対的に上昇し、商品やサービスの価値が減退する現象です。

 

景気が不況傾向になると消費が抑制され、商品やサービスの需要が減り供給を下回ります。その結果、企業は商品やサービスの価格を下げざるを得なくなり、利益を出せないため賃金も減少します。収入が減れば、さらに消費が抑制されるという悪循環に陥ってしまうのです。

 

デフレから抜け出すためには、利下げが行われるのが一般的です。

利上げが与える影響

利上げが与える影響

利上げが行われると、為替・株価・物価・住宅ローンなど多方面にわたり影響が出ます。具体的にどのような影響を受けるのか、それぞれ確認していきましょう。

為替

日本が利上げをしてほかの国との金利差が変更されると、為替に影響が出ます。例えば、日米間の金利の場合で見ると、アメリカは日本よりも金利が高い水準にあります。日本が利上げをして日米間の金利差が縮まると円高ドル安になるのが一般的です。

 

円高になると、次のようなメリット・デメリットがあります。

円高によるメリット・デメリット

メリット デメリット
個人
  • 海外旅行や留学が安くできる
  • 輸入品が安く買える
  • 海外に投資する金融商品などを保有している場合、資産価値が相対的に低くなる
企業
  • 輸入企業の売り上げが伸びる
  • 輸出企業の売り上げが減少する
  • インバウンドによる利益が得られにくい
 

株価

利上げが行われると、企業が銀行から融資を受ける際の借入利息が増加するため、企業は設備投資や事業拡大を控える傾向になります。その結果、収益性の向上や経営の安定的な基盤形成が難しくなります。投資する企業の経営に対して不安を感じた投資家の中には株式を売却する人が増え、株価全体が下落していくのが一般的です。

 

また、金利上昇は預貯金や債券投資の利回りを向上させるため、安定した利益を求める投資家が増加し、預貯金や債券投資への資金の流れが活発化することも株価が下落する原因のひとつといえます。

物価

物価は、商品やサービスの需要と供給のバランスに影響を受けます。需要よりも供給が上回る場合、物価は低下し、反対に供給より需要が上回る場合は物価が上昇する仕組みです。

 

利上げが行われると企業も個人も銀行から融資を受けづらくなり、企業業績は低下していくのが一般的だと言われています。個人は、借り入れもしづらく賃金も増えないため、商品やサービスの買い控えが起きるでしょう。さらに、売れなければ価格を下げる必要があり、さらに物価が下落していくことになります。

住宅ローン

利上げが行われると、住宅ローンの金利が上昇する可能性があります。

 

住宅ローンは、借入期間中の金利が最初に決めたまま変わらない「固定金利型」と、定期的に金利が見直される「変動金利型」の主に2つがあり、特に変動金利型が利上げの影響を受けやすいです。

 

変動金利は、短期プライムレートを参考にして金利の見直しが行われます。短期プライムレートとは、金融機関が優良企業向けに1年未満の短期融資をする際に適用する最優遇金利で、日銀の政策金利の影響を受けます。

 

政策金利が上昇すると、それに連動して住宅ローンの変動金利も上昇する可能性があります。日本では、変動金利型の住宅ローンを利用しているケースが多いため、利上げが実施されると、利息の支払い負担が大きくなる人が増えると考えられるでしょう。




日本とアメリカの金利状況

アメリカの紙幣

日本国内の利上げを考える場合、ほかの国の金利状況も併せて考慮することが大切です。特に、日本経済に大きな影響を与えるアメリカの金利について理解しておきましょう。

日本

日本では、2016年1月からマイナス金利政策を導入してきましたが、2024年3月、約17年ぶりに日銀による利上げが実施されました。日銀が、「物価が2%上昇して、物価上昇と賃金上昇が相互に良好な影響を与え合い、持続的な経済成長が可能になった」と判断したためです。

 

さらに日銀は、経済成長率や消費者物価指数が事前に予測していた数値に近づいており、インフレによる利下げ期待が後ろ倒しになったことから、2024年7月に追加の利上げを実施しました。

 

そして2025年1月、さらなる利上げを行いました。

アメリカ

米ドルは、国際間の取り引きや支払いにおいて、最も広く利用されている通貨です。アメリカの金利政策や景気動向は為替相場を大きく左右することから、各国から注目されている通貨です。

 

アメリカの中央銀行はFRB(連邦準備制度理事会)で、利上げは年8回開催されるFOMC(連邦公開市場委員会)により決定されます。

アメリカの政策金利の推移

アメリカでは、リーマン・ショック後の2008年12月からゼロ金利政策を導入してきましたが、2015年に解除し、約9年半ぶりに政策金利の誘導目標を引き上げました。2018年に経済が回復してくると、インフレへの警戒感から金利の段階的な引き上げが実施されました。

 

しかし、2019年12月以降、新型コロナウイルスの感染拡大により経済活動が停滞したことで、再度ゼロ金利政策が導入され、ほかにも景気回復のための施策が実施されました。


その後、景気が回復してインフレへの警戒感が高まったため、いったん金利は引き上げられていますが、2024年には利下げが行われるなど、その動きに注目が集まっています。

利上げによる物価高の影響を抑えるには?

