年金はいくら受け取れる?平均受給額や国民年金について解説

リリース日:2022/08/16 更新日:2024/11/25

少子高齢化が加速する中、自分の老後の生活に漠然とした不安を抱える人もいるでしょう。そんな老後の生活を資金面で大きく支えるのが公的年金です。支給開始年齢になったときに、自分が受け取れる年金の金額を知っておきたいという人もいると思います。ここでは、公的年金の基礎である「国民年金」の基本的な仕組みや将来的に受け取れる年金額について解説します。

  1. 国民年金とは
  2. 厚生年金との違いについて
  3. 毎月の平均的な年金支給額
  4. 将来いくら年金を受け取れる?ねんきん定期便をチェック!
  5. 国民年金を支払わないとどうなるのか
  6. 国民年金を満額受け取る方法
  7. 国民年金の控除について
  8. まとめ

国民年金とは

国民年金は、日本国内に住む20歳以上60歳未満のすべての人が加入する公的年金制度です。無職の人も含め、職業にかかわらず加入する「国民皆保険」の仕組みであり、社会全体で年金を受け取る人の生活を支えるための制度になっています。

国民年金の加入者は、以下の3種類に分けられます。

国民年金加入者の種類

加入者の種別 対象者 保険料の支払方法
第1号保険者 自営業者、農業従事者、無職の人、学生など 自分で保険料を納付する
第2号保険者 厚生年金に加入している70歳未満の会社員や公務員 勤務先の給料から天引きされる
第3号保険者 第2号保険者に扶養されている配偶者
(20歳以上60歳未満の人のうち、年収が130万円未満であり、かつ配偶者の年収の2分の1未満の人)
 

なお、第3号保険者の保険料は、配偶者である第2号保険者が加入している年金制度が負担するため、自分で納める必要はありません。就職・退職や結婚など生活状況が変わると種別変更の必要が出てくるため、自分の種別については知っておくようにしましょう。

国民年金加入者が受け取れる年金の種類

「年金」と聞くと「老後に受け取れるお金」とイメージする人が多いと思いますが、国民年金には「老齢」だけでなく「障害」「死亡」のリスクに備える役割もあります

国民年金の加入者が受け取れる年金の種類について以下の表にまとめました。

国民年金加入者が受け取れる年金の種類

年金の種類 対象 受け取れる状況
老齢年金 被保険者 65歳に達したときから
障害年金 被保険者 病気やケガが原因で障害認定を受けた場合
遺族年金 被保険者に生計を維持されていた遺族 被保険者が亡くなった場合
 

このように国民年金は老後だけでなく、もしものときの備えにもなります。よって、国民年金保険料を納めることは大切なのです。

国民年金保険料はいくら?

国民年金の保険料は年齢や職業にかかわらず、加入者全員が一律の金額です。物価や賃金の伸びなどにあわせて調整され、年度ごとに保険料の金額が決定されます。

令和6年度の保険料は月額1万6,980円、年額にすると20万3,760円です。ちなみに令和5年度は月額1万6,520円、令和4年度は月額1万6,590円でした。

なお、年金をまとめて前払いする前納制度を利用すると、割り引きが受けられるのでお得です。例えば、令和6年度の場合、1年前納すると下記のように割り引きが受けられます。

1年前納した場合の割引額(令和6年度)

納付方法 納付額(1年前納) 割引額
納付書払い
クレジットカード払い
20万140円 3,620円
口座振替 19万9,490円 4,270円
 

厚生年金との違いについて

厚生年金との違いについて

日本の公的年金制度は2階建ての構造になっています。前述の「国民年金」が1階部分、会社員や公務員が加入する「厚生年金」が2階部分です

厚生年金は、国民年金に上乗せで保険料の納付と年金の受け取りをする仕組みになっているので、国民年金に入らずに厚生年金に入っていることはありません。

1階部分:国民年金

20歳~60歳の全国民が加入

2階部分:厚生年金

会社員や公務員が国民年金にプラスして加入

厚生年金保険料はいくら?

