世界に衝撃を与えたオイルショック!日本への影響はどんなだったか。
ファイナンシャル・プランナー(CFP®)
金子賢司
新型コロナウィルスの感染拡大が始まった2020年2月末のトイレットペーパー買いだめは、オイルショック時のパニックを彷彿とさせました。そこで今回は、50年近く前に起こったオイルショックについて解説します。
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- オイルショックとは?
- 第一次オイルショックが起きた原因
- 第二次オイルショックが起きた原因
- オイルショックで原油価格が上がると起きること
- 日本に与えた影響は?
- エネルギー政策を考えるきっかけとなったオイルショック
オイルショックとは?
オイルショックとは、1970年代に2度にわたって起きた世界的な原油価格上昇のことです。イスラエルとアラブ諸国の対立から始まった1973年の第一次オイルショックと、イラン革命を発端とする1979年の第二次オイルショックを総称していいます。原油価格の上昇が急激な物価上昇を引き起こし、日本の経済成長にブレーキをかける出来事となりました。
第一次オイルショックが起きた原因
第一次オイルショックが起きたきっかけは、1973年10月に発生したイスラエルとアラブ諸国の紛争、第四次中東戦争です。アラブ諸国は敵対するイスラエルとそれを支援する国々への対抗策として、原油生産量の削減と西側諸国への原油輸出の禁止を決めました。
これにより原油価格は3カ月で約4倍に上昇し、石油資源を輸入に頼っていた日本は大きな打撃を受けることになりました。日本は急激な物価上昇に見舞われ、それまで順調に続いてきた高度経済成長が終焉を迎えることになります。
第二次オイルショックが起きた原因
第二次オイルショックは、1979年に国民が独裁政治を排除するために実行したイラン革命がきっかけで起こりました。
革命によって、政治的混乱が発生し石油の生産がストップしたことで、国際原油価格は3年間で2.7倍に上昇。日本の物価も再度上昇することになり、経済成長も減速することになります。
オイルショックで原油価格が上がると起きること
第一次、第二次ともにオイルショックは、大幅な原油価格の上昇を引き起こしました。原油価格が上昇すれば、物価上昇、すなわちインフレーションを引き起こし、金利が上昇します。物価上昇の事例と金利上昇について解説します。
・輸送コストの上昇
小売店で物を販売するためには商品が必要です。多くの商品はトラックなどでお店まで運ばれてくるため、原油価格が上がれば輸送コストも上昇し、商品の販売価格の上昇につながります。
また、販売する商品を製造するメーカーも原料を産地から自社の工場まで運ぶには何らかの輸送手段が必要です。そのため、輸送コストが上昇すれば、原料価格の高騰につながります。
・日用品の価格が上昇
ポリ袋、ペットボトル、タイヤ、洗剤、化粧品など私たちの身近に存在する日用品の原料として原油は意外に多く使用されています。原油価格が上昇すれば、これらの日用品の価格も上昇するでしょう。
・物価上昇を抑えるための金融引き締め
過度な物価上昇を放置すれば、国民の生活を脅かしてしまいます。各国の中央銀行は、物価上昇が起こった場合は、国債を民間の金融機関に売却したり(売りオペレーション)、政策金利を引き上げたり、いわゆる金融引き締め政策を取ることになるでしょう。
日本に与えた影響は?
第一次オイルショックの影響により、消費者物価指数は第一次オイルショック前の5.7%から1973年には15.6%に上昇。翌年は20.9%まで上昇し、急激なインフレに見舞われました。また、鉱工業生産指数は第一次オイルショック前の1971年~1973年までは平均8.1%だったのに対し、1974年~1975年は▲7.2%と大打撃を受けていることがわかります。
この、アラブ産油国が取った原油の供給制限と輸出価格の引き上げに対処するため、政府は「石油節約運動」として、日曜日のドライブの自粛、暖房の設定温度調整、高速道路の低速運転などを呼びかけました。
また、第一次オイルショックの影響によりトイレットペーパーの買い占めが問題になりました。これは、当時トイレットペーパーを生産する際に、溶かした原料を乾かすために燃料として重油が用いられていたため、原油が値上がりすればトイレットペーパーの供給がなくなるのではないかという不安が生じたことが要因といわれています。
第二次オイルショック時も原油価格は2.7倍に上昇しました。しかし第一次オイルショックの反省もありさほど大きな混乱は生じなかったとされています。
参照元:経済産業省 資源エネルギー省 2度のオイルショックを経て、エネルギー政策の見直しが進む
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エネルギー政策を考えるきっかけとなったオイルショック
2度のオイルショックを経験し、エネルギーの安定的な供給を確保することの大切さを日本は認識することになります。そこで、1973年に「石油需給適正化法」を制定。民間・国家それぞれに石油の備蓄目標を設定すること、工場や輸送などでエネルギーを効率的に利用すること、石油以外の代替エネルギーの開発・導入を推進することが盛り込まれました。
参照元:石油需給適正化法 | e-Gov法令検索
このようにオイルショックは、原子力発電のほか、太陽光や風力、水力といった再生可能エネルギーを含めた日本のエネルギー政策を考えるうえでの原点となっている出来事なのです。
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著者:金子賢司さん
東証一部上場企業で10年間サラリーマンを務める中、業務中の交通事故をきっかけに企業の福利厚生に興味を持ち、社会保障の勉強を始める。以降ファイナンシャルプランナーとして活動し、個人・法人のお金に関する相談、北海道のテレビ番組のコメンテーター、年間毎年約100件のセミナー講師なども務める。趣味はジャザサイズ。
健康とお金、豊かなライフスタイルを実践・発信しています。