103万円の壁とは?税金・社会保険における106万、130万、150万円との違いを分かりやすく解説!

リリース日:2021/01/18 更新日:2021/01/18
黒川ヤスヒト
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ファイナンシャル・プランナー(AFP)

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黒川ヤスヒト

証券会社でリテール営業を経験し、AFP資格を取得。現在ライターとして、パーソナルファイナンスに関する情報の発信を手がけています。 関心分野は、ライフプランに関する意識調査や最新の金融商品・サービスなど。

※本著者は楽天カード株式会社の委託を受け、本コンテンツを作成しております。

専業主婦(主夫)がパートで仕事を始めると、気になるのが税金や社会保険料の負担。ここでは103万円・106万円・130万円・150万円といった壁の意味を確認し、年収をどのようにコントロールすると損しないのか解説しています。

103万円の壁とは?税金・社会保険における106万、130万、150万円との違いを分かりやすく解説!
  1. 年収103万円の壁って一体何?
  2. 税金の壁
  3. 社会保険の壁
  4. 2018年の法改正で103万円の壁はなくなった?!
  5. 結局、年収をいくらに抑えれば損しない?

年収103万円の壁って一体何?

壁がいくつもあるのは、税金と社会保険で扶養の扱いが異なるからです。この点を確認します。

 

・まずは「扶養内」について理解しよう
主婦の方などがパートでお仕事を始めるときは、「扶養内」で働きたいということがあります。これまで収入がなかったり、一定の範囲内だったりすると、夫が加入している社会保険の被扶養者になっている場合が多いでしょう。しかし収入が一定の範囲を超えると、自分で加入して保険料を払う必要が出てくるのです。このように社会保険に関係しているのが年収106万円と130万円の壁で、ほかの壁には税金が関係してきます。

参照元:日本年金機構 被扶養者の認定
参照元:全国健康保険協会 被扶養者とは

・「税金」と「社会保険」を区別して考えよう
例えば結婚していて夫が納税者となっている場合、子どもなど扶養している家族がいると「扶養控除」を受けることができます。夫の所得から38万円を控除することで、納める税金が安くなるというものです。妻については「配偶者控除」か「配偶者特別控除」が受けられます。これは妻の収入によって決まり、パートのお仕事で給与収入となる場合、103万円以下では配偶者控除、103万円を超えると配偶者特別控除となるのです。

参照元:国税庁 扶養控除
参照元:国税庁 配偶者控除
参照元:国税庁 配偶者特別控除

このように、収入の壁には税金に関するものと、社会保険に関するものとがあります。税金については、所得税・住民税の配偶者控除・配偶者特別控除が関係してきます。一方、社会保険では厚生年金と国民年金、健康保険と国民健康保険が関係してくるという状況です。

税金の壁

税金の壁

年収が103万円を超えると所得税を納める義務が発生し、150万円を超えると配偶者の控除額が減り、配偶者の納めるべき税金が増えていきます。

 

・103万円の壁
パート収入の「103万円の壁」は夫の所得について、配偶者控除を受けることになるか、配偶者特別控除を受けることになるかの境目です。

 

さらにもうひとつ、パートで収入を得る妻に、納めるべき所得税が発生し始める境目の金額にもなっています。収入からは基礎控除の48万円と、給与所得控除の55万円が控除可能です。その合計が103万円なので、パート収入が103万円以内であれば課税の対象となる所得はありませんが、これを超えると所得税がかかることになります。

参照元:国税庁 家族と税

・150万円の壁
平成29年度の税制改正では、配偶者控除と配偶者特別控除の見直しがおこなわれました。このとき登場したのが「150万円の壁」です。妻のパート収入が150万円を超えると、配偶者特別控除の金額が減り始めます。

 

納税者本人となる夫の収入が900万円以下のケースで見てみましょう。妻のパートによる収入が103万円までは配偶者控除38万円が受けられます。103万を超えると配偶者特別控除になるのですが、150万円以下では同じ38万円です。しかし150万円を超えて155万円以下では、36万円になります。以降、収入が201.6万円以上で控除額が0円になるまで段階的に減っていきます。

 

ただ控除額が2万円減ったとしても、夫の所得税の税率が20%であれば、増える納税額は4,000円。150万円の壁を大きいと見るかどうかは、判断が分かれるところです。

社会保険の壁

社会保険の壁

配偶者の扶養から外れ、自身で年金・健康保険に加入することになるタイミングが社会保険の壁です。

 

・106万円の壁
法改正により平成28年10月に登場したのが「106万円の壁」。厚生年金保険・健康保険の加入義務対象者が広がりました。それまでは週30時間以上働く人を対象としていましたが、従業員501人以上の会社で、週に20時間以上働く人も対象になりました。

参照元:厚生労働省 平成28年10月から厚生年金保険・健康保険の加入対象が広がっています!

