SPRING BOOK & MOVIE

季節で選ぶこの一作

SELECTED BY ROBERT CAMPBELL KON ARIMURA

ロバート キャンベルさん
オススメの春に読みたい一冊

『春の庭』

柴崎友香 著
(文藝春秋)

各¥1,300+税

『春の庭』

2014年6月号の『文學界』で読み、また芥川賞受賞後、単行本で再読した一冊。解体が予定されているアパートに住む主人公太郎は、謎めいた「隣の女」に誘われるまま隣接する空き家を観察しながらかつてその一軒に暮らしていた人々の生活などについて想像を膨らませていく。アパートを空けなければならない期限が迫るなか、居残っている住人たちは不思議と親密さを増していく。

ロバート キャンベル

ロバート キャンベル/Robert Campbell
日本文学研究者・東京大学大学院教授。“日本人より日本を知る外国人”として、幅広い知識と独自の目線で、日本を分析。新聞雑誌連載、書評のほか、テレビやラジオ出演など、さまざまなメディアで活躍中。

有村昆さんオススメの
春に観たい一作

『レ・ミゼラブル』

トム・フーパー 監督

発売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント
Blu-Ray¥1,886+税
(C) 2012 Universal Studios.ALL RIGHTS RESERVED

『レ・ミゼラブル』

何より驚いたのが、群を抜いてコゼットの母親役のアン・ハサウェイ。主役を食う脇役。前半しか出てこないのだが、一人で運命の悲劇を嘆く歌を長回しで滔々と歌いあげるシーンは鳥肌が立ちました。しかも99パーセント、すべてのキャストの役者本人が歌っているのが凄い。アン・ハサウェイが、髪の毛を丸坊主にさせられ、壮絶な減量をし痩せこけた姿で歌う長回しは、耳に小さなイヤホンを入れて、生のピアノに合わせて歌ったそうです。そこに後づけてオーケストラを入れて完成させました。首もとに小さなマイクがあるのですが、そこはCGで消しています。CG全盛期の今、あくまでCGを補助的に使い、むしろ役者の力量のみで表現している手法に拍手をお送りしたいです。力強い生命の息吹を感じる季節にぜひ見たい一本です。

有村昆

有村昆/Kon Arimura
パーソナリティ・映画コメンテーター。年間500本の映画を鑑賞。最新作からB級映画まで幅広い見識を持つ。テレビ番組や雑誌などで映画コメンテーターとして活躍しているほか、ラジオ番組のパーソナリティとしても活動。