AUTUMN BOOK & MOVIE

季節で選ぶこの一作

SELECTED BY ROBERT CAMPBELL KON ARIMURA

ロバート キャンベルさん
オススメの秋に読みたい一冊

『蜩ノ記』

葉室 麟 著
(祥伝社文庫)

¥686+税

『蜩ノ記』

江戸後期、豊後国(今の大分県)のとある藩の藩士をつとめる戸田秋谷には、主君の側室に手をつけた廉で主君の没後、10年が経った時点で切腹せよという厳命が下る。秋谷は向山村という農村に幽閉中だが、家族ととともにつつましやかな暮らしを営みながら、農民たちが直面するさまざまな不平と戦い、黙々と仕事に励み、自らの運命へと向かっていく。主人公が最後に選ぶ生き方には深く感動した。

ロバート キャンベル

ロバート キャンベル/Robert Campbell
日本文学研究者・東京大学大学院教授。“日本人より日本を知る外国人”として、幅広い知識と独自の目線で、日本を分析。新聞雑誌連載、書評のほか、テレビやラジオ出演など、さまざまなメディアで活躍中。

有村昆さんオススメの
秋に観たい一作

『サンセット大通り』

ビリー・ワイルダー 監督

発売・販売元:パラマウント・ジャパン合同会社
Blu-ray¥2,381+税

『サンセット大通り』

近年アカデミー賞で話題となった「バードマン」や「ブラックスワン」。役者本人の半生をあて書きすることで、説得力をもたせています。しかし今から60年以上前の1950年から、この手法を用いていた傑作映画があるのを皆さんはご存知でしたでしょうか? それが「サンセット大通り」。サイレント時代の大御所女優グロリア・スワンソン主演。彼女の自虐的な、過去を捨てられない落ちぶれたスターの熱演に引き込まれます。まさにこれは彼女自身の話。しかもスワンソン自身大変お世話になった、セシル・B・デミル監督も、自身の監督役で出演しています。もうどこまでが芝居でどこまでが現実なのか? 分からなくなる不思議な世界をお楽しみください。切ない秋にぴったりの一本です。

有村昆

有村昆/Kon Arimura
パーソナリティ・映画コメンテーター。年間500本の映画を鑑賞。最新作からB級映画まで幅広い見識を持つ。テレビ番組や雑誌などで映画コメンテーターとして活躍しているほか、ラジオ番組のパーソナリティとしても活動。