ただし、1カ月当たりの決まった賃金が8万8,000円以上というのが条件のひとつです。これを12倍すると105万6,000円。年収約106万円がひとつのめどとなるのです。また従業員500人以下の会社でも、労使の合意があれば厚生年金保険・健康保険に加入することになる可能があります。

 

厚生年金保険・健康保険に加入すると、将来受け取る年金額が増え、病気・ケガの際の保障が厚くなるというメリットがあります。また保険料は全額自分で払うわけではなく、会社との折半です。自分で国民年金保険料・国民健康保険料を払うより安くなることもあります。月額9万円の賃金であれば、負担は年額で15万ほどです。

 

・130万円の壁
106万円の壁を越えても、条件により厚生年金保険・健康保険の加入対象とならない場合を見てみましょう。パートの年収が130万円までは、夫が加入する厚生年金保険・健康保険の被扶養者となり、保険料負担はありません。しかし130万円を超えると被扶養者になることができなくなります。厚生年金保険・健康保険の加入対象でなければ、自分で国民年金・国民健康保険に加入しなければなりません。

 

国民年金の保険料は令和2年度で月1万6,540円、国民健康保険の保険料は地域によって異なりますが、年収140万円なら月1万円程度。社会保険料負担は合計で年に約30万円発生します。

2018年の法改正で103万円の壁はなくなった?!

2018年の法改正で103万円の壁はなくなった?!

以前は103万円を境に、配偶者控除から配偶者特別控除になり、控除額が段階的に下がる仕組みでした。2018年の法改正では、控除額が下がり始める壁が150万円に引き上げられています。この点においては、103万円の壁はなくなったと言えるでしょう。

 

ただ103万円を超えると所得税がかかり始め、また自治体により異なりますが、約100万円から住民税も発生します。この事実を考え合わせれば、103万円の壁は今でもあると言えます。

結局、年収をいくらに抑えれば損しない?

結局、年収をいくらに抑えれば損しない?

それでは状況を整理してみましょう。100万円や103万円の壁を越えなければ、パート収入に税金はかからず、夫の厚生年金・健康保険の被扶養者のままで保険料もかかりません。また夫は配偶者控除を満額受けられます。無収入のときと変わるところはありません。しかし年収が最初の壁を越えると、まず税金がかかり始めます。

 

106万円の壁を越えると、パートで働く会社の条件によっては厚生年金・健康保険へ加入することになります。会社が負担する分もあり保険料は抑えられますが、目先の手取りは減るでしょう。しかし将来厚生年金を受給できる分、老後資金が増えることになります。社会保険料の負担は発生しますが、損得の判断は人それぞれとなりそうです。

 

もっとも気を付けたいのが130万円の壁。106万円を超えてもパートで働く会社の条件によって、夫の厚生年金・健康保険の被扶養者のままであれば保険料はかかりません。この状態で年収が130万円以上になると、自分で国民年金・国民健康保険に加入することになります。発生する保険料負担は大きく、年金受給額が増えるわけでもないため、損になると言えるでしょう。

 

150万円を超えると、夫の所得における配偶者特別控除の額が減り始めます。減額分に税率を掛けた分だけ夫の手取りが減りますが、それほどインパクトは大きくないでしょう。

 

結局、106万円の壁を越えても厚生年金・健康保険へ加入しないのであれば、130万円未満に抑えると損をしないことになります。106万円の壁を越えて厚生年金・健康保険へ加入することになる場合は、メリットもあるため損得は人それぞれ。106万円未満に抑えた方が得と判断する人もいるでしょう。

 

パートで仕事を始めたら、給料の受け取りには楽天銀行が便利です。他行振込手数料が3回無料になるという特典が付いてきます。さらに増えた収入で資産形成を目指すなら、楽天証券と連携し「つみたてNISA」を活用すると良いでしょう。つみたてNISAは、少額での長期・積立・分散投資を支援する非課税制度。通常なら分配金や売却益にかかる20.315%の税金が、非課税になります。仕事も投資も、制度を生かして有利に進めていきましょう。

  • 著者:黒川ヤスヒトさん

    証券会社でリテール営業を経験し、AFP資格を取得。
    現在ライターとして、パーソナルファイナンスに関する情報の発信を手がけています。
    関心分野は、ライフプランに関する意識調査や最新の金融商品・サービスなど。


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