厚生年金の保険料は、毎月の給与やボーナスに一定の保険料率をかけて計算されるもので、人によって金額が異なります。ただし、厚生年金の保険料は半分を勤務先が負担し、残りの半分を従業員が負担する「労使折半」という仕組みになっており、実際に支払うのは保険料の半分の金額です。

また、厚生年金の保険料は給与から天引きされます。給与明細の「厚生年金」という部分に記載されている金額が、支払った年金保険料です。「厚生年金」とありますが、この中には国民年金の保険料も含まれています。




毎月の平均的な年金支給額

毎月の平均的な年金支給額

ここでは、年金受給者の毎月の平均的な受給額についてのデータを見ていきましょう。

厚生労働省が発表している「令和4年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、国民年金受給者の平均受給額は、令和4年度末時点で月額約5万6,000円。また、厚生年金受給者の平均受給額は、月額約14万5,000円になっています。

年度別に見ると、以下の表のとおりです。

国民年金と厚生年金の平均受給月額

年度 国民年金 厚生年金
(国民年金を含む)
令和4年度 5万6,428円 14万4,982円
令和3年度 5万6,479円 14万5,665円
令和2年度 5万6,358円 14万6,145円
令和元年度 5万6,049円 14万6,162円
平成30年度 5万5,809円 14万5,865円
 

受け取れる国民年金の平均年金額については、毎年大きな変化はないものの、全体的に増加傾向にあるようです。一方で、国民年金を含めた厚生年金の受給額については、令和4年度の受給額が例年よりも低かったことがわかります。

将来いくら年金を受け取れる?ねんきん定期便をチェック!

将来いくら年金を受け取れる?ねんきん定期便をチェック!

ここからは、自分が将来どれくらい年金を受け取れる可能性があるのかについて考えていきましょう。老齢基礎年金の支給額は、物価の変動にあわせて毎年改定されています。

国民年金機構によると、令和6年度の国民年金(老齢基礎年金)の支給額は、満額で月額6万8,000円です(※)。前年の令和5年度は、満額で月額6万6,250円でした。

※昭和31年4月1日以前生まれの人の場合は、満額で月額6万7,808円です。

実際に受け取れる年金額は、国民年金の加入実績によって大きく変わります。自分が将来いくら年金を受け取れるかを知るには「ねんきん定期便」を活用するのがおすすめです。ねんきん定期便とは、毎年日本年金機構から届くはがきで、これまでの保険料納付状況や加入実績に応じた将来の年金受給額を通知するものです。

50歳未満の場合は、これまでの加入実績を元にした年金額が記載されています。そのため、今後保険料を支払い続ければ、将来の年金受給額も増えていくでしょう。

50歳以上の場合、ねんきん定期便に記載されている年金額は、現在の年金加入制度に60歳まで継続して加入したと仮定したときに、65歳から受け取れる年金見込額です。

ねんきん定期便は毎年誕生月に届きます。ねんきん定期便が届いたら、自分の受け取る年金額について確認してみると良いでしょう。

国民年金を支払わないとどうなるのか

国民年金を支払わないとどうなるのか

国民年金(老齢基礎年金)の受給要件は「保険料納付済期間と保険料免除期間などを合算した受給資格期間が10年以上あること」です。

この受給要件を満たしていない場合は、国民年金(老齢基礎年金)を受給できません。また、障害年金や遺族年金の受給要件には、保険料納付済期間に関する受給要件が別に定められています。

保険料の納付を怠ると、老後に年金を受け取れないばかりか、もしものときに障害年金や遺族年金などを受け取れなくなる恐れもあるため、保険料の納付は必ず行いましょう

国民年金保険料の納付が困難なとき

経済的な理由などで保険料を納めることが難しいときは、「保険料免除制度」や「保険料納付猶予制度」などの制度を利用できます。免除や納付猶予などの手続きを行った場合は、その期間に応じて年金額は少なくなりますが、受給資格期間には算入されるため、年金がもらえなくなるわけではありません。

また、学生の場合は申請により在学中の保険料の納付が猶予される「学生納付特例制度」が利用できます。

どの制度も、利用するには手続きが必要です。制度の利用条件や手続方法については、日本年金機構のサイトをご確認ください。

国民年金を満額受け取る方法

国民年金を満額受け取る方法

国民年金を満額受け取るためには、20歳から60歳までの40年間保険料を支払い続けなければなりません保険料を納めていなかった期間や、免除・納付猶予などの期間がある場合は、その期間に応じて受け取れる年金額が少なくなってしまいます。未納期間があって、あとから国民年金の受給額を増やしたい人は、以下の制度を利用しましょう。

保険料の追納

保険料の免除・納付猶予、学生納付特例などの制度を利用した期間については、後から納付(追納)をすることにより、年金受給額を増やせます。追納ができるのは過去10年以内の制度利用に限られるため、早めに手続きを行いましょう。

任意加入

60歳までに老齢基礎年金の受給資格を満たしていない場合や、年金額が満額に満たない場合には、60歳から65歳までの間に国民年金に任意加入することで年金受給額を増やせます。ただし、厚生年金保険に加入している人や繰り上げ受給をしている人は、任意加入ができないため注意してください。

