今さら聞けない!フェミニズムってどういう意味?
フェミニズムは、女性解放思想や男女平等運動と呼ばれています。しかし、なかには過激な思想、暴力的な運動だと勘違いしている人が多いようです。近年ニュースなどでもよく取り上げられているフェミニズムとは一体どんな考え方なのか探ってみましょう。
フェミニスト(フェミニズム)とはどういう意味?
フェミニズムは、辞書を引くと「女性の社会的、政治的、経済的権利を男性と同等にし、女性の能力や役割の発展を目ざす主張および運動。女権拡張論。女性解放論。」とあり、フェミニストについては、「男女同権論者。女性解放論者。女権拡張論者。」と書かれています。
分かりやすい言葉で言い換えると、「女性が性別を理由に不当な扱いを受けたり不利益を被ったりすることのない社会を目指す」活動を示します。
ひと昔前までフェミニストと言うと、「女性に優しい男性」あるいは「女性に甘い男性」という意味で使われることがありました。今でもこのような意味で使っている年配の人がいるかもしれません。しかし、これはあくまでも日本でのみ使われている意味で、海外ではまったく使われていない表現です。
2018年1月に、岩波書店の『広辞苑』が10年ぶりに大改訂されました。そこではフェミニストの説明に「女性尊重を説く男性」という一節が付け加えられ、フェミニズムは「性差別からの解放と両性の平等とを目指す思想・運動」と定義されました。
フェミニズムは男性優位社会に反対する女性の運動ではなく、男女の性差別そのものの撤廃を目指すものであるという視点で修正が施されたのです。
性別によって、女性は「女性らしくあること」、男性は「男性らしくあること」を求められる社会の構図を変えようということも、フェミニズムの目的です。このことからも、日本でのフェミニズムに対する認識が少しずつ変化しているのがよくわかります。
「男性らしくあること」や「男性であるがゆえに強要されること」への抵抗としてマスキュリズムというものが存在することも知っておきましょう。
フェミニズムの運動
フェミニズムは、女性が男性と同等の権利を得ることで、両者が対等な立場で生きていくことを目指す思想であり運動です。そのような主張や運動はたびたび世間の注目を集めます。
最近では、女性に職場でのヒールやパンプスの強制に反対する運動「#KuToo」や、東大の入学式で女子学生の置かれている現実を訴えた上野千鶴子さんの東大祝辞などがあります。
また、男女間の格差を突きつけた事件として、東京医科大学が女性合格者を3割以下に抑えるために入試の得点を女性のみ一律で減点していたというものがありました。「#KuToo」の運動は2020年4月1日から、日本航空がCAにヒールがない靴の使用を認めるという変革へ繋がり、同時にパンツスタイルの制服が導入されました。
そのほかにもセクハラ問題やジェンダーフリーの問題など、フェミニズムはさまざまな問題提起をしますが、一定の解決方法を提示するわけではありません。なぜなら「女性であること」は人それぞれ違うため、女性同士の間でも主張が異なることや利害が対立することがありうるからです。女性間でも異なる立場にある人の主張を知り、尊重することが求められま
SNSでよく見る「#MeToo」運動とは?
