ストックオプションとは?仕組みから税金まで徹底解説

リリース日:2017/10/05 更新日:2026/04/07

ストックオプションとは、従業員や役員陣が「あらかじめ決められた価格」で「一定期間内」に「自社の株式を一定数購入できる権利」を付与する制度のことです。
株価が上がったタイミングで売却すれば利益が得られるため、将来的な資産形成が期待できます。

その一方で、税制適格ストックオプションか否かによる税金の取り扱いの違いや、確定申告の手続きなど、その仕組みは非常に複雑に感じられるかもしれません。

ここでは、ストックオプションの基礎知識から具体的な種類、メリット・デメリット、税金に関する注意点まで、幅広く解説します。
ストックオプションの導入を検討している企業の担当者や、実際に権利を付与された従業員が知っておくべき重要なポイントを整理しています。
ぜひ参考にしてみてください。

この記事でわかること!
  • ストックオプションの基本的な仕組みと目的
  • 主なストックオプションの種類と特徴
  • 従業員・企業双方のメリット・デメリット
  • ストックオプションにかかる税金と確定申告の注意点

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  1. ストックオプションとは?
  2. ストックオプションの種類
  3. ストックオプションのメリット
  4. ストックオプションのデメリット
  5. ストックオプションの注意点
  6. まとめ

ストックオプションとは?

投資の交渉成立の瞬間

ストックオプションとは、株式会社の取締役や従業員などがあらかじめ決められた価格で定められた期間内に自社株を一定数購入できる権利を付与する制度のことです。

 

企業の成長とともに株価が上昇した場合、この権利を行使して株式を取得し、市場で売却することで利益を得られます。特にスタートアップ企業やベンチャー企業では、優秀な人材の確保や従業員のモチベーションアップを目的としたインセンティブ制度として広く導入されています。

ストックオプションの目的

ストックオプションの主な目的は、企業価値の向上と従業員の利益を連動させるこです。

 

ストックオプションが付与されることで、株価の上がり幅によっては将来的に大きな利益を得ることができます。
そのため、創業期で高い給与を支払うことが難しい企業にとっては、ストックオプションが強力な採用ツールとなり得ます。

 

一方で、従業員にとっては、自身の働きが会社の成長につながり、それがストックオプションを通して個人の資産形成に結びつくというメリットがあります。
このように、ストックオプションがあることで組織全体の士気向上も期待できます。

ストックオプションの仕組み

ストックオプションの基本的な仕組みは、以下の3つのステップで成り立っています。

ストックオプションの仕組み

1.権利の付与

まず、権利付与の段階で、企業は対象者に「将来、自社株を〇〇円(行使価格)で買える権利」を与えます。
この時点では、金銭的なやり取りは発生しないのが一般的です。

2.権利の行使

次に、企業の成長により株価が上昇し、行使価格を上回ったタイミングで権利を行使して株式を購入します。
例えば、付与された権利の行使価格が500円で、現在の株価が5,000円になっていても、権利を持つ人は500円で購入できます

3.株式の売却

最後に、取得した株式を市場で売却することで、利益が確定します。
この場合、売却価格と行使価格の差額が利益となります。

 

仮に株価が下がって行使価格を下回った場合、権利を行使しないことも可能です。
そのため、従業員側にとって金銭的な損失リスクは低い制度であるといわれています。

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ストックオプションの種類

ストックオプションにはいくつか種類があり、それぞれ税制上の扱いや導入目的が異なります。

 

大きく分けると、特定の要件を満たして税制優遇を受けられる「税制適格ストックオプション」と、それ以外の「税制非適格ストックオプション」に分類されるのが一般的です。
ほかにも多様な種類のストックオプションが登場しているため、それぞれの特徴を理解しておくことが大切です。

税制適格ストックオプション

税制適格ストックオプションとは、租税特別措置法に規定された一定の要件を満たし、税制上の優遇措置を受けられるストックオプションのことです。

 

通常はストックオプションを行使した時点で課税が発生しますが、税制適格ストックオプションの場合は、この課税が株式売却時まで繰り延べられ、売却時に約20%の譲渡所得として課税されるのが原則です。

 

税制適格ストックオプションとして認められるためには、以下のような要件を満たす必要があります。

  • 権利行使期間が付与決議の日から2年を経過し、かつ10年(一定の条件下で最長15年)を経過するまでの間であること
  • 年間の権利行使価額の合計が1,200万円以下(ただし、スタートアップ等一定の要件を満たす企業の場合は最大3,600万円以下)であること
  • 権利行使価額が契約締結時の時価以上であること
  • 譲渡禁止の規定が設けられていること
  • 証券会社等で株式の保管委託や管理が行われていること

