仮想通貨で得た利益の税金とは。「雑所得」扱いだとどう違う?

リリース日:2019/02/07 更新日:2024/11/11

仮想通貨で得た利益は「雑所得」に分類されます。では、雑所得にはどんな特徴があるのでしょうか。他の所得と異なる点や節税方法を解説します。あわせて、仮想通貨とは何か、仮想通貨の取引方法などもおさらいしましょう。

仮想通貨で得た利益の税金とは。「雑所得」扱いだとどう違う?

もくじ

・ここ数年で流行った「仮想通貨」ってどんなもの?

・仮想通貨の取引方法

・仮想通貨で利益を得た場合の税金とは

・何に対してかかるのかで金額に変化が!「雑所得」扱いの問題

・仮想通貨の節税方法について

・今後の「仮想通貨」取引について

ここ数年で流行った「仮想通貨」ってどんなもの?

仮想通貨とは、現物をもたない、電子データのみでやりとりされる通貨のことです。主にインターネット上での取引に用いられます。一般的な紙幣や硬貨と異なり、特定の国家によって価値が保証されているものではありません。

 

ここでのポイントは2点です。1つは、100円玉や1,000円札のような現物が存在しないため、お金=貨幣というような概念が通じないこと。もう1つは、国による価値の保証がないということです。通常お金は、国によってその価値が保証されますが、仮想通貨にはその保証がありません。

 

ただし、国による保証がないかわりに、不正防止のための高度な暗号化技術(ブロックチェーン)を用いており、この暗号化技術が国家の保証のかわりになっていると言えるでしょう。

仮想通貨の取引方法

仮想通貨の取引方法

仮想通貨の購入方法は、販売所から購入するか、取引所から購入するかの2択です。簡単に両者の違いを言うと、販売所では販売業者から仮想通貨を購入するのに対し、取引所では個人間で売買取引を行います。

 

どちらにしても、まずは仮想通貨の運営業者のもとで口座を作る必要があります。通常、無料で口座開設ができ、手続きも難しくありません。アカウントの登録、パスワードの設定、個人情報入力、最後に本人確認書類の提出などをすれば手続き終了です。運営業者は様々ありますが、出来る限り手数料が安いところを選ぶとよいでしょう。

 

口座開設後に日本円を口座に入金すれば、取引の準備はOKです。販売所や取引所で気に入った種類の仮想通貨を購入し、購入時よりも高くなったときに売却することで利益を得ることができます。

仮想通貨で利益を得た場合の税金とは

仮想通貨で利益を得た場合の税金とは

仮想通貨の売買によって利益を得た場合は、所得税という税金がかかることを忘れてはなりません。所得税には様々な種類がありますが、仮想通貨で得た利益は「雑所得」に分類されます。

 

ちなみに所得とは、収入を得るためにかかった経費を引いたものをいいます。例えば10万円の売上に対し、インターネット代などの諸々の経費が3万円かかった場合は、10万円-3万円=7万円が所得です。

何に対してかかるのかで金額に変化が!「雑所得」扱いの問題

日本の所得税は、所得の種類に応じて所得税の計算方法が異なる仕組みです。例えば給与所得であれば、最低でも65万円の控除(差し引くこともの)が認められています。これは年収が100万円の場合、そこから無条件で65万円を差し引き、残った金額に税金をかけますよ、ということです。

 

他にも上場株式の損失などに関しては、損失の繰越控除が認められています。例えば1年間で100万円の損失を出した場合、確定申告をすることにより、その損失を3年間繰り越せるという制度です。

 

以上のように所得税には様々な恩恵が用意されていますが、雑所得にはこのような優遇制度がありません。さらに雑所得は総合課税となるため、他の所得と合算して所得税を計算することになります。そして累進課税方式によって、所得が上がるほど税率が上がっていくルールです。

 

以下が所得によって変わる所得税率です。

 

所得税の速算表

出典:所得税の税率|国税庁 (https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm

 

例えば、「課税される所得金額」が700万円であれば、次のように所得税額が求められます。

 

700万円×0.23−63万6,000円=97万4,000円

 

上記の表にあるように、所得税の最高税率は45%。加えて住民税が10%かかるため、最高55%の税率になります。仮想通貨で利益が出ても、その半分以上に税金がかかることもあるのです。

仮想通貨の節税方法について

仮想通貨の節税方法について

雑所得扱いとなる仮想通貨は、対策をしていかないと多額の税金を払うことに。ここでは、仮想通貨の節税方法を4つご紹介します。

 

・個人事業主として登録する

個人事業主になれば、青色申告を利用することにより65万円の控除が使えます。ただし、会社員が副業で出した利益は事業所得扱いになりません。仮想通貨のトレードなどで生計を立てられるほどの規模になったときに、個人事業主として登録しましょう。

 

・法人として扱う

法人成りし、法人として仮想通貨を売買すれば、そこで得た利益は法人の所得となります。法人は損失の繰越もできますし、認められる経費の幅も広いです。法人成りするほど収入があることが条件ですが、仮想通貨で思った以上に利益が出るようでしたら検討の余地はあるでしょう。

 

・損失をあえて確定させる

仮想通貨は、売買することで初めて利益が確定します。つまり、保有しているだけでは税の対象にならないということ。これにより、もし保有している仮想通貨の価格が下がり損失が出るようであれば、あえて売却してしまうことで、他の仮想通貨の利益と相殺し所得を低くすることができます。

 

・ふるさと納税を利用する

会社員でも気軽にできる節税方法が、ふるさと納税を利用することです。ふるさと納税は手続きをすると、所得税や住民税の還付、控除が受けられます。仮想通貨で得た利益で増えた税金を利用して節税が可能です。

今後の「仮想通貨」取引について

今後の「仮想通貨」取引について

仮想通貨は制度が変わらない限り雑所得扱いが続くでしょう。しかし、政府が金融商品として価値があると認めれば、証券取引所に上場する可能性があります。こうなることで大口の投資家が参入しやすくなり、結果として仮想通貨の価格が上がる可能性も。それに伴い、税の優遇措置が整備されることも考えられます。株式のように分離課税として扱われ、赤字を持ち越せる繰越控除や、他の金融商品と赤字・黒字を相殺できる損益通算ができるようになるかもしれません。

 

一時のピークに比べ落ち着きを見せつつある仮想通貨ですが、まだまだ大きな可能性を秘めています。今後の成長を見込み、上手に節税しながら仮想通貨取引をマスターしていきましょう。

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※本著者は楽天カード株式会社の委託を受け、本コンテンツを作成しております。

関西圏在住。不動産と会計に携わる仕事をし、その後独立しました。現在はFPの資格を活かしながらライターの仕事をしています。少しでも分かりやすい記事の執筆を心がけています。

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