「#MeToo」運動は、2017年10月頃、ハリウッド映画のとあるプロデューサーによるセクハラ疑惑が報じられたことを発端としています。この報道にハリウッド女優が同じように性的暴行に苦しめられた女性に向けて「Me Too」と声を上げるよう呼びかけたことで始まった運動です。
今では、ハリウッド女優だけではなく、一般の女性も「#MeToo」を使って自分のセクハラ被害をSNS上で訴えるようになりました。一連の運動は世界中に広がり、日本でも広く知られることとなったのです。しかし「#Me Too」運動はアメリカ国内のフェミニズムに対する意識を変えるきっかけとなった一方、国内では真っ当に受け入れられることが少なかったという事実があります。
例えば、前述の「#KuToo」は、この「#MeToo」「靴」「苦痛」をもじって名付けられたものです。「なぜ、女性だけがヒールで長時間立ち仕事を続けなければならないのか」を訴えたことを発端とし、またたく間にSNS上で拡散されることになりました。「#KuToo」問題は国会で労働問題として答弁されるほど注目されましたが、「単なるわがままだ」「嫌ならやめれば良い」といった批判を受けるなどして、さらに物議を醸しています。
このような批判はフェミニズム、ひいてはフェミニストへのスティグマタイゼーション(汚名を着せて人を卑しめること)へと繋がり、冒頭の女性ですらフェミニズムに難色を示し、フェミニズム男性が「批判される」と怯える対象になりました。
2020年の現在では、日本では「フェミニズム」が権利を主張する女性を攻撃するための言葉として使われることがあります。このような認識が権利を主張しようとする女性を抑圧し、不平等を受け入れざるを得ないのだという発想を生んでしまうことは想像に難しくありません。
フェミニズムは難しくない
フェミニズムの思想は日本でも広く受け入れられ、多くの賛同者を集めていますが、日本社会は欧米に比べると、いまだに保守的だと言われることがあります。医学部入試における女性差別問題や女性の管理職が少ない事実などを見ると、日本の社会が男女の対等性を持っているとはまるで言い難いです。
フェミニズムとは、女性と男性の平等な権利を主張する思想や運動のことです。だからといって、女性が男性とまったく同じようにふるまう社会を目指す思想と理解するのは正しくないでしょう。フェミニズムは、女性が女性であることの意味、そして男性が男性であることの意味をお互いが尊重しあえる、そんな思想です。
今後もフェミニズムの運動はさまざまなテーマで主張され、拡散していくことでしょう。フェミニストは過激な社会運動でもなければ、暴力的でもありません。また、女性が優先されるべきという思想でもないのです。"伝統的"と言われる時代からずれた価値観に疑問を投げかけるフェミニズムは、今後もさらに多様な領域に踏み込んでいくことになるでしょう。
しかし、同時にフェミニズムは日常に多く見られるものであり、全く難しいものではないことがほとんどです。
会社に所属している方にとって、それは毎回来賓の際にお茶出しするのが女性であることであったり、お子さんがいる方にとっては初めてあった人に「良いお嫁さんになりそうだ」と言われることであったりと、日常に多くのヒントが潜んでいます。大きな運動に参加せずとも、そう言った日常レベルの男女格差を徐々に、個人レベルで無くしていくこともとても大事なことです。
フェミニズムへの理解に役立つ本
女性の多くは、フェミニズムに気づく機会が少なかったり、気づけたとしてもこんな発想を抱く自分はおかしいのではないかと思ってしまったりすることがあると思います。また、男性にとってはなおのこと、自分が受けたことのない差別に気づくのはとても難しいことなのではないでしょうか。そこでフェミニズムへの理解を深めることができる本を紹介します。
82年生まれ、キム・ジヨン
https://books.rakuten.co.jp/rb/15696748/
韓国で130万部突破したベストセラー、韓国で社会現象にまで発展した本です。一人の女性の一生をただ描くことで、そこにどのような差別があるのかを可視化できる一冊、それゆえに男性にとっても女性が日常的に感じている性差別への理解がしやすいと言われています。少女時代・スヨンは「読んだ後、何でもないと思っていたことが思い浮かんだ。女性という理由で受けてきた不平等なことが思い出され、急襲を受けた気分だった」と発言しているように、これまで差別されたことはないと思う女性も必見です。
ジェンダー・トラブル 新装版 フェミニズムとアイデンティティの攪乱
https://books.rakuten.co.jp/rb/15327828/
現代フェミニズム思想を代表する哲学者の一人である、ジュディス・バトラーの著書。フェミニズム/ジェンダー論における「もともと体の構造が違う」という身体論を紐解き、非難する。先述したようなフェミニズムはどこまで身体差に踏み込めるのか?という議論の答えとも言える一冊です。
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