円マークの入った積み木とコイン

今後も物価やローン金利などが今まで以上に上がる可能性があります。このような状況で、家計への利上げによる物価高の影響を抑えるための方法を2つ紹介します。

外貨預金をする

外貨預金とは、日本円を米ドルやユーロなどの外国の通貨で預け入れる預金です。定期預金として預けることが多いですが、普通預金や通知預金などの取り扱いがある銀行もあります。

 

外貨預金は、日本円の預金よりも金利が高い商品が多く、預入時よりも解約時のほうが円安になっていると為替差益を得ることもできるでしょう。

 

ただし、預入時と解約時に円と外貨を交換する際、為替手数料がかかることや、預入時よりも解約時のほうが円高になっていると、為替差損が生じる可能性があるため、元本割れリスクがある点に注意が必要です。

投資信託に投資する

利上げの局面では、投資信託などの資産運用を始めるのも良いでしょう。元本割れリスクをできるだけ抑えるために、長期分散投資を行うことがポイントです。

 

節税をしながら資産形成を目指す方法として、iDeCo(個人型確定拠出年金)やNISA(少額投資非課税制度)の活用を検討してみてはいかがでしょうか。

iDeCo(個人型確定拠出年金)

iDeCoは私的年金のひとつで、掛金の拠出や運用を自分で行って資産形成していく制度です。掛金の拠出は65歳まで可能で、原則として60歳以降に年金(分割受取)または一時金(一括受取)として受け取ります。

 

iDeCoには次の3つのメリットがあります。

 

  • 掛金は全額所得控除の対象
  • 運用益は非課税で再投資される
  • 受取時には「公的年金等控除」または「退職所得控除」が受けられる

ただし、原則として60歳になるまで引き出せず、運用実績によっては元本割れリスクがあることに注意が必要です。

NISA(少額投資非課税制度)

NISAは、少額からの投資が可能な「少額投資非課税制度」で、2014年1月にスタートしました。この制度は、投資で得た利益が一定の条件下で非課税となる点が大きな特徴です。そして、 2024年1月から新しいNISAとして、年間投資枠の拡大や非課税期間の無期限化など、利用者のメリットが大きくなりました。

 

通常、株式や投資信託などで得られた利益や配当には20.315%の税金がかかりますが、NISA口座で運用して得られた利益には税金がかかりません

 

新NISAには、つみたて投資枠と成長投資枠の2つがあり、併用が可能です。年間投資枠はつみたて投資枠と成長投資枠の併用で最大360万円、非課税保有限度額は最大1,800万円(成長投資枠はそのうち1,200万円が限度)までに拡大されています。

 

日本国内に住んでいる18歳以上の人なら誰でも始められます。

利上げを理解して上手に資産形成しましょう

NISA、iDeCOでの資産運用イメージ

利上げとは、中央銀行が行う金融政策のひとつで、一般的には景気の上昇にともなう物価の急騰を抑制するために行われます。利上げが行われると、為替や株価、物価、住宅ローンなど私たちの生活のいたるところに影響が及ぶため、日本やアメリカなどの金利状況を定期的に確認することが大切です。

 

また、利上げのメリットやデメリットを理解し、リスクについても十分に把握したうえで、上手に資産形成をしていくことも検討しましょう。NISAやiDeCoといった税制優遇措置のある制度を活用して、自分にあった資産形成方法を見つけてみましょう。

楽天証券では、NISA口座を含め、毎月100円から投資信託の積立投資をすることができます。

 

また、楽天証券では、「楽天カード」クレジット決済を利用した投資信託の積立投資が可能。決済額に応じて「楽天ポイント」が進呈されます。「楽天カード」クレジット決済での月々の積立上限額は、つみたて投資枠の上限である月10万円となっており、つみたて投資枠の非課税投資枠を全額クレジットカードで決済することができます。また、別途ポイント利用の設定をすれば、「楽天ポイント」を毎月の積立額に利用することもできます。


これからNISAを始めようとしている人は、楽天証券での積立投資をチェックしてみてはいかがでしょうか。


※この記事は2025年2月時点の情報をもとに作成しております。

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このテーマに関する気になるポイント!

  • 利上げって何?

    利上げとは、各国の中央銀行が、金融政策の手段として政策金利の水準を引き上げることをいいます。

  • 利上げされると株価や物価はどうなるの?

    利上げが行われると、株価や物価は下落する傾向にあります。

  • 利上げは住宅ローンに影響ある?

    特に変動金利型の場合、利上げにともない金利も上昇するため影響を受けやすいと言われています。

  • 利上げの影響を抑えるにはどうすればいい?

    外貨預金や投資信託、iDeCo(個人型確定拠出年金)やNISA(少額投資非課税制度)などを検討してみましょう。




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