タックスヘイブンって何?使ったらどんなメリットがあるの?

リリース日:2019/01/16 更新日:2019/01/16

時折ニュースなどで聞かれる「タックスヘイブン」という言葉。法人税をはじめとする税金が軽減されたり、免除されたりする国や地域のことです。富裕層が租税回避するために使うこともあり、なんとなく悪いイメージを持っている人も多いかもしれませんが、利用がすべて違法というわけではありません。タックスヘイブンとはなにか、どんなふうに税金が軽減できるのか、詳しく見ていきましょう。

タックスヘイブンって何?使ったらどんなメリットがあるの?

もくじ

・タックスヘイブンって何?

・富裕層がタックスヘイブンを使うのはなぜ?

・タックスヘイブンを利用したときの税率

・相続税対策としてのタックスヘイブン

・日本でも対策を強化している

タックスヘイブンって何?

タックスヘイブンって何?

タックスヘイブン(tax haven)とは、税金の避難所という意味があります。よく「ヘイブンをヘブン(天国)と勘違いしていた」という人がいますが、ヘブンはheaven、ヘイブンはhavenで、違う単語です。

 

代表的な場所として挙げられるのは、イギリス領のケイマン諸島やバージン諸島、ルクセンブルク、モナコ、ドバイ、香港などです。これらの国や地域は主な産業がなく、海外から企業を誘致することで国内経済を活性化しています。「法人税や源泉徴収税がかからないから、うちに企業を進出させてください」という戦略です。税金を取らなくても、富裕層の移住や雇用の創出によって国内の景気上昇が期待できます。

富裕層がタックスヘイブンを使うのはなぜ?

富裕層がタックスヘイブンを使うのはなぜ?

富裕層がタックスヘイブンを使うと聞くと、なんとなく悪いことをしているようなイメージを持つかもしれませんが、一概に悪用しているわけではありません。

 

タックスヘイブンを使うメリットのひとつに、法人の設立が簡単にできることが挙げられます。先ほど説明したように、タックスヘイブンは海外の法人進出を歓迎する地域。そのためタックスヘイブンで事業を展開しようとしている企業に対しては万全のサポートを行います。スムーズに新事業を行いたい企業にとってはありがたい場所なのです。

 

秘匿性が高いのもタックスヘイブンの特徴です。税金がとられないため、日本で言う確定申告をする必要がなく、個人や法人の収益・資産が公開されません。また、会社設立の際に本人名義で登録する必要がないため、誰の会社かもわからないのです。まわりに知られず新しい事業を行いたい富裕層にはぴったりですが、中には悪用する人もいるため、「税金がかからないことより匿名性のほうが問題では」と指摘する専門家もいます。

タックスヘイブンを利用したときの税率

ケイマン諸島やサモア、ドバイの法人税は0%です。香港は16.5%、シンガポールは17%と、日本における23.2%(住民税や事業税を含めると29.74%)と比べて低くなっています。

 


日本では1978年にタックスヘイブン対策税制が導入されました。税負担が極端に低い特定外国子会社等に対する税金も、日本の親会社に課税するというもの。その地域の税率と、日本との税率の差額を追加課税するもので、二重課税というわけではありません。

 

2017年にはタックスヘイブン対策税制が見直され、これまでは50%超の持分がある外国法人を関係会社とみなしてきましたが、たとえ50%未満でも、実質支配関係があるとみなされたら課税の対象となりました。さらに、事業実態のないペーパーカンパニーや、事実上のキャッシュボックスとみなされる企業、ブラックリスト国に所在する外国関係会社も課税対象となります。

相続税対策としてのタックスヘイブン

相続税対策としてのタックスヘイブン

ここまでは法人税におけるタックスヘイブンのメリットを見てきましたが、相続税対策としても有効です。とはいえ、よほどの富裕層以外はその恩恵が受けられません。タックスヘイブンを利用した相続税対策には主に3種類あります。

 

1.タックスヘイブンに住む

相続される人も、相続する人も、親族一同でタックスヘイブンに移住するという方法です。ただし10年ルールと呼ばれる規制があり、移住してから10年以内では意味がありません。また、出国時にも課税されます。1億円以上の有価証券を所有していると、含み益にまで課税されてしまうのです。

 

2.タックスヘイブンに法人を設立

タックスヘイブンに行かなくても、会社を設立することは可能です。個人資産をその会社に移せば、相続税がかかりません。ただし、会社の株式に対しては相続税がかかってしまいます。

 

3.タックスヘイブンの会社から贈与

いったんタックスヘイブンに会社を作って、そこから間接的に資産を贈与する方法です。法人から個人の贈与はタックスヘイブンでは税金がかかりません。ただし、贈与された個人には所得税がかかってきます。これは一時所得になるため、直接贈与するより税率が低く済みます。ただしこれは抜け道とも言える制度で、今後も使えるかどうかはわかりません。

日本でも対策を強化している

タックスヘイブンは税金がかからない国や地域ですが、こうした地域に資産が流出することで、日本の税収が減ってしまいます。日本でもタックスヘイブン対策税制を強化したり、法人税の引き下げを検討したりして、法人の海外進出をとどめようと対策しています。庶民にはあまり縁のない話ではありますが、そういう地域があるということは知っておくといいかもしれません。

マネ活編集部
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※本著者は楽天カード株式会社の委託を受け、本コンテンツを作成しております。

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