「収入」と「所得」の違いは?押さえたいポイントを解説!

リリース日:2025/06/12 更新日:2025/06/12

年末調整や確定申告の書類に「収入」や「所得」の記載欄があります。特に確定申告をしない人は「所得」を計算することがほぼないため、どちらも同じと認識している人もいるかもしれません。しかし、税務上は計算方法が異なります。

ここでは、「収入」と「所得」の違いを解説し、確定申告をするケースを紹介します。所得の計算方法を理解すれば、適切に年末調整の書類を記載でき、必要に応じて確定申告もできるでしょう。ぜひ参考にしてみてください。

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  1. 「収入」とは?
  2. 「所得」とは?
  3. 年末調整で記入する給与所得の金額
  4. 確定申告が必要な場合
  5. 国税庁の確定申告書作成コーナーを利用すれば給与所得は自動で計算してくれる
  6. 確定申告をしたほうが良い場合
  7. 収入と所得の違いを理解し、正しく年末調整の申告と確定申告をしよう

「収入」とは?

豚の貯金箱とそろばん

会社員にとって「収入」とは、会社などの勤務先から支給される給与や賞与などの、1年間の合計額面(いわゆる年収)を指します。金銭だけでなく、商品などを無償または低い価額で譲り受けた場合などの経済的利益も含まれます。

 

個人で事業を行っている場合、利益ではなく売上金額のことを「収入」といいます。

「所得」とは?

パソコンの前で電卓を打つ男性の手

所得とは、収入から経費を引いた利益のことです。会社員の場合は経費にあたる部分が「給与所得控除」として定められており、給与収入の金額に応じて計算方法が決められています。

 

給与所得控除の計算方法は、以下のとおりです(令和2年分以降)。

給与等の収入金額
(給与所得の源泉徴収票の支払金額)
給与所得控除額
162万5,000円まで 55万円
162万5,001円から180万円まで 収入金額×40%−10万円
180万1円から360万円まで 収入金額×30%+8万円
360万1円から660万円まで 収入金額×20%+44万円
660万1円から850万円まで 収入金額×10%+110万円
850万1円以上 195万円(上限)
 

2カ所以上から給与を得ている場合には、収入の合計額により上記の表を適用します。

 

額面総額である年収から、給与所得控除を差し引いた金額が「給与所得」です。




年末調整で記入する給与所得の金額

書類にサインを記入する手

年末調整の申告書類である「給与所得の基礎控除申告書」には給与所得を記載する欄があります。

 

給与所得の基礎控除申告書は一般的に「基・配・所」と呼ばれ、「給与所得者の基礎控除申告書兼給与所得者の配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書」の一部です。

年末調整の調整控除申請書(見本)

「(1)給与所得」の欄では、本年度の所得金額の見積金額を記載します。あくまで見積もりの金額を記載すれば良く、まずは見積もりの収入金額(年収)から上記表に当てはめて給与所得金額を計算し、収入から差し引いて所得の見積金額を求めます。

 

また「(2)給与所得以外の所得の合計額」に記載する金額は、給与所得以外の「所得の合計額」の見積もりです。「所得」の金額を記載するため、収入から経費を差し引いて求め、記載しましょう。

 

このほかにも「給与所得者の配偶者控除等申告書」では、配偶者の収入金額と所得金額を記載します。本人と同様に給与所得控除を差し引いて計算します。

 

確定申告が必要な場合

上を向いて考える3人のビジネスパーソン

年末調整では、給与支払者(会社などの勤務先)が年間の給与収入、給与所得を計算して確定し、源泉徴収票を作成します。所得税の金額は年末調整で確定するため、原則として確定申告は必要ありません。

 

しかし、会社員でも確定申告が必要な場合があるため、主なケースを紹介します。

年間の給与収入が2,000万円を超える人

給与の年間収入金額が2,000万円を超える人は、確定申告が必要です。所得ではなく「収入」で金額が判断されるため、給与控除所得や社会保険料控除後の所得ではない点に注意が必要です。

2カ所 以上から給与の支払いを受けている人

2カ所 以上から給与を得ていても、年末調整は1カ所でのみ受けるようにしましょう。2カ所以上で年末調整を受けてしまうと、正しく税額の差額を精算できず、年末調整を行えないため確定申告が必要です。複数の職場から年末調整用の申告書類を受け取った場合でも、1つの職場に絞って書類を提出しましょう。年末調整をしていない先からの給与の収入金額と、給与所得および退職所得以外の所得金額との合計額が20万円を超える人は原則として確定申告が必要です。

副業による所得が20万円を超える人

給与所得および退職所得「以外」の所得が20万円を超える人は、確定申告が必要です。例えば、会社員が副業をした場合や投資などが考えられます(※)。

 

20万円の対象は「所得」の金額です。このため、本業以外の収入が20万円を超えても、経費を差し引いて20万円を超えなければ確定申告の必要はありません。ただし、確定申告が不要となる場合でも、住民税の申告は忘れないようにしましょう。

 

※アルバイトなど給料が支払われる場合は含まれません。

一定額を超える一時所得があった人

上記で述べたように給与所得および退職所得「以外」の所得が20万円を超える場合は確定申告が必要です。副業以外にも、一時所得が発生するケースが考えられます。例えば、生命保険の一時金や損害保険の満期返戻金などがあります。

 