 

このように、要件は細かく定められており、企業のステージによって上限枠が緩和される特例もあります。設計の際は最新の法規制を確認することが重要です。

税制非適格ストックオプション

税制非適格ストックオプションは、上記の税制適格要件を満たさないものを指します。

 

最大の特徴は、「権利行使時」と「株式の売却時」の2つの段階で課税が発生する点です。
権利行使の段階ではまだ株式を売却しておらず、現金収入がないにもかかわらず納税義務が発生するため、権利者にとってキャッシュフローの負担が大きくなる可能性があります。

 

このときの所得は、原則として給与所得となり総合課税の対象となるため、所得が高いほど税率も高くなる傾向があります

1円ストックオプション

1円ストックオプションとは、権利行使価格を1円という極めて低い価格に設定したストックオプションです。

 

主に、退職金代わりや賞与の一部として付与されるケースがあります。
権利を行使すれば、株価のほぼ全額が利益となるため、株価が上昇しなくても利益を得られる確実性が高いのが特徴です。
このため、従業員に対するインセンティブとして効果が期待できます。

 

ただし、税制適格の要件を満たさないため、税制非適格ストックオプションとして扱われるのが一般的です。

有償ストックオプション

有償ストックオプションとは、従業員や役員が将来株式を購入できる権利を、会社から時価で直接購入する仕組みです。
この権利の購入には金銭の払い込みが必要となります。

 

権利そのものを時価で取得するため、一般的な金融商品としての性質が強くなります。
この特性により、税務上の取り扱いが通常のストックオプションとは異なります。
権利購入時にその価値が評価されているため、権利行使時に株価が上昇していても、その時点での含み益に対して課税は発生しません。
株式売却時に売却益が発生した場合、その利益が譲渡所得として課税されるのが一般的です。

 

権利購入のための初期費用の負担があること、および株価下落時に損失を被る可能性があるというリスクがありますが、上場前後や成長期の企業など、株価の大幅な上昇が期待される状況下では税務メリットを享受しやすいため、従業員にとって魅力的なインセンティブになりえます。

信託型ストックオプション

信託型ストックオプションとは、企業が発行したストックオプションを信託に預け入れ、信託期間満了後に貢献度などの基準に応じて従業員に分配する仕組みです。

 

あらかじめストックオプションを発行して信託に預け入れておくことで、後から入社した社員に対しても、信託設定時の低い権利行使価格でストックオプションを付与できるというメリットがあり、近年導入が進んできました。

 

しかし、2023年に国税庁が信託型ストックオプションは権利行使時に給与所得として課税されるとの見解を示したため、導入や運用には慎重な検討が必要です。税務上の取り扱いについては、最新の情報を専門家に確認することをおすすめします。

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ストックオプションのメリット

ストックオプションのメリット

ストックオプションは、従業員と企業の双方に大きなメリットがあります。ここでは、それぞれの視点から解説します。

従業員・役員側のメリット

従業員側にとっての最大のメリットは、企業の成長にともない、給与や賞与などの上限を超えた大きな資産形成が期待できることです。
また、株価が行使価格を下回った場合は権利を行使しなければ良いため、金銭的な元本割れリスクは原則ありません。

 

企業の成長が個人の資産増加に直結するため、高いモチベーションで業務に取り組めるようになるでしょう。

企業側のメリット

企業側のメリットは、人件費のキャッシュアウトを抑えながら、優秀な人材を採用・確保できる点です。
潤沢な資金を持たないスタートアップ企業でも、ストックオプションによる将来のリターンを提示することで、競争力のある採用が可能です。

 

また、従業員が株主としての視点を持つことで、経営者目線での業務遂行や、株価向上に向けた組織の一体感の醸成が期待できるでしょう。

ストックオプションのデメリット

ストックオプションのデメリット

オプションの導入や受け取りを検討する場合は、メリットだけでなく以下のデメリットやリスクも考慮する必要があります。

従業員・役員側のデメリット

従業員や役員側の最大のリスクは、株価が上がらず上場も実現しなかった場合、付与された権利の価値がなくなる可能性があることです。

 

また、税制非適格ストックオプションの場合、権利行使時にその時点の株価と権利行使価格との差額が「給与所得」として課税対象となります。
この段階ではまだ株式を売却していないため、現金収入がない状態で納税資金を用意する必要が生じることがあります。
これにより、一時的に資金繰りが圧迫されるリスクがあります。

