国民年金基金・付加年金・iDeCo…フリーランスや自営業はどれを選ぶべき?

リリース日:2019/10/04 更新日:2024/09/19

フリーランスや自営業の人が将来に備えるために利用できる制度には、国民年金基金や付加年金、iDeCo、小規模企業共済などがあります。それぞれの特徴と、併用できるのかどうかといったポイントをまとめました。

  1. フリーランスの年金についておさらい
  2. フリーランスのための2つの年金制度
  3. iDeCoと小規模企業共済を活用する

フリーランスの年金についておさらい

フリーランスの年金についておさらい

会社員は、国民年金と厚生年金の2つの年金を受け取ることができますが、フリーランスには国民年金しかありません。そのため、フリーランスは会社員の人に比べると老後の収入が減少すると考えられます。

 

2019年の場合、国民年金(満額)の支給額は月額6万5,008円です。しかし、毎月の収入が他にないと普通の暮らしは送れないでしょう。そのため、足りない部分については国民年金以外の方法で用意しなければいけません。

フリーランスのための2つの年金制度

フリーランスのための2つの年金制度

個人年金は、多くの場合10年間などの限られた期間だけ受け取れるものです。終身で受け取れる保険商品もありますが、その場合は掛け金が非常に高額になってしまいます。高齢化が進む中で長生きリスクに備えるためには、終生受け取れるタイプの年金を準備しておく必要があるでしょう。

 

フリーランスが国民年金にプラスして加入できる公的な年金制度に、国民年金基金と付加年金があります。これらは両方とも終生受け取れるタイプの年金です。

 

・国民年金基金

毎月の掛け金6万8,000円を上限に、希望する口数の申し込みをするタイプの制度です。1口あたりの金額は、加入時の年齢、性別、希望する受け取り方(15年間の保証を受けるかどうか)によって変わります。

 

1口目は終身年金で、2口目以降は終身受取のほか、5年、10年、15年の確定給付を指定することもできます。受け取れる年金額は加入時の年齢によって、1口目が1万円~2万円(月額)、2口目以降が1口あたり5,000円~1万円(月額)です。

 

・付加年金

付加年金は、月額400円の保険料で、年額200円×加入月数分が将来の年金に加算されるという制度です。つまり、2年間年金を受け取った時点で元が取れるというわけですね。

 

国民年金基金に比べてシンプルで掛け金も低いため、利用しやすい制度だといえるでしょう。反面、万が一40年間加入したとしても、加算される年金額は月額8,000円と低めで、これだけで年金額をカバーするには物足りない金額です。

 

・国民年金基金と付加年金はどちらか一方しか利用できない

国民年金基金と付加年金はどちらか1つしか利用できません。どちらを利用するのか慎重に検討した上で利用しましょう。




iDeCoと小規模企業共済を活用する

iDeCoと小規模企業共済を活用する

フリーランスが利用できるその他の老後資金の作り方に、iDeCoと小規模企業共済があります。この2つは年金を終生受け取ることはできませんが、付加年金や国民年金基金のように掛け金について所得控除を受けられるというメリットがある制度です。

 

・iDeCo

iDeCoは、国民年金基金の掛け金と合計で6万8,000円まで利用することができます。全額が所得控除の対象になるほか、運用益に対する利息がかからないのがメリットです。将来は、一時金として受け取るか、年金として受け取るかを選べます。受け取る際は、一時金であれば退職所得控除、年金であれば年金所得控除の対象になります。

 

iDeCoの大きな特徴は、拠出したお金の運用を拠出者本人が行うという点です。国民年金も、国民年金基金も、後述する小規模企業共済も、運用は他人任せになってしまいます。しかし、iDeCoであれば自分で運用をし、その結果を将来受け取ることができるので、資産形成を他人任せにするのが不安という方や、今自分の資産がどれほどか明確に目に見える形で老後に備えたいという方にはiDeCoがおすすめです。

 

ただし、iDeCoの利用には手数料がかかります。たとえ将来運用を停止した場合でも、口座維持手数料は払い続けることになるので、資産が目減りすることになります。コストをかけずに将来に備えたいという場合は、iDeCoはあまりおすすめできません。

 

・小規模企業共済

小規模企業共済は、1,000円~7万円の間で自由に月額掛け金を設定できる、自営業者のための老後資金作りの制度です。掛け金の増減は、一度申し込んだ後で行うこともできます。

 

掛け金は全額が所得控除の対象になるため、大きな節税効果が得られます。また、小規模企業共済にはiDeCoのような手数料は必要ありません。

 

将来は一時金として受け取るか、または年金として受け取るかを選べますが、一時金であれば退職所得控除、年金であれば年金所得控除の対象になります。この点はiDeCoと同様です。

 

 

iDeCoと小規模企業共済は、両方を利用することもできます。利用できる制度をフルで使いたいという場合は、「付加年金400円+iDeCo 6万8,000円+小規模企業共済7万円」で、月額13万8,400円を老後のために拠出することができるということですね。

 

ただし、こうしたお金は受け取る際に所得税がかかる場合があります。特に、iDeCoと小規模企業共済を両方一時金で受け取ろうとすると、多額の所得税が徴収される可能性もあるので気を付けましょう。年金受取と一時金受取を併用し、できるだけ税金が抑えられるようにするのがおすすめです。

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平林恵子
この記事を書いた人
ファイナンシャル・プランナー
平林恵子

※本著者は楽天カード株式会社の委託を受け、本コンテンツを作成しております。

人事労務関係の仕事からライターへ転身。経験を活かしてコラム執筆を行っています。2017年、見識を深めるためにFPの資格を取得しました。税金や給与計算などに詳しくない方にもわかりやすい解説を心がけています。

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