国民年金の控除について

国民年金の控除について

国民年金の保険料は、社会保険料控除の対象になります。社会保険料控除が適用されることで所得金額が減り、所得税や住民税などの税金を減らすことが可能です。自分で支払った国民年金保険料のほか、家族の保険料を支払った場合、追納した場合にも控除が受けられます。

国民年金で控除を受けるためには「社会保険料(国民年金保険料)控除証明書」が必要です。「社会保険料(国民年金保険料)控除証明書」は、日本年金機構から郵送されます。手続きの方法は以下のとおりです。

会社員など給与所得者の場合

給与から天引きされる厚生年金については、申告する必要はありません。家族の国民年金保険料を納めた場合や追納を行った場合は、年末調整で「給与所得者の保険料控除申告書」を記入し「社会保険料(国民年金保険料)控除証明書」を添付することで社会保険料控除の申請ができます。

自営業など給与所得者以外の場合

給与所得者以外の人が社会保険料控除を受けるには、確定申告が必要です。「社会保険料(国民年金保険料)控除証明書」をもとに確定申告書に記載します。家族の国民年金保険料を納めた場合にも、あわせて控除が受けられます。

まとめ

年金は、老後の生活を助けてくれる大切なお金です。自分が将来年金をいくらもらえるのか、ぜひ確認してみてください。国民年金が満額に満たない場合は、追納や任意加入などの手続きを行うことで年金額を増やすことができるでしょう。

また、日本の公的年金制度は国民年金と厚生年金の2階建てですが、それに上乗せする企業や個人の私的年金がある場合は3階建てとなります。その3階部分に当たるもののひとつが、企業型確定拠出年金やiDeCo(個人型確定拠出年金)です。iDeCoは月5,000円から積み立てができ原則60歳以降に受け取れる私的年金です。積み立て時は掛け金が全額所得控除の対象になるため、毎年の所得税と住民税が軽減されます。

楽天証券なら、初めての人でも運営管理手数料0円iDeCoが始められます。楽天証券のiDeCoでは、ファンドアナリストが厳選した低コストかつ好運用実績の投資信託を中心に幅広く取り揃えているため、投資初心者の方は挑戦しやすく、投資経験者の方は自分好みの商品を選ぶことができるでしょう。


※この記事は2024年9月時点の情報をもとに作成しております。

このテーマに関する気になるポイント!

  • 国民年金とは?

    国民年金とは、日本国内に住む20歳以上60歳未満のすべての人が加入する公的年金制度です。

  • 国民年金保険料の金額は?

    令和6年度の保険料は月額1万6,980円です。ただし、保険料は毎年改定されています。

  • 国民年金は満額でいくら受け取れる?

    令和6年度の場合は、満額で月額6万8,000円です。年金額も毎年改定されます。

  • 国民年金の受給額を増やすには?

    保険料の未納期間がある場合は、追納や任意加入などの制度を利用して将来の受給額を増やすことができます。

この記事をチェックした人におすすめの記事




LINE友だち追加
Instagramフォロー
まきあん
この記事を書いた人
ファイナンシャル・プランナー(2級FP技能士)
まきあん

※本著者は楽天カード株式会社の委託を受け、本コンテンツを作成しております。

元栄養士で現在フリーのWEBライターとして活動している、まきあんです。基本的なお金の知識を身に付けたいと思い、独学でFP2級を取得しました。お金に関する知識や生活に役立つ情報を分かりやすく発信していきます。

この記事をシェアする

よく読まれている記事 (掲載期間: 2025/02/04~2025/02/08)

参加者募集中

みんなのマネ活コミュニティ

みんなのホンネ

あなたの1票は多数派?少数派?みんなのホンネは投票後すぐにグラフに反映。Let'sポチっと投票!

 

  • Instagram
  • マネ活ラッキーくじ
  • 今月のマネー運占い|中嶋マコト先生の九星気学
  • 中途採用募集中!楽天カードで一緒に働きませんか?
  • あなたは何問わかるかな?マネ活クイズ
  • みんなのホンネ
  • Lastmessage
  • 専門家一覧
  • 楽天モバイル
  • 楽天Bic
  • 楽天グループ若手社員座談会
  • 楽天ビューティ
  • 楽天ふるさと納税
  • 楽天インサイト
  • 楽天ウォレット
  • 楽天スーパーDEAL
  • 楽天レシピ
  • 楽天西友ネットスーパー
  • 楽天ママ割
  • 楽天モバイル_スマ活
  • 楽天生命保険
  • 楽天市場
  • FinTech学割
  • 楽天エナジー
  • 楽天Car
  • 楽天損保