「億り人」を目指す前に 仮想通貨のリスクをしっかりと確認しよう
2017年は仮想通貨元年とも呼ばれ、仮想通貨取引が一般に広く行われるようになった年です。仮想通貨で儲けたという話を聞いた人も多いでしょう。投資で資産を1億円まで増やした人を俗に「億り人」と呼びますが、仮想通貨で億り人になった人は何人いるのでしょうか。「自分も億り人になりたい!」という人も、仮想通貨のメリット・デメリットを今一度おさらいしておきましょう。
もくじ
・「億り人」は日本に何人いる!?
・「億り人」に憧れて仮想通貨で失敗した人も…
・仮想通貨のメリット・デメリットをおさらい
・仮想通貨は長期的な視点でコツコツ続ける
「億り人」は日本に何人いる!?
代表的な仮想通貨であるビットコインは2009年に誕生しましたが、利用者が急激に増えたのは2017年のこと。また、仮想通貨法とも呼ばれる法律「情報通信技術の進展等の環境変化に対応するための銀行法等の一部を改正する法律案」が可決したのが2016年5月で、本法律により仮想通貨が資産として認められました。これが追い風となり、大手企業も仮想通貨取引に参入。テレビCMでのPR活動もあって、一般に浸透したと言われています。
国税庁のまとめによれば、2017年分の確定申告で雑所得の収入が1億円を超える納税者のうち、仮想通貨の売買で収入を得た人は少なくとも331人に上るとされています。もしかしたらこれ以外にも申告していない人がいるかもしれません。さらに、まだ利益確定をしていない含み益の段階で1億円を超えている人がいる可能性も高そうです。
「億り人」に憧れて仮想通貨で失敗した人も…
仮想通貨で億り人が出ている一方で、失敗して財産を失ってしまった人もいます。2017年12月、ビットコインは1BTC=230万円の最高値をつけました。2018年11月現在、月の中旬までは1BTC=70万円台で推移していましたが、下旬には1BTC=40万円台に急落。仮に2017年12月の最高値で1BTCを購入していたら、230万円が40万円台の価値になっているということです。
そのまま保有していれば持ち直すこともあるかもしれませんが、どうしても現金が必要になったら40万円台で売るしかありません。その場合、190万円近くの損失になってしまう計算です。
2017年、ビットコインの価格は上がり続けていただけに、それまで少額ずつ投資していた人でも「もっとたくさん買えば儲かるのではないか?」という心理が働いたことでしょう。注目が集まったタイミングで下落がはじまったため、損失を被った人もいたと考えられます。0円にはなっていないものの、一般的なサラリーマンにとって数十万円の損失は痛いものです。
仮想通貨のメリット・デメリットをおさらい
ここからは投資としての仮想通貨のメリットとデメリットをおさらいします。
(メリット1)少額からはじめられる
現在のビットコインが1BTC=40万円台と聞いて、それでも十分高いと感じた人も多いかもしれません。しかし、実際の取引は0.0001 BTCから可能。1BTCが100万円としても、100円で済みます。投資信託と同様に「10,000円分」という金額に応じた購入もできるため、ドルコスト平均法が活用できます。
(メリット2)24時間365日取引できる
マーケットの取引時間内しか売買できない株や投資信託と異なり、仮想通貨は24時間365日いつでも取引できます。夜間や土日に売買することも可能です。
(メリット3)将来性がある
たとえば日本株の場合、日経平均株価の最高値は1989年につけた38,957円です。30年近く経った2018年11月現在の日経平均株価は21,000円台。1989年当時はバブル経済真っ只中ということもあって、まだまだ及ばない状況にあります。
仮想通貨はこの先どうなるのか、まったく読めません。ビットコインで言うと最高額の1BTC=230万円からは大きく下がっているものの、この先さらに上昇する可能性もあるでしょう。
(デメリット1)流動性が低い
たとえば不動産は流動性が低いという言い方をします。これは、マンションを売ろうと思ってもなかなか買い手がつかなかったり、希望価格で売れなかったりするという意味です。それと同様に、仮想通貨も売りたいときに買い手がつかないケースがあります。なぜなら株式やFXと比べて市場参加者が少ないからです。これから仮想通貨取引をする人がさらに増えれば問題が解消されるかもしれません。
(デメリット2)何かと不安がつきまとう
仮想通貨はあくまで仮想のため、目に見えません。株式のように株主優待や配当金がもらえるわけではないため、なんとなく実体がつかめず不安を感じる人も多いでしょう。また、仮想通貨の流出問題も記憶に新しいところ。これから仮想通貨の利用が増えることで徐々に信頼を得ていくと考えられますが、今のところ「なんとなく不安」と思われがちです。
(デメリット3)値動きが激しい
仮想通貨は値動きが激しいため、投資というより投機という人もいます。ギャンブルのように、うまくいけば大きな利益をあげることができますが、逆に失敗してしまう可能性も高いのです。
仮想通貨は長期的な視点でコツコツ続ける
仮想通貨も投資信託と同様、毎月数千円~1万円程度をコツコツ積み立てることで将来的にまとまった資産を形成できます。株や投資信託は全体的な景気の動向によって同じような値動きをすることが多いですが、仮想通貨は独立しているため、資産の一部として持っておくとリスク分散に役立つでしょう。億り人を目指すのは悪いことではありませんが、無理な投資は大きな損失につながることも。まずは余裕資金を使って、仮想通貨取引に慣れるところからはじめてみてはいかがでしょうか。
※本著者は楽天カード株式会社の委託を受け、本コンテンツを作成しております。