ただし、会社員で給与所得以外の所得が一時所得のみの場合、一時所得が90万円以下であれば、課税対象となる所得が20万円を超えないため、確定申告は不要です。一時所得は特別控除最大50万円を控除したうえで、さらにその2分の1に相当する金額が課税対象となるためです。

 

一時所得も「所得」ベースで考えます。生命保険などの返戻金があっても、入金額すべてが所得ではなく、支払った保険料を差し引いて利益が出た部分が所得になります。一般的に保険会社から入金時に通知が届くため確認するようにしましょう。

年末調整の申告が誤っていた人

年末調整は、扶養情報などを本人が申告することで行われます。もし申告内容が間違っていた場合、負担すべき所得税の金額が誤って計算されます。

 

年末調整後に誤りに気付いた場合は確定申告によって、本来負担すべき所得税の申告が必要です

国税庁の確定申告書作成コーナーを利用すれば給与所得は自動で計算してくれる

電卓を持ちOKポーズをする女性

確定申告書では、給与収入、給与所得の金額を記載する必要があります。会社員は普段確定申告をしないため、抵抗がある人もいるでしょう。国税庁の確定申告書作成コーナーを利用すれば、給与所得や税金の計算を自動で行ってくれるため便利です。詳しい利用方法は、上記のWebサイトを参考に進めましょう。


確定申告書における給与所得の「収入」と「所得」の欄は以下のとおりです。

確定申告の申請書(見本)

確定申告書作成コーナーを利用すれば、入力した金額を前提にして給与所得控除の金額は自動で計算されて確定申告書に転記されるため、ご自身で計算する必要はありません

確定申告をしたほうが良い場合

自宅で確定申告の書類を確認する女性

会社員は前述のようなケースでなければ、原則として確定申告の必要はありません。しかし、確定申告をすれば税金が還付されるケースがあります。

 

以下に還付される主なケースを紹介します。

医療費控除

本人または本人と生計を一にする配偶者などのために支払った医療費が一定金額を超える時は、所得控除が受けられます

 

所得控除とは、例えば基礎控除など、所得の金額から差し引けるものです。給与所得の場合、所得税は給与所得から所得控除を差し引いて税率をかけて計算します。

 

医療費控除の対象となる金額は、原則として以下のとおりです。

(実際に支払った医療費の合計額-保険金などで補てんされる金額)−10万円(所得の合計額が200万円までの方は所得の合計額の5%)=医療費控除額(最大200万円) 

年間の医療費の合計が10万円を超える人が対象になり、本人だけでなく配偶者や扶養家族の医療費も含まれます(※)。

 

なお、医療費控除の対象となる医療費は、医師または歯科医師による診療または治療の対価や、治療または療養に必要な医薬品の購入の対価などに限られています。

 

※所得の合計額が200万円までの場合、所得合計額の5%を超える人が対象です。

ふるさと納税

会社員がふるさと納税をした場合、1年間の寄付先が5自治体以内であれば、ワンストップ特例の申請を行うことで確定申告をしなくても寄付金控除が受けられます(※)。

 

しかし、寄付先が5自体を超えた場合は確定申告が必要です。確定申告をすると、所得税はその年から、住民税は翌年から控除を受けることができます。年度の途中でワンストップ納税の手続きを行った自治体があっても、すべてのふるさと納税を確定申告書に記載する必要があるため注意しましょう。

 

※ワンストップ特例とは、「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」に必要事項を記入して寄付した自治体に送る手続きのことです。

特定支出控除

特定支出控除とは、対象となる支払金額の年間合計が、給与所得控除額の2分の1相当額を超えれば、その超える部分の金額を給与所得控除後の所得金額から差し引くことができる制度です。

 

特定支出控除の対象となる支払いには、資格取得費や図書費、衣服費などの勤務必要経費があります。ただし、本人の職務遂行に直接必要なものであると、給与支払者(会社などの勤務先)またはキャリアコンサルタントによって証明されたものに限られます。

 

要件が細かく定められており、適用する場合は特定支出控除の対象の支出であるか慎重な検討が必要です

収入と所得の違いを理解し、正しく年末調整の申告と確定申告をしよう

肩を組む4人のビジネスパーソン

会社員の給与は、額面の年間合計(年収)が「収入」であり、そこから給与所得控除を差し引いた部分が所得税の課税対象となる「所得」です。

 

収入と所得は計算方法が異なります。年末調整や確定申告など、所得税の計算上は所得の金額がもとになるため、収入と所得の違い、給与所得控除の計算方法を理解し、正しく申請・申告をしましょう。

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※この記事は2025年3月時点の情報をもとに作成しております。

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このテーマに関する気になるポイント!

  • 収入と所得の違いは?

    「収入」は額面金額の年間合計である年収を指します。一方で「所得」は、給与収入から所定の方法で計算した給与所得控除を差し引いたものです。

  • 給与所得控除はどうやって計算するの?

    給与収入に応じて所定の計算式に当てはめます。

  • 給与所得の金額はどこに記載するの?

    年末調整では「給与所得の基礎控除申告書」で、給与収入と給与所得の見込みを記載する必要があります。確定申告をする場合は、確定申告書にも給与収入と給与所得を記入しなければなりません。




相原まりこ
この記事を書いた人
相原まりこ

※本著者は楽天カード株式会社の委託を受け、本コンテンツを作成しております。

会計事務所勤務歴10年超、税務や会計の制度をわかりやすく説明するのが得意です。FP技能検定2級取得。

投資以上に節約が大好き。ポイ活をチマチマ頑張っています。好きな言葉は「塵も積もれば山となる」。

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