産休・育休中も配偶者特別控除・配偶者控除を活用して節税しよう
配偶者控除や配偶者特別控除は、所得が一定以下の配偶者がいる人が受けられる控除制度です。これは、「その年の所得」によって決まるものなので、育休中や産休中でも利用できる可能性があります。
配偶者控除・配偶者特別控除とは
配偶者控除・配偶者特別控除とは、控除を受ける本人と配偶者の所得が一定以下のときに受けられる控除で、適用されることで節税することができます。対象になるのは、以下の条件に当てはまる人です。
・控除を受ける本人の所得が1,000万円以下(給与収入のみの場合、年収1,220万円以下)
・配偶者の所得が123万円以下(給与収入のみの場合、年収201万円以下)
上記の両方を満たした場合、配偶者控除、もしくは配偶者特別控除が受けられます。控除額は本人の所得と配偶者の所得、配偶者の年齢によって異なり、1万円~48万円までです。例えば、年収500万円の夫と年収200万円の妻の夫婦がいた場合、たとえ妻が正社員だとしても配偶者特別控除の対象となり、3万円の控除を受けることができます。
控除の対象になるか確認
配偶者控除や配偶者特別控除の判断基準となる「所得」は1年間の収入から計算された所得の金額です。昨年の年収が250万円だとしても、今年の年収が180万円であれば、今年は申告をすることができます。
育休中や産休中は給与が支給されず、代わりに育児休業給付金等が支給されるという場合が多いでしょう。このような場合は、配偶者控除・配偶者特別控除の対象になる可能性が高くなります。なぜなら、これらの給付金は非課税で、控除の対象になるかどうかを見極めるときの「所得」の金額に含めないからです。
仮に、4月まで月給25万円で働き、5月から産休・育休に入った女性がいたとしましょう。年内はずっと育休を取った場合、控除対象になるかどうかを判定する際のこの人の年収は、「25万円×4カ月=100万円」となり、給与所得控除を反映させた後の所得額は35万円になります。したがって、夫の所得が1,000万円以下であれば配偶者控除の対象になります。
なお、賞与が支給された場合は、それについても所得計算に加算する必要があるので、仮に30万円支給されたとすれば、年収130万円で所得は65万円。配偶者特別控除の対象になります。
どちらの場合も対象になることに変わりはありませんが、所得額によって控除を受けられる金額が変わります。自分の所得額がいくらになるのかは、年末調整書類の「給与所得者の配偶者控除等申告書」の裏面の「3 所得の区分」に書かれた計算式に年収を当てはめて計算してください。また、下記のサイトにも給与所得控除の計算方法が記載されています。
国税庁(給料所得控除)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1410.htm
産休・育休中は配偶者控除を利用して節税しよう
育休中に会社から給与や賞与が支給されていない場合や、支給されていてもそれほど高額でない場合は、配偶者控除や配偶者特別控除の対象になる可能性が高くなります。これらの控除を利用すれば、世帯収入が一時的に減少する産休・育休中に支払う税金を軽減することができるでしょう。
とはいえ、配偶者控除は、その年の年収がいくらなのかについて、かなり細かく聞かれることになります。自分で給与明細を見ながら記入することもできますが、そうなると本当に漏れがないかどうか心配になるでしょう。そういうときは、会社から源泉徴収票がもらえるのを待ってから控除の申告を行うことも可能です。この場合、配偶者の年末調整のタイミングには間に合わない可能性が高いため、年末調整では申告をせず、後から確定申告して、払いすぎた税金を還付してもらいます。
なお、「申告してしまったけれど間違えていた」というときは、確定申告で修正申告をすることもできますから、安心してください。
育休中に使える控除や特例
育休中に使える控除や特例の中には、自分で申請しないと利用できないものもあります。損をすることがないように、利用できるものはしっかり利用しましょう。
・出産育児一時金
健康保険に加入している人が出産したときにもらえる一時金。通常、赤ちゃん1人につき42万円が支給されます。
・出産手当金
健康保険に加入している人が産休を取ったときにもらえます。支給額は標準報酬日額の3分の2の金額です。
・育児休業給付金
雇用保険に加入している人(休業取得前の2年間で11日以上働いた日が12カ月以上加入している必要があります)が育休を取ったときにもらえます。支給額は最初の6カ月間が育休開始時の月収の67%、7カ月目以降が50%です。
・社会保険料免除
産休中や育休中は、会社で天引きされる社会保険料が免除されます。
・養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置
時短勤務等の理由で月収が下がると、将来受け取れる厚生年金の額も減ってしまいます。そうならないよう、子どもが3歳になるまでの間は、子どもが生まれる前と同じ収入を得ているものとみなして将来年金を計算してもらえるという制度です。対象者が会社を通して「厚生年金保険養育期間標準報酬月額特例申出書」を提出することで手続きできます。
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