財形貯蓄とは?金利や非課税などのメリットと退職時の対応について
財形貯蓄は、会社で行うことのできる天引き貯蓄の制度です。住宅か年金に目的を限定した場合は利子が非課税になる、住宅購入の際に融資が受けられるなど、さまざまなメリットがあるため、うまく利用しましょう。
もくじ
・財形貯蓄とは
・財形貯蓄のメリットとは
・退職時の財形貯蓄の行き所
・財形貯蓄を目的外に使う場合
財形貯蓄とは
財形貯蓄は、会社員が給与や賞与から一定額を定期的に積み立てることで、まとまった資金作りができるという制度です。財形貯蓄は、目的によって3つの種類に分けられています。
・年金財形(財形年金貯蓄)
将来、年金として受け取るために利用する財形です。満55歳未満で、財形制度のある企業に勤めている人が加入することができ、積立期間は5年以上です。住宅財形と合わせて、550万円まで(保険商品の場合、払込額385万円まで)は利子が非課税になります。貯蓄したお金は、満60歳以降の5年以上20年以内の期間を指定して年金形式で受け取ります。また、積み立てを終了してから受け取りまでに5年据え置き期間を設けられるので、60歳まで積み立てて65歳から受け取るということも可能です。
・住宅財形(財形住宅貯蓄)
将来、住宅を購入したりリフォームをしたりするために利用する財形です。満55歳未満で、財形制度のある企業に勤めている人が加入することができ、積立期間は5年以上です。ただし、これより前に住宅を購入した場合非課税での払い出しができます。年金財形と合わせて、550万円まで(保険商品の場合、払込額385万円まで)は利子が非課税になります。貯蓄したお金は、床面積50平方メートル以上の住宅の購入や建設、工事費が75万円を超えるリフォームなどの際に利用することが可能です。
・一般財形(一般財形貯蓄)
財形制度のある企業に勤めている人が加入することができ、積立期間は原則3年以上です。非課税制度はなく、ひとり何本でも契約することができます。
財形貯蓄のメリットとは
財形貯蓄のメリットとしてよくいわれることが、利子についてです。通常、利子には所得税と復興所得税(2037年まで)の合計20.315%が課されますが、財形貯蓄の場合はこれが非課税になります(財形住宅・財形年金合わせて550万円まで)。また、通常の預金に比べると金利が高めであるという特徴もあります。
とはいえ、現在の低金利時代においては、金利面でのメリットはそれほど劇的なものとはいいがたいでしょう。通常よりは金利メリットが高い場合もありますが、ネット銀行をはじめとした優待制度などを利用することで、より高い利子を得ることも十分可能だからです。
一方で、財形貯蓄のメリットがまったくないのかというと、そうではありません。財形貯蓄は、あらかじめ給与天引きされる貯蓄制度で、給与明細の支給額の欄には差し引かれた金額が載ります(実際の明細の形式は各企業によっても異なります)。そのため、最初から「なかったもの」として生活することができ、なかなか自分で貯蓄ができないという人でも着実に将来のための資産形成をすることが可能です。
また、財形は気軽に出金することもできません。そのため、ついつい貯まったお金を使ってしまうというリスクも軽減できます。一方で確定拠出年金とは異なり、「絶対に出金できない」ということではないため、本当に必要なときに使えなくて困るということもありません。
さらに、財形を積み立てることで、「財形持家転貸融資」という住宅購入時の融資制度を利用することもできます。これは、住宅財形に限らず、どの財形であっても「1年以上財形を積み立てている」「2年以内に積み立てを行っている」「残金が50万円以上ある」という条件を満たしている人であれば対象になります。長期間低金利で利用できる上に、金融機関の審査に通るかどうか不安という方でも利用しやすい制度です。
退職時の財形貯蓄の行き所
財形貯蓄を契約している状態で会社を退職した場合、2年以内に次の会社に就職をすれば、そのまま積立を継続することができます。ただし、転職先の会社に財形制度がなかった場合、財形を利用することができなくなるのがポイントです。
・転職先に財形制度がある場合
利用している金融機関が同じ場合は、転職先の会社から金融機関宛てに「勤務先異動申告書」を提出してもらいます。一方で金融機関が異なる場合は、新しい会社で財形の契約をするとともに、預け替え手続きをすることで財形を継続できます。
・転職先に財形制度がない場合
財形を継続することができなくなるため、解約することになります。この場合は、目的以外での引き出しに該当し、住宅財形や年金財形でも5年分さかのぼって利子に課税されることになります。利子に対してのみの課税であり、元本割れの可能性がある保険商品を選んでいない限り受取額が積立額を下回ることはありません。
なお、年金財形をしている人が55歳よりも後に退職した場合は、60歳を超えるまで据え置き期間とする届け出を出すことで、それまでに積み立てた財形を年金として受け取ることができます。
財形貯蓄を目的外に使う場合
非課税のメリットがある年金財形と住宅財形は、目的以外の理由で引き出した場合のデメリットがあります。
・住宅財形
住宅財形は、目的外で引き出した場合、過去5年分にさかのぼって利子に課税されることになります。ただし、それより前の分については非課税のままです。
・年金財形
年金財形は、原則として目的外の引き出しができません。どうしてもお金が必要な場合は解約という形になり、5年分さかのぼって利子に課税されます。
ただし、どちらの場合も、災害に遭ったり病気にかかったりなど、一定の理由に該当する場合の引き出しについては非課税となる場合があります。
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