国民年金基金で老後資金は足りる?加入するメリット・デメリット

リリース日:2018/12/19 更新日:2024/10/07

国民年金の第1号被保険者が加入できる国民年金基金。自営業やフリーランスにとって、将来の年金受給額が増やせる貴重な制度です。しかし、国民年金基金の他にもiDeCoや個人年金など、将来に備える方法はいくつかあります。国民年金基金に入るメリット・デメリットや、その他の制度との併用について考えてみました。

国民年金基金で老後資金は足りる?加入するメリット・デメリット

もくじ

・国民年金基金についておさらい

・国民年金基金に加入するメリット

・国民年金基金に加入するデメリット

 ・iDeCoとの比較、併用

 ・個人年金との併用

・付加年金という手段も

・自分に合った資産運用方法を選んでみては?

国民年金基金についておさらい

国民年金基金についておさらい

国民年金基金に入れるのは第1号被保険者のみ。会社や団体の厚生年金に入っている第2号被保険者や、サラリーマンの扶養に入っている第3号被保険者は入れません。第1号被保険者でも加入は任意で、加入口数についても個人で決めることができます。また、加入した時点の予定利率によって将来受け取れる金額が確定するのも国民年金基金の特徴です。

国民年金基金に加入するメリット

国民年金基金に加入するメリット

国民年金基金のメリットは、将来受け取れる年金額が増えることです。国民年金第2号被保険者は、国民年金と厚生年金の両方を受け取ることができますが、第1号被保険者は国民年金しか受け取れません。国民年金基金に加入することで、サラリーマンで言う厚生年金分を上乗せし、老後に備えることができるのです。

 

国民年金基金は節税にもつながります。掛金は全額所得控除の対象になるため、その分所得税と住民税が安くなるという仕組みです。課税所得が300万円の人なら、所得税10%、住民税10%となるため、国民年金基金に支払った金額が年20万円とすると、4万円の節税になります。

 

60歳以降で国民年金に任意加入している人も、国民年金基金に加入できます。60歳以降も働いていて、節税しながら将来の年金額を増やしたい人には有利な制度です。

国民年金基金に加入するデメリット

国民年金基金は「年金」のため、受給開始年齢に達するまではお金を受け取ることができません。加入者が死亡した場合には遺族一時金が支給されるケースがありますが、基本的には途中でお金を取り戻すことはできないと理解しておきましょう。

 

また、一度入ったら任意で脱退することができません。就職して第2号被保険者になったり、その扶養に入って第3号被保険者になったりした場合は資格喪失で脱退となりますが、その際も支払ったお金は年金としてのみ戻ってきます。

 

将来もらえる金額が確定しているのもデメリットになるかもしれません。たとえば国民年金基金で年金受給額が2万円上乗せされるとしましょう。インフレが進んで、2万円が現在の2,000円ぐらいの価値になったとしても、受給額は2万円のままです。これはかなり極端な例ですが、こういった可能性があることも頭に入れておく必要があります。

iDeCoとの比較、併用

iDeCoとの比較、併用

国民年金基金と比較されることが多いのが、2017年からスタートしたiDeCo(個人型確定拠出年金)です。

 

iDeCoもその名の通り年金であり、全額所得控除になる点は国民年金基金と同じです。国民年金基金との併用が可能なため、2つに加入して老後に備える人もいます。掛金の上限は月額6万8,000円で、国民年金基金と併用する場合は両者を合算して6万8,000円です。仮に毎月上限額を拠出すると年間81万6,000円になり、そのすべてを所得控除に充てることができます。

 

国民年金基金との大きな違いは、iDeCoは自分で投資先を決めて運用していく点にあります。国民年金基金では決められてしまっている利率を上回るも下回るも自分の運用次第となり、将来いくら受給できるのかはその時になってみないとわからないという特徴があります。運用に自信がない、運用先を考えるのが面倒という人は、iDeCoのメリットを存分に享受することが難しいかもしれません。

 

iDeCoを年金で受け取る場合は、基本的に5年以上20年以下と決まっているのに対し、国民年金基金は終身支払われるというメリットがあります。人生100年時代、生涯死ぬまで年金受給を受けられるというのは魅力です。また、iDeCoが口座管理手数料がかかるのに対し、国民年金基金ではその手数料がかからないという点もメリットのひとつでしょう。

 

ただし、国民年金基金は破綻するリスクがゼロではありません。一方iDeCoは、運営管理機関が破綻しても年金資産は残ります。

 

iDeCoと国民年金基金のメリット・デメリットの両方を理解したうえで、どちらか片方、あるいは両方に加入するのがよいでしょう。

個人年金との併用

民間の生命保険会社の個人年金保険に入るのもひとつの方法です。ただし国民年金基金やiDeCoと違い、掛金の一部しか保険料控除の対象になりません。控除される金額は年間払込保険料額に応じて決まり、新制度の保険の場合、所得税は4万円、住民税は2万8,000円が上限です。

 

節税をあまり気にしないのであれば、自分に合った商品を探してみるとよいでしょう。国民年金と国民年金基金だけでは得られないオプションがついた商品もあります。

付加年金という手段も

付加年金という手段も

国民年金基金には入りたくないけれど、ちょっとだけでもいいから年金の受給額を増やしたいという人は、付加保険料を納める方法があります。これは月額400円を国民年金保険料に上乗せすることで、将来の国民年金の受給額に「200円×付加保険料納付月数」が上乗せされるというもの。つまり、2年で元が取れます。ちなみに、国民年金基金に加入している場合は付加保険料を納めることができません。

自分に合った資産運用方法を選んでみては?

以上、国民年金基金のメリット・デメリットや、他の保険との比較について説明しました。iDeCoや個人年金を併用して、節税しながら老後の暮らしに備えていきたいですね。各サイトのシミュレーションを利用して、掛金や将来の受給額を比較しながら加入先を決めるとよいでしょう。

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宮島ムー
この記事を書いた人
ファイナンシャル・プランナー(2級FP技能士)/宅地建物取引士
宮島ムー

※本著者は楽天カード株式会社の委託を受け、本コンテンツを作成しております。

関西に住む子育て中の主婦です。 お金や不動産に興味があり、日商簿記1級・FP2級・宅建などの資格を独学で取得しました。 記事ではなるべく専門用語を使わず、わかりやすく説明するよう心がけています。

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