目標株価とは?株式投資で知っておきたい計算方法や活用法をやさしく解説

リリース日:2021/11/02 更新日:2023/09/07
黒川ヤスヒト
この記事を書いた人

ファイナンシャル・プランナー(AFP)

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黒川ヤスヒト

証券会社でリテール営業を経験し、AFP資格を取得。現在ライターとして、パーソナルファイナンスに関する情報の発信を手がけています。 関心分野は、ライフプランに関する意識調査や最新の金融商品・サービスなど。

※本著者は楽天カード株式会社の委託を受け、本コンテンツを作成しております。

目標株価とは,証券会社などのアナリストが予測する,将来的な株価の水準です。証券会社が発行するレポートなどで,根拠となる企業業績などを確認して活用します。自分で予測した数字をもとに,計算することも可能です。

  1. 目標株価とは
  2. 目標株価の活用方法
  3. 目標株価をチェックする方法
  4. 目標株価を自分で計算してみよう

目標株価とは

目標株価とは

・アナリストが算出している予想株価
多くの証券会社では、顧客が取引する際、参考にするためのレポートを発行しています。レポートを作成しているのは、証券会社などに所属するアナリスト。個別の株式についてのレポートであれば、その業種のこれからの展望や企業業績の予測などが書かれています。

 

レポートには、業績予測などをもとにした「目標株価」が記されていることもあります。株価がこの先どれくらい上がるか・下がるかを予想した数字です。現在の株価について割安・割高を判断する際の参考になります

 

レポートを作成するアナリストは、国の経済状況や企業の業績などを分析する専門家。自動車やヘルスケアなど様々な部門に専門のアナリストがいて、深い知見に満ちた興味深いレポートを発表しています。業界の詳細な動向や、決算情報として出てくる財務諸表などを分析し、ときには企業のトップへのインタビューで得た独自情報をレポートに反映させることもあります。

 

・目標株価はどのように計算されている?
目標株価を算出する方法はいくつかありますが、ここではシンプルなタイプをひとつ紹介してみましょう。企業業績と投資尺度を利用した計算方法です。企業業績として使う数字は「EPS(1株当たり純利益)」、投資尺度として利用するのは「PER(株価収益率)」です。「株価=EPS×PER」という関係が成り立ちます。このため目標株価を計算するには、EPSとPERがどれくらいになるかの予測が必要です。もう少し詳しくみてみましょう。

 

企業業績として利用するEPS(1株当たり純利益)は、企業の当期純利益を発行済株式総数で割ったものです。もし企業の業績がこの先改善すると予想するのであれば、このEPSの予想値も大きくなります。PER(株価収益率)は、株価がEPSの何倍まで買われているかという数字。何倍まで買われるかについては、業種によって平均値が異なります。また成長性が高いと評価される企業のPERは高くなる傾向があります。

 

目標株価を計算するのにまず必要なのは、企業の当期純利益がいくらぐらいになるかの予測です。予測ですから1年後、2年後の数字です。当期純利益が予想できれば、それを発行済株式総数で割れば、予想EPSが出てきます。次に、予想EPSの何倍まで買われるかを表すPERも予想しなければなりません。業種の平均値や、同じような成長性の企業のPERと比較しながら予想することになるでしょう。

 

予想EPSと予想PERが決まれば、この2つを掛け合わせることで、目標株価が計算できます。1株当たりの利益を予想し、市場がその何倍まで買ってくれるか予測することで、目標株価が計算されるということです。

 

・目標株価とレーティングの違い
証券会社が発行するレポートでは、株価について目標株価のほかに、レーティングによる評価がなされることもあります。目標株価は1,000円などの株価で表示されますが、レーティングは記号によって数段階に区分されます。たとえば「Buy/Neutral/Reduce」といった3段階で表示されることもあれば、「1~5」の5段階で表示されることもあるといった感じです。大まかにいえば「買い・中立・売り」といった判断に対応していると考えられます。

 

もしレーティングが高く、買いの判断となっているのであれば、株価の上昇が見込めるということです。現在の株価が目標株価よりも割安な水準になっているほか、業界や企業の状態に対する評価などを加味して、総合的に判断した結果と考えられます。また株価の上昇率についても、TOPIXなどのインデックスよりも高い上昇率が見込める場合に、レーティングが高くなります。

 

レーティングもアナリストによる予想のため「必ずそうなる」といったものではありません。目標株価やレーティング活用する際には、ポイントを押さえておくことが必要です。

目標株価の活用方法

目標株価の活用方法

証券会社などが発行するレポートに記されている「目標株価」。専門家であるアナリストが出している数字ということで、数字そのものを信頼しすぎてしまうことがあります。もちろん目標株価の数字がそのまま実現することもあるでしょうが、必ずその数字に到達するというものではありません。活用する際には、あくまで予想に基づいて計算した結果だということを頭に入れて、目標株価の数字だけでなく、算出する過程にも注目することが必要です。

 

・目標株価の根拠となっている情報をチェック
アナリストが目標株価を示す際には、その根拠となる理由も一緒に提示していることが多いと思います。その理由の部分に注目しましょう。たとえば企業が開発したある製品の売り上げや、その製品が取引される市場の成長性が目標株価到達へのカギであるなどと説明されているはずです。このような株価に直結するポイントが理解できれば、その製品の売り上げや市場動向に関するニュースに対し敏感になるでしょう。そうすれば目標株価実現の可能性について、自分なりの判断ができるようになります。

 

目標株価をみるときに注意したいのは、それがいつ発表されたものかということです。ごく最近出た目標株価であれば、その根拠も最新の状況に基づいたものと考えて良いでしょう。しかし何カ月も前に出された目標株価であれば、参考にするのは難しいかもしれません。目標株価が出された後に、様々な市場の変化が起こっているはずです。参考にするには、その変化の流れを読み取っていくことも必要となります。

