2019年の配偶者特別控除の内容は?計算方法とシミュレーション

リリース日:2019/10/16 更新日:2019/10/16

配偶者特別控除と配偶者控除は、2018年に制度が大きく変わりました。申告漏れで税金を多く取られてしまうことがないように、どのようなときに対象になるのか覚えておきましょう。対象者や申告方法についてご紹介します。

2019年の配偶者特別控除の内容は?計算方法とシミュレーション
  1. 配偶者特別控除とは
  2. 2018年の改正で何が変わった?
  3. 損をしないための判別方法
  4. 申告書の書き方
  5. 計算シミュレーション
  6. 参考サイト

配偶者特別控除とは

年末調整は、給与所得者の年間の給与所得額と控除額を求めて、税金を確定させるために行われるものです。配偶者特別控除というのは、所得から差し引くことができる「控除」の種類のひとつで、該当すれば節税ができます。

 

配偶者特別控除は、自分自身で申告しないと適用にはなりません。該当していても申告しないままだと、税金を多くとられてしまいます。また、反対に、本当は該当していないのに間違えて申告してしまうと脱税になりかねません。どういう場合に該当するのか、どうやって申告すればいいのかを確認しておきましょう。

2018年の改正で何が変わった?

2018年の改正で何が変わった?

配偶者特別控除は2018年に大きな改正がありました。それまで配偶者特別控除の対象だった人が対象ではなくなったり、配偶者特別控除の対象でなかった人が対象になったりしています。まずは自分たちが対象かどうかをきちんと理解しておく必要があります。

 

2018年の改正のポイントは次の2点です。

 

1. 控除を受ける本人の所得によって控除額が変わるようになった

2017年まで:所得1,000万円以下が対象で、控除額は一律
2018年から:所得1,000万円以下が対象で、控除額は所得が900万円以下、900万円超950万円以下、950万円超1,000万円以下の3段階

 

2. 対象になる配偶者の所得合計額が引き上げられた

2017年まで:配偶者の所得38万円超76万円未満が対象
2018年から:配偶者の所得38万円超123万円以下が対象

 

なお、「所得」というのは年収とは違います。給与所得者(パート・アルバイト・派遣・正社員など)の場合、給与額から給与所得控除を差し引いたもののことです。簡単にまとめると、配偶者が給与所得者だと仮定して、配偶者の実際の年収が103万円以上201万円以下だと配偶者特別控除の対象になります。

損をしないための判別方法

損をしないための判別方法

配偶者特別控除で損をしないためには、該当するかどうかをしっかり判別することが大切です。無申告の場合はもちろん、申告の仕方を間違えたときも対象外であると判断されてしまうことがあるので気を付けましょう。

 

配偶者特別控除に該当するかどうか判断するためのポイントをまとめました。

 

・控除を受ける人の年収(給与所得者の場合)が1,220万円以下
・配偶者の年収(給与所得者の場合)が201万円以下(複数の勤務先から給与をもらっている場合、年間の合計額が201万円以下)

 

上記の両方に当てはまれば、配偶者特別控除(もしくは配偶者控除)を受けることができます。配偶者が給与所得者でない場合、以下の基準で判別しましょう。

 

・事業を営んでいる人は、収入から経費を引いた金額が123万円以下
・本業のほかに副業もしている人は、給与所得の合計額+副業分の収入から経費を引いた金額の合計が123万円以下
・年金をもらっている人は、年金額が243万円以下(65歳以上の場合)

 

なお、控除を受ける人の年収を計算するときも、本業以外の副収入があれば、それも含めて計算する必要があります。

 

配偶者特別控除の判定基準となるのは所得の額だけです。「妻も正社員」という場合でも、年収が201万円以下であれば配偶者特別控除の対象になります。ただし、「妻も夫も年収が200万円」というようなケースで、お互いに配偶者特別控除を受けるということはできません。この場合はどちらが控除を利用するのかを相談して、ひとりだけ申告しましょう。

申告書の書き方

申告書の書き方

給与所得者の配偶者控除等申告書サンプル


2018年から、新しく配偶者控除と配偶者特別控除のための申告書が年末調整書類に追加されました。順に書き方を説明するので、空欄を埋めていってみましょう。

 

(1)一番上の個人情報を記入する欄は、ほかの申告書と同様です。捺印も忘れないようにしましょう。

 

(2)申告欄の上から3番目の一番大きな枠内を最初に埋めます。左側が控除を受ける人の所得額を計算する欄、右側が配偶者の所得額を計算する欄です。ここに記入していくことで、年収から所得額を求めることができます。

 

年収の欄には税込み年収の見込額を記載し、用紙裏面の「3所得の区分」の「1給与所得」欄を参考に、給与所得控除額を差し引いた金額を所得金額の欄に記入します。それ以外の収入がある人は、項目別に表に記入し、最後に合計欄を埋めてください。

 

(3)(2)の数字を元に、申告欄の一番上の「あなたの本年中の合計所得金額の見積額」を記入し、区分「A」「B」「C」のうち該当するものを選びます。

 

(4)次の欄に配偶者の個人情報を記入し(左側)、次に(2)を元に配偶者の所得額と区分を記入します(右側)。

 

(5)申告書最下部、左側表の、本人と配偶者の区分が交わる箇所に記載された金額を確認し、この金額を右側の「控除額」の欄に転記しましょう。

 

 

なお、配偶者控除と配偶者特別控除は、どちらかひとつしか該当しないようになっています。上と下、どちらか該当する方だけ記入しましょう。どちらに該当するかは、表の一番下の「適用」欄に書かれています。

計算シミュレーション

計算シミュレーション

ここで、夫の所得が300万円、妻の所得が100万円の場合を例にとって、配偶者特別控除について考えてみましょう。

 

この場合、夫は妻を配偶者特別控除の対象として申告することができます。夫と妻の所得額を国税庁のHPの控除額一覧に当てはめてみると、受けられる控除額は「26万円」です。

 

夫の所得税率は10%なので、26万円×10%=2万6,000円の所得税が節税できる計算になります(最終的な節税額や還付額はそれ以外の要素によっても変動します)。

 

 

配偶者特別控除の申告をしておくと、所得税に加えて翌年の住民税も節税することができるので、該当する場合は忘れずに申告しましょう!

参考サイト

・国税庁|よくある税の質問(No.1195 配偶者特別控除) 2019.10.15
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1195.htm

平林恵子
この記事を書いた人
ファイナンシャル・プランナー
平林恵子

※本著者は楽天カード株式会社の委託を受け、本コンテンツを作成しております。

人事労務関係の仕事からライターへ転身。経験を活かしてコラム執筆を行っています。2017年、見識を深めるためにFPの資格を取得しました。税金や給与計算などに詳しくない方にもわかりやすい解説を心がけています。

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