デジタル庁とは|2021年9月に発足する新しい組織と私たちの生活への影響

リリース日:2021/07/16 更新日:2024/11/12

2021年9月に発足するデジタル庁とは何でしょうか?デジタル庁創設の目的とデジタル庁が目指す社会について解説をします。

デジタル庁とは|2021年9月に発足する新しい組織と私たちの生活への影響
  1. デジタル庁とは
  2. 日本のデジタル化遅れの課題
  3. デジタル庁創設の目的
  4. デジタル庁の施策の推進によって変わること
  5. まとめ

デジタル庁とは

デジタル庁とは

最近では、平井卓也デジタル改革相の発言や入居先などが話題になっているデジタル庁ですが、実際にデジタル庁は、どのような行政機関なのでしょうか。

 

デジタル社会の実現に向けた重点計画(令和3年6月18日付閣議決定)によれば、「デジタル庁は、これまでIT 政策を担ってきた高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部及び官民データ活用推進戦略会議(これらの下に開催される会議体を含む。)を廃止し、我が国が目指すデジタル社会の形成に関する司令塔として設置される内閣直属の行政機関であり、内閣総理大臣を長とする組織である。」と記載されています。つまり、デジタル庁は、デジタル化の障害となっている府省や地方公共団体間の縦割りを打破し、予算を含めた企画立案と統括・監理などの強い権限を背景に、これらの機関のデジタル化について、総合調整を行う行政機関です。

日本のデジタル化遅れの課題

日本のデジタル化遅れの課題

公益財団法人日本財団による18歳意識調査によれば、日本のデジタル化について、38.1%の若者が「遅れている」と回答しています。デジタル化が遅れていると回答した理由については、コロナ禍による休校の際にオンライン授業の対応ができていなかった点などが指摘されました。
また、河野太郎行政・規制改革担当相が霞が関でのFAXの使用を6月末で原則廃止を表明したニュースについて、未だに霞ヶ関では、FAXが主役であったことに驚かれた方も多いのではないでしょうか。

デジタル庁創設の目的

デジタル庁では、コロナ禍において明らかになった日本のデジタル化遅れに対処するために以下の施策の実現を目標として掲げています。

 

(1)徹底したUI・UXの改善と国民向けサービスの実現
前述の閣議決定では、デジタル庁創設の目的の一つとして「従来の行政分野ごとのバラバラなオンライン化、また国や地方公共団体による提供者目線のシステム整備ではなく、ユーザーの声を聴き、ユーザーが真に求めているニーズを把握し、誰にとっても容易に、迅速に、行政手続等を終えられるよう、サービスを実現する。」と記載しています。

 

現時点では、各省庁や地方公共団体間での、オンライン申請の手続等がバラバラで、利便性に乏しいのは紛れもない事実です。

 

(2)マイナンバー・マイナンバーカードなどデジタル社会の共通機能の整備・普及
同じく前述の閣議決定においては、マイナンバーカードについて、「マイナンバーの利活用のため、情報連携の範囲について検討を加えつつ、 併せてワンスオンリーの実現のため、情報を必要とする行政機関等に対してプッシュ型での通知を実現していくことが必要になる。また、行政機関間における情報照会及び情報提供について、中間サーバ等を介在させずAPI連携等を手段として、効率化とリアルタイム化を追求していくことも求められる(コストの削減やシステムの疎結合化)。」というデジタル庁の施策目標を掲げています。

 

現在マイナンバーカードを取得しても、一部の証明書などの取得などを除き、まだまだ利便性を感じることができませんので、速やかな対応が必要だと言えるでしょう。

 

(3)包括的データ戦略(ベース・レジストリの整備/トラストの確保/DFFTの推進)
前述の閣議決定においては、「官民問わずデジタル社会において、その最も基礎的な構成要素となるデータについて、多様化と大容量化を見込んで利活用を進めることが求められる。このとき、我が国においては、データに対する信頼を確保しつつ、データの分散管理を基本として、 標準化を含む共通ルールの整備や、正確性や最新性が確保された社会の基盤となるデータベースの整備等を進めることを目指すべきであり、 併せて行政の保有するデータに関して質の高いオープンデータ化などを進める。」との目標を掲げています。

 

データの利活用を進めるにあたり、個人情報やプライバシーの問題、データ管理の問題等の課題が山積していますが、データの利活用について、デジタル庁がいかなる施策を打つのか期待したいと思います。

ふ~ん。で、実際何がどう変わって、私たちの生活に影響がでるのかしらねぇ。

デジタル庁の施策の推進によって変わること

 

先ず挙げられるのが、行政サービスの迅速化です。デジタル庁は、マイナンバーカードの普及促進を図り、さらに健康保険証や免許証との規格の統合を検討しています。これによって、個人識別の方法が迅速になり、簡単に行政サービスが受けられたり、オンラインでのすべての行政手続きが可能になったりすることが期待されます。

 

また、行政サービス以外にも、ビジネスや教育、医療といった分野のデジタル化促進が目指されていて、私たちの生活にも影響があると考えます。例えば、教育の分野では、義務教育を受ける生徒全員に学習用PCと高速ネットワーク環境を整備する「GIGAスクール構想」等により、デジタル化、オンライン化が進んでいくと思われます。また、医療分野においても現在、新型コロナウイルス感染拡大防止のため特例措置として認められているオンライン診療を恒久化するよう検討を進めるとしています。その他も、デジタル化が促進されることにより、印鑑証明などが必要な一部の場合を除いて押印が廃止される可能性があり、日本の判子文化も根底から変わる可能性があります。

 

デジタル化に関する政策提言として『デジタル・ニッポン2020』が自民党から公開されました。デジタル庁が目指す大きな方向性として参考になると思います。

まとめ

 

デジタル庁創設によって、デジタル化に対して重い腰を上げた政府。それにより、今後いろいろな日常生活の利便性が高まっていくと思われます。また、デジタル庁は、デジタル社会形成の司令塔として、日本が直面しているデジタル化遅れの課題解決とDX(デジタル・トランスフォーメーション)による行政サービスの迅速化をはかってくれることでしょう。ただし、デジタル化によって取り残されてしまう人が出ないように、その点を意識した施策を進めて行くことが重要と考えます。

このテーマに関する気になるポイント!

  1. デジタル庁とは
    デジタル社会の速やかな推進を目的に、その障害となっている府省間の縦割りを打破し、予算を含めた企画立案と統括、監理、勧告等を含めた総合調整を行う権限を有する行政機関
  2. デジタル庁は何を目指しているのか
    ①徹底したUI・UXの改善と国民向けサービスの実現、②マイナンバー・マイナンバーカードなどデジタル社会の共通機能の整備・普及、③包括的データ戦略(ベース・レジストリの整備/トラストの確保/DFFTの推進)
  3. デジタル庁の施策推進により何が変わるのか
    ①行政サービスの迅速化、②ビジネスや教育、医療といった分野のデジタル化、③押印の廃止等

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宮崎大輔
この記事を書いた人
白石綜合法律事務所 弁護士
宮崎大輔

※本著者は楽天カード株式会社の委託を受け、本コンテンツを作成しております。

2013年3月、青山学院大学法科大学院修了。同年9月、司法試験合格。2014年12月、弁護士登録し、白石綜合法律事務所入所。企業の顧問を務める関係から、企業の労務問題を得意とするほか、刑事事件や債権回収事件、金融関係事件、企業合併事件など幅広い案件を手掛けている。近年は、インターネット上の誹謗中傷問題に積極的に取り組んでいる。

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