 

・目標株価の実績を確認
また目標株価について、過去の実績を確認しておくことは有益です。過去に出された目標株価が、どのような形で実現したのか、もしくは実現しなかったのか。実現までにかかった期間などもみておくと、目標株価を活用する際の参考になるでしょう。また同じ株式についての目標株価が、後から変更されるケースもあります。目標株価が以前より引き上げられた場合には、注目したいところです。どのような要因で引き上げられたのかは、重要な情報になります。

 

・「目標株価があてにならない」は本当?
目標株価の実績を調べると、あまり当たらないと感じることがあるかもしれません。また複数の証券会社から出ている目標株価にばらつきがあるのも気になるところです。

 

目標株価がそのまま実現しないことについては、いくつか理由があります。目標株価の計算には様々な手法がありますが、それが業績の予測に偏っていることもあります。株価の動きには市場での需給という要因もあるのに、そこが考慮されていない場合もあるのです。業績予測は当たっていても、世界や日本の株式市場が低調であれば、目標株価は実現しづらいことになります。株式市場の状態については、自分なりに補足していくのが良いでしょう。

 

複数の目標株価が各社から出されている場合、その数字の間に大きなかい離があることもあります。どれを信じれば良いのか分からないと、感じることもあるでしょう。このようなばらつきは各社の業績予測の手法や計算方法の違いからくるものと思われます。購入した株をいくらで売却するかを決めるには、各社の目標株価を参考にしながら自分で判断するのが賢明です。

目標株価をチェックする方法

目標株価をチェックするには、いくつかの方法があります。証券会社のアナリストが出しているレポートのなかには、目標株価を記したものがあるので、そこでみつけることができるでしょう。たとえば楽天証券の投資情報メディア「トウシル」には、目標株価を含む銘柄情報が数多く掲載されています。アナリストが根拠とする判断材料も示されているので、上手に活用したいところです。

 

投資関係のメディアとしては「みんかぶ」で株式銘柄をチェックすると、複数のアナリストによる目標株価の平均値が掲載されています。より多くのアナリストによる数字を参考にしたいという場合に便利です。個別の判断材料については、それぞれのレポートを探す必要があるでしょう。

 

また検索サイトで「目標株価 一覧」のように入力すると、「目標株価まとめ」や「トレーダーズ・ウェブ」など、証券各社が出している目標株価をまとめたサイトをみつけられます。どの証券会社が、いつどの銘柄について、目標株価をいくらにしたかがリスト化されているのです。市場でどの銘柄が多くの注目を集めているのか、知ることができます。

参照元:みんかぶ - 資産形成のための情報メディア・株価予想・ニュース・SNS(旧みんなの株式)

目標株価を自分で計算してみよう

目標株価を自分で計算してみよう

それでは「株価=EPS×PER」という関係を使った、目標株価の計算例をみていきましょう。EPSは1株当たり純利益、PERは株価収益率。このように分解すると、株価が1株当たり純利益の何倍の水準で取引されているかが分かります。たとえば現状、ある企業の株式についての数字が、EPSが100円で、PERが市場での平均的な値となる15倍だったとしましょう。現在の株価は100円の15倍で1,500円となります。

 

この企業の業績が、何らかの理由により大きく伸びると予想できるとしましょう。現在考えられているよりも20%、EPSが大きくなるのであれば、予想EPSは120円になります。PERが変化しなければ、このときの目標株価は、120円の15倍で1,800円。現在の株価よりも300円高い水準を目標にできます。

 

さらにこの企業の業績が、長期的に成長しつづけると評価できれば、今度はPERが変化します。高い成長率がつづく企業は、より高いPERの水準で取引されているのです。そこで今度は予想EPSを120円、予想PERをより高い20倍として計算してみましょう。120円の20倍、つまり2,400円が目標株価となります。これは現在の株価よりも900円高い水準。現在の株価が割安に感じられます。

 

もちろん実際には、判断の根拠が必要です。成長がつづくには、製品の市場規模が長期的に拡大するといった予測などが、その根拠となるでしょう。企業業績が伸びると予測するには、製品に対する需要の拡大やコスト削減の見通しが立たなくてはなりません。アナリストによる情報を参考にしながら、自分でも目標株価を計算できれば、より深くレポートを読み込めるようになるでしょう。

 

株式投資では、目標株価を自分で計算したり、アナリストが予測するものを利用したりできます。目標株価の性質を良く理解し、上手く使うようにしたいものです。

 

楽天証券では、投資メディア「トウシル」で様々なアナリストのレポートがチェックできます。個別銘柄についての業績予測や目標株価に関するレポートも数多く掲載されているので、投資してみたくなる株式との出会いもあるでしょう。個別銘柄は、分散投資タイプの投資信託よりリスクが大きいので、少額からのスタートがおすすめです。

このテーマに関する気になるポイント!

  • 目標株価とは?

    証券会社のアナリストなどが、将来的な株価を予測したもの。株式投資の際、取引の参考として利用します。

  • 目標株価の活用方法は?

    現在の株価について割安・割高の判断に活用します。ただし数字に振り回されないよう、目標株価の根拠となる、企業業績予想の要因を読み取ることが必要です。

  • 目標株価をチェックする方法は?

    証券会社や投資情報のウェブサイトでチェックできるほか、各証券会社が出している目標株価を一覧にまとめたサイトもあります。

  • 目標株価を自分で計算するには?

    1株当たりの純利益や、PERの値などを予測して計算式に当てはめます。

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