企業側のデメリット

企業側のデメリットとしては、権利行使による「株式の希薄化」が挙げられます。
発行済株式数が増えることで既存株主の1株当たりの価値や議決権比率が相対的に低下する、「株式の希薄化」が発生します
希薄化が進みすぎると、既存株主からの反発を招く恐れがあります。

 

また、大きな利益を得た後に人材が退職してしまうリスクもあるため、付与のタイミングや行使条件を慎重に設計しなくてはなりません。

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ストックオプションの注意点

ストックオプションにおいて最も複雑で注意が必要なのが税金です。
税金の種類や発生するタイミングを誤解していると、後から予期せぬ納税負担が生じる可能性があります。

 

原則、ストックオプションの税金は、どの種類のストックオプションかによって大きく異なります。

課税タイミングと所得の種類で税率が変わる

ストックオプションの課税タイミングは、主に権利行使時と株式売却時の2回です。
種類によって課税の有無や所得区分が大きく異なるため、以下の表で確認してください。

種類 権利行使時(株式購入) 株式売却時
税制適格 課税なし (課税の繰り延べ) 譲渡所得税率:約20%
税制非適格 給与所得税率:最大約55%
(累進課税)
譲渡所得税率:約20%
有償ストックオプション 課税なし 譲渡所得税率:約20%

 

税制適格ストックオプションの最大のメリットは、権利行使時に税金がかからないことです。

 

税制非適格の場合、権利行使時には権利行使時の株価と権利行使価格の差額に最大約55%の税金を支払うリスクがあります。
一方、税制適格であれば売却して利益が確定するまで課税されず、税率も一律約20%に抑えられるため、キャッシュフロー面では比較的有利とされます。

確定申告を行う

ストックオプションを行使または売却した場合、原則として確定申告が必要です。

 

特に、税制非適格ストックオプションを行使した場合、給与所得として源泉徴収されるケースもありますが、確定申告で精算が必要になることが一般的です。
また、税制適格ストックオプションであっても、株式を売却して利益が出た翌年には譲渡所得としての申告が必須です。

 

申告漏れがあると、延滞税や無申告加算税などのペナルティが課される可能性があります
金額が大きくなりやすいため、税務署や税理士に相談して、適切な手続きを行うことが重要です。

まとめ

ストックオプションは、企業と従業員が成長の果実を共有できる有効な仕組みです。
しかし、ストックオプションの種類によっては仕組みや税金の取り扱いなどが大きく異なるため、正しい知識を持って導入・運用し、賢く資産形成を目指しましょう。

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ストックオプションを活用するうえで、税金や複雑な手続きは避けられません。
特に税制非適格ストックオプションでは、権利行使時に現金収入がないまま納税義務が発生することもあります。

 

こうした急な出費や確定申告に備え、日頃からの家計管理と資金準備が重要です。
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※この記事は2025年12月時点の情報をもとに作成しております。

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このテーマに関する気になるポイント!

  • ストックオプションは「役員報酬」として利用されることもありますか?

    はい、ストックオプションは役員報酬の一部として活用されることがあります。
    特に、創業期の企業では現金の流出を抑えつつ、将来の企業価値向上への貢献を促す強力なインセンティブとして、役員に対する報酬プランに組み込まれることがあります。

  • ストックオプションの「失効」とはどのような場合に起こりますか?

    ストックオプションの失効は、主に「退職」や「権利行使期間の満了」によって発生します。
    例えば、従業員が退職した場合、未行使のストックオプションの権利は失われることが多く、また定められた期間内に行使されなかった場合も失効となります。

  • 「非上場企業」でもストックオプションを導入できますか?

    はい、非上場企業でもストックオプションを導入することは可能です。
    上場企業と異なり、市場で株式を売却する機会が限られるため、将来のIPO(新規株式公開)などを前提とした設計が重要です。

  • ストックオプションの「落とし穴」はどのようなものがありますか?

    ストックオプションには、株価が期待通りに上昇しなかった場合に利益が得られないリスクや、税制非適格ストックオプションの場合に行使時に多額の納税資金が必要となるキャッシュフローの問題があります。
    また、付与された権利に関する仕組みを理解せずにいると、失効させてしまう可能性もあります。




矢野翔一
この記事を書いた人
矢野翔一

※本著者は楽天カード株式会社の委託を受け、本コンテンツを作成しております。

関西学院大学法学部法律学科卒業。有限会社アローフィールド代表取締役社長。保有資格:2級ファイナンシャルプランニング技能士(AFP)、宅地建物取引士、管理業務主任者。

不動産賃貸業、学習塾経営に携わりながら自身の経験・知識を活かし金融関係、不動産全般(不動産売買・不動産投資)などの記事執筆や監修に携わる。

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